表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法理論  作者: Xyzyl
2/3

エコロジカルでもエシカルでもない魔法

「そうか、気付いたか。」


 体内魔力の消費を減少できる事と、相手の体内魔力での魔法行使ができることへの報告した際の反応は淡々としたものだった。

 聞いてみると、この事自体は公開されていない真実だとのこと。真実ならなぜ広めることをしないのだろう。そう聞いてみた。


魔法源マジックソース魔力(エネルギー)は限りある資源なのだ。無制限に使うと枯渇してしまう。だから、発動の際に魔法源マジックソース魔力(エネルギー)を還元しているのだ。」


 還元?って抽出した魔力(エネルギー)を戻している。


「気付いていなかったのか、実際に使っている魔力(エネルギー)の殆どは体内魔力からだということを。」


 溜息を付いた師匠から、呪文の構築について細かく説明してくれた。昔の魔法は魔法源(マジックソース)魔力(エネルギー)をそのまま使っていたらしい。だが、使っている内に世界の魔力が段々低下している事が解ってきた。低下が進むと魔法的な生物の生存が脅かされる可能性があることも解ってきたそうだ。


 魔法的生物~ドラゴンとかエルフとか~から自己の生存を脅かす魔法を禁呪とする強い要請が行われ、魔法体系を根本的に見直すこととなり、今の魔法が作られたという。


「魔法の根幹は、魔力の行使だ。体内魔力を用いても、魔法源マジックソース魔力(エネルギー)を用いても同一の効果を得ることが出来ることは既知の事実だ。まぁ、魔法源マジックソース魔力(エネルギー)をトリガーとして、体内魔力を練り上げて発動させる故、当代の魔法のほうが発動が遅いという事実も否定できないが、魔法的生物の生存権を守るためには止むを得ないことだろう」


 呪文対象の体内魔力を行使する魔法はどうなんだろうと聞いてみた。


「今ひとつ考察が足りないようだな。体内魔力はありとあらゆる生物が持っている。取り出そうと思えば、相手を問わず抜き取ることが可能なのだ。だが、植物や羽虫からの体内魔力の抽出は、それらの死に直結している。周囲の生命体から直接体内魔力を奪って、魔法を発動させることは出来るし、当代の魔法よりも速く発動させることも出来る。だが、対価は、周囲の生物の生命もしくは苦痛となる。そのような魔法、倫理的(エシカル)に正しいものだと思うかな?」


 いや、倫理的どうこうより効率よく使えれば・・・と、思いかけて先程クレームをつけてきた魔法的生物の中にエルフがいるのを思い出した。植物を根絶やしにして魔法を使うなんて、許してもらえるはずがないじゃないか。この手の呪文を広めるって、エルフに対する宣戦布告になりかねない。うん、禁呪だよね。これ。


「それはそうと、この事について誰かに話していないだろうな。」


 師匠の問いかけに頷こうとした瞬間に、友人に口走ったことを思い出した。


「禁呪の件、しっかり了解させるのだぞ。」


 引きつった表情から察したのか、師匠からしっかり釘をさされた。まぁ、アイツも話したら解ってくれるだろう。世紀の大発見と思ったのに、実は禁呪だったとは思わなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