呪文の構築はエコロジカルでエシカルでなければならない
効率がいいと思ってやった。今は反省している。
最初は呪文の魔法構築の研究だった。読み解いているうちに引っかかる物があった。
魔法を発動する呪文は、単に詠唱するものではない。
最初に、魔法を生み出す根源となる魔法源から魔力を抽出する。
次に、得られた魔力を組み替える。
そして、組み替えた魔力を用いて対象へ発動させる。
このようにして呪文は魔法を発動させるに至ると師匠から教えられた。
最初は、それが正しいと思っていた。だが、研究をしている内にはたと気づいてしまった。
確かに魔法源から魔力を抽出しているし、魔力から対象へと効果が及んでいる。
だったら何故、一日に使える魔法の数に上限があるのだろう。魔法源から得た魔力を対象へ及ぼすのが魔力なら、一日に何度でも使えてもよくないか?
だから、もっと細かく調べてみた。そうしたら驚くべき事が判明した。
魔力の組み換えを行う際に、術者の体内にある魔力が使われていた。魔法源から得られた魔力と体内にある魔力を混ぜ合わせて組み換えを行っていたのだ。
なるほど、体内魔力は有限だ。それなら一日に使える魔法の数に上限があるのは納得できる。
今にして思えば、ここで納得して終わっていればよかった。
終わらずに続けた研究で、
呪文の発動結果で作用する魔力 < 魔法源から抽出した魔力+消費している体内魔力
が成り立っている事を発見した。せっかく抽出した魔力がどこかに消えている。使われている呪文は魔力を効率よく使えていない。
効率的に呪文を使う方法があるのではないか?魔法源から抽出した魔力だけで呪文が使えたら、いや体内魔力を今の一割で使えるだけでもいい。今までの十倍以上魔法が使えるようになる。画期的な発見だ。
数ヶ月かけた研究の結果、幾つかの事が明らかになった。
体内魔力の消費を0にする事はできない。だが、今使っているよりも少ない量でも大丈夫。
使う体内魔力は自分のもので無くてもよい。呪文の対象者の体内魔力でも構わない。
ということは、幾らでも魔法を使える可能性があることになる。浮かれたあまりに友人(うん、その時はそう思っていた)に研究の成果を口走ってしまった。先に師匠に話してみることもなく。