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フリークス・パーティ  作者: 依空 まつり
第7章「踊る赤い靴」
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【7ー3】イスカとカーレン

 オウルとドロシーの試合を観戦した日から三日が過ぎた。

 その間にウミネコと燕は順調に勝ち進めて、ベスト8への進出が決定している。

 そして今日はクロウの第三試合。ここで勝利すれば、クロウもベスト8進出が決定する。

 今日の対戦相手はイスカとカーレンというペアだ。今年が初出場のペアらしく、対戦相手の情報は名前以外全く無い。辛うじて分かるのは、どの会社にも所属していない無所属──つまり、ウミネコと同じ、先天性フリークスの可能性が高いということだけだ。



 第三試合の会場はスタジアムではなく特別会場だった。

 別会場の時は、基本的に選手は別々の車で送迎されることになっており、クロウと優花はヤマネが運転する車(今日はクラウンだった)で会場まで移動する。

 第三試合の会場は本会場から離れた所にある廃ビルだ。元は小さなデパートだったらしく、三階建てで立体駐車場が併設されている。

 会場に対戦相手の姿は、まだない。

「今回の試合会場はこちらなのです。ここから先は騎士様を白兎が、姫様は私が別々にご案内致します」

 ヤマネがそう説明し、助手席に座っていた白兎が「クロウさんは、こちらへどうぞ〜」と小さい旗を振った。旗の文字は「ふりーくす・ぱーてぃ・御一行様」ふざけているのか大真面目なのか判断に悩むところである。

「……厄介だな」

「え? 旗が?」

 白兎の振る旗に気を取られていた優花が頓珍漢なことを口走ると、クロウはしかめっ面で「違う」と呻く。

「燕とサンヴェリーナの第一試合を覚えているか? 騎士と姫の初期位置が離れていただろう。あれと同じだ」

 つまり、試合開始の時点で優花はクロウと離れているから、自分の身は自分で守らなくてはいけないというわけだ。

「分かっていると思うが、試合が始まったらすぐ何処かに隠れろ。一人の状態で敵の騎士と遭遇したら殺されるぞ」

「う……わ、分かってるわよ、でも……」

 優花が言おうとしたことを察したのか、クロウは優花の頭をポンポンと叩いた。

「殺さないよう努力する」

 良かった。ちゃんと伝わっていた。

 ホッと胸をなで下ろす優花に、ヤマネが声をかける。

「サンドリヨン様、こちらへどうぞなのです」

 優花はこくりと頷くと、クロウを見る。クロウに何か声をかけたいのに、こういう時、なんと声をかければ良いのか分からない。

 悩みに悩んだ末、優花は拳を握り、親指だけを立ててクロウにグッと突き出した。クロウは一瞬呆気にとられたような顔をしていたが、プッとふきだすと優花と同じように親指を立てた拳を掲げた。



 * * *



 ヤマネは優花を連れて階段を上り、デパートの三階部分で足を止めた。デパート内のテナントの類は全て撤去されているが、それでも仮設ステージの骨組みなど、当時の名残がちらほらと残っている。

「サンドリヨン様の初期位置は三階フロアなのです。開始時間になったら鐘が鳴るので、それまではこのフロア以外に移動しないでくださいね」

「分かったわ」

「それではご武運を、なのです」

 ヤマネはスカートの裾を摘まんで一礼すると、静かにその場を立ち去った。

 後には静寂と共に優花一人が残される。

 試合開始前に自分にできることを探そうと、優花は辺りを見回した。基本的に資材は撤去され、扉も外されているので隠れられそうな場所が無い。

 トイレやスタッフルームのような場所はどうだろう?

(……いや、駄目だわ。個室だと見つかった時に逃げられない)

 できれば見つかった時に隙をついて逃げられるよう、そこそこ開けている場所が良い。

 デパートは三階建てで、各階が駐車場と繋がっている。駐車場は確かに開けた場所だが、隠れる場所が無さそうだし、やはりフロア内で隠れ場所を探すのが無難だろう。そうして隠れて移動しつつ、可能ならクロウと合流したい。

(……なんか変な感じ。クロウの姿が見えないだけで、こんなに不安になるなんて)




 とっくに壊れていそうなスピーカーから、リンゴーン、リンゴーン、と鐘の音が響いた。試合が始まったのだ。

 とにかく移動しようと走りだしたら、足がもつれて転びそうになった。足が緊張で震えている。

(……しっかりしろ、私)

 クロウはなるべく殺さないよう努力すると言ってくれたのだ。それなのに私がクロウの足を引っ張ってどうする!

