第一章 異世界転生者ジル 三話
魔石は登録完了し側近たちへの挨拶の時間となった。どうやらいつもこの時間帯に集まることが決まっていたらしく、ほぼ全員が集まっていた。
まずセシルが挨拶をして、それから俺を紹介していく。
「おはようございます、今日も側近として正しく行動するように。…さて皆の中には初対面でないものもいるかもしれませんが、ご紹介致します。ヒルグランド王子の精霊となりました、妖精族のジルです」
「ご紹介頂きました、妖精族のジルと申します。宜しくお願い致します」
俺はいつも通り左胸辺りに右手を添えて貴公子らしく優雅にお辞儀した。側近達の中では知っているものは微笑を浮かべて、知らなかった者は驚きつつも俺の貴族のような振る舞いにほぉ、と感嘆の息を漏らしている。
ちょっとだけ嬉しくなった。
ただ気になるのは、その中にいるクレオドが物凄く熱い眼差しをこちらに向けていることだ。あまりに強い視線でめちゃくちゃ怖いっ。
と、そこで一人の側近が口を開いた。
「発言の許可を願います」
セシルは何てことないと言う風に頷く。すると彼女はモノクル…所謂片眼鏡をくいっとあげると俺に威圧的な言葉を丁寧に浴びせる。
「何故今この時期にこのような下賤のものが精霊となったのでしょうか?詳しくお聞かせ願います。でなければわたくしは納得出来ません。そもそも掟に違反しているのですから、それ相応の理由がおありなのでしょう?」
そう言ってセシルを睨み付けるように見る。こいつ、意識高すぎじゃね?あ、もしかしてあれか!ロワツィオが言っていたあの、禍の種にしたくないとか何とか…。賢い人はまずそこを伺うってことだろう。そして今朝の出来事を知らずにいたせいでこんな反応しているということか。
だったら問題はない。セシルがどうにかしてくれるだろう。
案の定セシルは顔色一つ変えずにその質問に答え始めた。
「リゼット…貴方は意識が高く、そのように思うのも仕方がありませんが、そうですね…ロワツィオへの謁見も第一王子ジルバリオス様への謁見も済んでおり、正式にヒルグランド王子の精霊として認められました。それに異議を唱えると言うのであれば、ロワツィオへの反逆者として罪に囚われることを覚悟しなさい」
セシルがニッコリと笑ってそう言ってのけた。王族を侮辱する言葉は全面セシルの地雷を踏みそうな気がして俺はゾッとする、がポーカーフェイスでセシルの言葉を呑み込む。
ところでリゼットと呼ばれた彼女だが、ロワツィオへの謁見も、とセシルが言ったところでまるで化け物でも見るような目で俺を凝視したのだが、気のせいだろうか。
「前言撤回致します。ところでお伺い致しますが、彼は何処か怪我をしてませんか?大丈夫なんですか?」
焦って前言撤回したかと思えば俺の身体の心配…って、なんで?
「リゼットが心配せずとも彼は、あのお二人に謁見したにもかかわらず傷一つ作らずに戻って参りましたよ」
セシルの言葉にほっと息を吐く。
今更気付いたけど、ロワツィオや他王族への謁見って俺が前世で読んだような漫画みたく上品で高貴なものではなかったのか?もしかして俺の常識通用しないの??
「それはほっとしました。この国のロワツィオへの謁見で半殺しは日常茶飯でしたから…しかし傷一つないとは、信用せざるを得ない強さですね」
あれ?うーんと、これは…俺の常識が外れているわけではなくて、ここの王族が規格外なだけ?