 優花は己の頰を力一杯引っ叩くと、今度こそ確かな足取りで走り出した。



 * * *



「まっずいなぁ」

「まずいですねぇ」

 観戦席でスクリーンを見上げていたウミネコとエリサは声を揃えた。

 スクリーンにはクロウ達の試合会場の様子が映しだされている。

 燕の試合の時のように建物のマップが別表示され、そこにクロウ達の現在位置が点で示されているのだが……

「サンドリヨンちゃんと敵の騎士の位置が、かなり近いな」

「クロウさんと向こうの姫も近いですね。これ、かなり狙った初期位置ですよ。運営委員会も人が悪い」

 サンドリヨンの初期位置は三階フロア、相手の騎士は三階駐車場。

 クロウが二階駐車場で、相手の姫が一階フロア。

「……狙いすぎだろこれ。つーか今回の対戦相手ってどんな奴?」

「イスカ&カーレン……今年が初参加らしいですよ」

 ふーむ、とウミネコは顎に指を当てる。

 初参加で三回戦出場となると、かなり運が良い奴か、あるいはダークホースの実力者か。


「あのカラスの坊やは苦戦するだろうね」


 ねっとりと空気の粘度を上げるような嫌な声に、ウミネコは顔をしかめて振り向いた。案の定、そこには笛吹が佇んでいる。いかにも大物なオーラを漂わせているが、ウミネコと一定以上距離を縮めようとしないあたりが、なんとも小物だった。

「よぉ、笛吹。もしかして、クロちゃんの対戦相手って、お前がスカウトしたやつ?」

 笛吹はニタリと笑い、頷く。

 この男は昔から、人に紛れている「化け物」を探してくるのが得意だった。

 特に金に困っていたり、心に暗い物を抱えていたりする、フリークスパーティに参加するのにうってつけの奴を見つけては、気紛れにスカウトしてくる。

 それゆえ、笛吹は影でこう揶揄されていた。

 ──フリークスパーティの笛吹男、と

「今回スカウトしてきたのは君と同じ先天性フリークスだけど、ただの運動能力特化型じゃない」

「別の何かも特化してるってか?」

 先天性フリークスは大雑把にバランス型と、部分特化型に分類することができる。

 バランス型は全ての身体能力がバランス良く高い、いわゆる万能選手タイプだ。ウミネコの見立てだと、ハヤブサやイーグルあたりがそのタイプだろう。

 部分特化型はウミネコのように、強化されている身体能力が偏っているタイプを指す。例えば腕力だったり、脚力だったり、中には握力に特化している変わり種もいた。

 果たして、クロウの対戦相手はどのタイプなのだろう。変わり種ということは、やはり部分特化だろうか?

「今回の対戦相手は強敵だよ。一回戦でセキレイに、二回戦でカモメに勝利している」

 笛吹が挙げた名前はどちらもベテランの実力者である。

 特にカモメはウミネコと力比べができる数少ないパワーファイターで、パートナー戦では優勝経験もあった筈。それを倒したということは、ただ運が良いだけの奴ではないのだろう。

「勝利方法は? 姫殺し?」

「いいや、騎士をKO」

 姫殺しをしないで騎士を倒したとなると、間違いなく実力者だ。一体、その騎士はどんな奴なのだろう。

 笛吹はニヤニヤ笑いながら勿体ぶっているが、ウミネコはそろそろ腹の探り合いが面倒になってきた。ちょっと笛吹を締め上げてゲロらせるかなー、などと物騒なことを考え始めたその時、スクリーンを見ていたエリサが叫ぶ。

「大変です、ウミネコさん! サンドリヨンさんに敵の騎士が接近しています!!」



 * * *



 優花は試合開始と同時に三階フロアをぐるりと一周してみたが、やはり隠れられそうな場所はどこにもなかった。

 静かすぎる廃屋内はどんなに静かに歩いても足音が響くので、あまり動き回ると自分の居場所を敵に教えることになる。下手に動かない方が良いだろうか……と迷っていると、優花の耳が微かな足音を捉えた。一瞬クロウかと期待したが、優花はすぐにその甘い考えを打ち消す。敵の騎士の可能性もあるのだ。ここは慎重に動かなくては。

 優花が今いる場所は三階フロア中央のエスカレーターの影。足音は三階フロアの奥から聞こえたから、恐らく併設されている三階駐車場からこちらに来たのだろう。

(……逃げるなら下だわ)

 優花は電気が通っていないエスカレーターを降りようと足を乗せだが、次の瞬間バキィと音を立てて足が沈んだ。老朽化しているのは分かっていたが、まさかここまでとは!

 微かに聞こえていた足音が大きくなる。今の音で気づかれたのだ。

 優花は腹を括って、軋むエスカレーターを一気にかけ降りようとした。だが、足元で更に不吉な破壊音が響き、優花の体は前のめりに傾いた。とっさに手すりに掴まろうとしたが、間に合わない。

(──落ち、る!!)

「危ない!」

 背後から伸びてきた腕が優花を掴み、引き寄せる。優花はその人物の胸に飛び込む形で、なんとか難を逃れた。

(こ、怖かったぁ……)

 最近の優花は転落が続いてる気がする。寧ろ、人生そのものが転落人生まっしぐらなような……

「怪我は無い?」

「はい、ありがとうございます…………って、えぇっ!?」

 優花は命の恩人の顔を見上げ、言葉を失う。

 優花を抱きとめているのは、手入れの行き届いた茶髪に甘い顔立ちの青年──数日前に、知り合ったコウだった。

「第三試合の対戦相手って……コウさんだったんですか?」

「そうそう。あっ、ここではイスカって呼んで」

 コウ、改めイスカは茶目っ気たっぷりにウインクをするが、優花は後ずさって距離を開ける。

 数日前に会った時、彼は既に次の対戦相手が優花とクロウであることを知っていたのだ。

「あっ、そんな怖い顔しないで! ほら、この間も話したけど、オレ平和主義だし。女の子を手にかけるなんて絶対ごめんだし。サンドリヨンちゃんをどうこうしようなんて思ってないから!」

 確かに優花を殺すつもりなら、エスカレーターから落ちかけた優花をわざわざ助けたりはしないだろう。転落して動けなくなった優花を殺してしまえば、その時点でイスカの勝ちは確定していたのだ。

(……一応、信用していいのかな)

 優花がほんの少し警戒を解くと、イスカはニッコリ笑って言った。

「あ、でもごめん、何もしないってのはやっぱ嘘」

「え!?」

「サンドリヨンちゃんがオレを好きになってくれたら、デートにお誘いしたいと思ってるよ」

 そう言ってパチンとウィンク。この状況下で、なかなか余裕のある男である。

 優花はエスカレーターが階段としてすら機能しないことを確認すると、階段の方に向かって歩きだす。

「とりあえず、ここで話し込んでいるのもあれですし。移動しましょうか」

「あらら、オレの告白はスルーされちゃった」

「イスカさんはご自分の姫と合流してないんでしょう? 私を口説いている場合じゃないですよね?」

 クロウは姫殺しをしないと言ってくれたが、イスカは当然それを知らない。試合中に自分の姫とはぐれたままなら、普通はもっと安否を気遣うところだ。

 だが、そのことを優花が指摘すると、イスカはけろっとした様子で言う。

「あー、平気平気。あいつは殺したぐらいじゃ死なないから…………ていうか、下手したら、もう決着ついちゃってるかも」

「……え?」

 その時、駐車場の方から激しい破壊音が聞こえた。コンクリートが砕ける音、硬い物と硬い物がぶつかるキィンと硬質な音が断続的に聞こえる。

「駐車場の下の階だな。よし、行ってみようか」

 イスカはやはり焦る様子もなく駐車場に移動し、階段を降りる。優花も嫌な予感を覚えつつイスカに続いた。

 クロウは姫殺しをしないと言ってくれた。それなのに何故、戦闘音がするのだろう──敵の騎士は、優花と一緒にいるのに!

 駐車場の二階に移動した優花は、そこで驚くべき光景を目にした。

「やってくれるじゃねぇかッ!」

 クロウが歯を剥いて凶暴に怒鳴りながら槍を振り回す。その槍をひらりとかわしているのは、赤いドレスを着た人物だった。

 ワンショルダーの赤いドレスはスカートのサイドに深いスリットが入っており、そこから見える足は真紅のロングブーツを履いている。その赤いブーツを履いた足がしなり、クロウの胴体に叩き込まれた。

 クロウは横に跳んで勢いを殺したが、完全には相殺できず、地面をゴロゴロ転がる。

 赤いドレスの女はスカートの裾をふわりと揺らして美しく着地すると、薄い金色の髪を揺らして優花とイスカを見た。

 人形のように整ったその顔は見覚えがある。ロック風の服を着ていた、電波なイケメンだ。

(お、女の人だったのぉぉぉぉぉぉ!?)

 唖然とする優花の横で、イスカは額に手をかざしてのんびりと言う。

「おー、やってるやってる。サンドリヨンちゃんは近づかない方が良いよ。可愛い顔に傷がついたら大変だもんねー」

「いや、あの、そういう訳には……」

「野蛮な殴り合いはあの二人に任せて、オレ達は愛を語り合おうじゃないか」

 この人は自分の姫が戦ってるのに、どうしてこうものんきなのだろう。

「っ!サンドリヨン!?」

 クロウがこちらに気がつき、顔色を変えた。

(あ、そうか。クロウにしてみれば、私が人質に取られたようにしか見えないんだ)

 優花がイスカに助けられたことを説明しようとすると、それより早くイスカが口を開いた。

「よーぅ、カーレン、珍しく苦戦してるじゃないか! 優しいイスカさんが助けてやろうか?」

「……死ね! イスカ!」

 今の今までクロウと戦っていた姫、カーレンは赤いドレスの裾を翻し、イスカに回し蹴りを放つ。

 惚れ惚れするぐらい鮮やかな一撃に、イスカは数メートルほどぶっ飛ばされて地面にベチャリと落ちた。

(……え? えぇ? 彼女はイスカさんの姫なのよね? それなのに、姫が自分の騎士を蹴り飛ばすって……これって、どんな状況よ!?)

 唖然としている優花とクロウの前で、カーレンは赤いブーツでゲシゲシとイスカを蹴りつけている。

「試合中にもナンパとは随分と良い身分だな」

「ヤキモチ妬いちゃった?」

「そこの窓から飛び降りて可及的速やかに死ね」

「なにそれ怖い! 照れ隠しなら、もっと可愛く言ってくれよ!」

「……よし分かった。お前、そこを動くな。首ねじ切って胴体とサヨナラさせてやる」

「余計怖いわ! ていうか、オレが死んだら敗北決定だからね!? 騎士の死も敗北要因だからね!?」

 イスカの叫びにカーレンは忌々しげな顔で舌打ちをする。

(な、なんなの、この二人……イスカさんが騎士で、カーレンさんが姫……なのよね??)

 なのに、二人はまるで協力をする様子がないし、姫であるカーレンの方が率先して戦闘に参加している。

「サンドリヨン!その赤い服の女から離れろ! そいつはウミネコと同じ先天性フリークスだ!」

 先天性フリークス! ようやく優花は状況を理解した。

 フリークスなのは騎士のイスカではなく、姫のカーレンの方なのだ。だから、彼女はクロウとまともにやりあえたのか。

 目から鱗の優花の横で、イスカが芝居がかった仕草で一礼をする。

「それじゃあ、ここらで改めて自己紹介をしておこうか。オレはイスカ、そしてこっちの殺気を撒き散らしている凶暴女がオレの姫〈赤い靴〉のカーレンだ」

「……誰がお前の姫だって? うすら寒い下僕風情が」

「下僕じゃなくて騎士!」

「上の階でダラダラと女としけこんでた癖に、何が騎士だ」

「あら、気づいてたの? もしかして妬いちゃった?」

「声が聞こえただけだ」

 これは新手の夫婦漫才なのだろうか、と優花は脱力しつつ思った。

 だが、クロウの方は全く油断しておらず、むしろ、全身の毛と羽を逆立てそうな勢いでカーレンとイスカを警戒している。

「その女は先天性フリークスだな?」

 慎重に問いかけるクロウに、イスカが首を傾げた。

「……先天性? なぁにそれ?」

「フリークスの意味も知らないで、このパーティに参加したのか!?」

 クロウが目を剥いて叫ぶと、イスカはあっさり頷いた。

「笛吹って男にいい儲け話があるって聞いてさ~。いやまさか、こんな物騒な殺し合いだとは思わなかったけど」

「小金欲しさで参加したのなら、ここらで手を引くんだな」

 クロウが槍の穂先をチラつかせて言えば、イスカは芝居掛かった仕草で肩を竦めた。

「そうしたいのは山々なんだけど……こっちにも事情があるんだ。なぁ、カーレン」

 カーレンは小さい声で「金がいる」とだけ呟く。

 クロウはフンと鼻を鳴らした。

「金目当てで参加した一般人でも、手加減はしないぞ」

 クロウの警告にカーレンがブーツの爪先で地面をトントンと蹴りながら言う。

「……こちらこそ、自分の姫を奴隷扱いするゲスに、手加減をするつもりはない」

 あ、この人もクロウのことを誤解してる──と気づいた優花は、思わず口を挟んだ。

「あの、違うんです……もがっ!?」

 カーレンの誤解を訂正しようとした優花の口を塞いだのは、イスカだ。

 なんで彼が!

 唖然としている優花に、イスカが耳元で囁いた。

「あいつね、乱暴だけど根は優しい奴なのよ」

 あいつ、とはカーレンのことを指しているらしい。だが、それが今の状況とどう関係しているのだろう?

「だから、第二試合で見かけたサンドリヨンちゃんを気にかけてて、クロウに対して腹を立ててた……『あいつ気に入らない』って」

 だったら尚更、早く誤解を解かなくては! と優花は目で訴える。

 イスカはにっこり微笑んだ。

「カーレンの奴、すんごい気分屋で滅多にやる気を出さないんだわ。逆に怒っている時は滅茶苦茶強いのよ」

 この人、まさか……と優花は青ざめる。

 そのまさかだった。

「いやぁ、あいつ良い具合に誤解してるからさ、ちょっと利用させて貰うわ。ごめーんね?」

(腹黒っ! この人、良い人そうに見えて割と腹黒い!)

 唖然とする優花の前で、クロウとカーレンの戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。



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