そんな考えを巡らせている内に話は終わりへと向かっていく。セシルは言った。
「さて、納得していただけたようですので、そろそろ皆の自己紹介を致しましょう。時間がありませんので挨拶の済んでいるものは仕事に戻ってください。…ではまず護衛騎士から」
正直順に自己紹介されても覚えられるほど記憶力に優れている訳じゃないのだが、仕方なく笑顔で会釈を繰り返した。
側近たちの挨拶と言うか自己紹介が済む頃には三の鐘がなった。
すぐに側近たちはそれぞれの仕事へと戻っていく中、俺はセシルについていき、ヒルグランド王子へと挨拶をすることになった。
「ヒルグランド王子へお声かけしましたら、次はジルの部屋を作りましょうか。精霊ですので普通の側近とは待遇が変わりますし、何よりその能力がありますので王子のお側となりますよ」
ニッコリと笑いながら側近専用の部屋を出る。セシルについていきながら、俺はちょっと側近の中でも気になった人や知っている人を頭のなかで整理する。
<セシル・ドードレット>
ドードレット公爵家の先代公爵婦人。
ヒルグランド王子の筆頭側仕えであり、ドードレット先代公爵と他の公爵家が協力して建設した貴族学院の教頭という立場。俺の教育係としてもこれから先関わることが多くなるだろう。
裏ではヒルグランド王子の暗殺を目論む輩を片っ端から排除しているとかなんとか、他の側近が噂していた。
<クレオド・ダリファルド>
ダリファルド侯爵家の長男で跡取り。
ヒルグランド王子の護衛騎士副長であり、来年結婚予定。夜くらいしか暇な時間は取れないらしく、大体家庭で何かあったか本人に致命的な欠落部分がない限り護衛騎士には滅多にならないだろう位の人物。
<リゼット・ゲルマントス>
ゲルマントス伯爵家の第二令嬢。
ヒルグランド王子の文官であり、また全うな中貴族の中でも上貴族に近い者。婚約者がいる。真面目だが勝ち気で少々態度がデカイ。ただそれは伯爵家という位置のせいか舐められることがあるからだという。
それからもう一人。この場には出席しなかった者…所謂影武者の人間。
<アートルム・ネグロ>
セシルに、後々関わる事になるだろうと説明されたのだが、正直謎の人物だった。出生はマールフィール妖精王国。しかしたまに生まれるハーフフェアリーという種族だった。人と同じ大きさでありながら妖精独自の特殊な体の構造をしている。羽があり、耳が長くとがっていて、体は身体強化をしなければちょっとした殴り合いでも骨折してしまう程弱く、すぐに衰弱死してしまう。
ただ魔力が豊富で悪戯好きであるものも多いのだが、どうやらこの側近は違うらしい。
そもそもネグロというのはこの国の人間…伯爵家の家名の一つ。賢者を多く輩出すると有名な貴族で、侯爵家に近い伯爵家らしい。
その家の第三令息にあたるのが彼、アートルムだという。しかしどうやら彼は養子であり、あまり知られていない。ハーフフェアリーの種族自体があまり知られていないので、隠す必要があったとか。
その上彼は影や闇に関する魔術を得意とする者。能力を認められてヒルグランド王子の側近に迎えられたのが…約二年前らしい。
彼はハーフフェアリーであるがために端整な容姿の為、普段は自作の身を隠す魔術具を使っているらしく見ることはない。
そこで、セシルは言った。
「彼を呼び出しましょう」
と。何とも突飛だが、王子のもとにであれば彼は姿を現すらしいので賛成した。ヒルグランド王子への挨拶のついでに会えたらいいなと思う。
そして、ヒルグランド王子の部屋の前へと着いた。セシルは一度呼吸を整えると、意識し直したらしく纏う空気が変わった。こう見るとちゃんとした公爵家の方なんだな、と自然と思ってしまう。しかし何故だろうか、ひれ伏そうとは思わないのだ。魔力量の問題かはよくわからないのだが。
セシルは軽く三回、扉をノックした。
「ヒルグランド王子、セシルでございます。起床時間となりましたので、お知らせいたします」
そこから少しだけ待ってみるが、どうやら聴こえていないようだ。セシルはもう一度声をかけた。
「お時間ですので、失礼いたします」
そして気が付くとセシルと俺の後ろに控えていた側近たちが顔を上げた。両扉を警護する騎士が扉を静かに開いていく。…側近が入るだけだからなのか、片方しか扉を開かないようだ。人一人余裕で通れる隙間が開くと、セシルを先頭に素早く、しかし優雅に部屋の中へと皆が入って行くので、俺も遅れないようについて行った。
先程俺がセシルと出会った時と比べるとやはり明るいが、王子はまだ四歳だ。このくらいだと目を覚ますことはまずないだろう。セシルは天幕を軽く両サイドに開いていく側近たちに目をやり、括り付けるまでの時間を簡単に計算したのかひとまず置いておくことにしたらしい。そして衣裳部屋へと入って行く。俺は窓の辺りに置かれた仮に作られた俺のベッドの隣に立って外を眺めてみる。
「…おお」
外に出て高いところから見渡してみないとわからないが、ここヒルグランド王子の部屋はかなり高いところにあるらしい。しっかりと、とは言えないが遠くまで続くこの城の城下町らしきものが広がっていた。
人々は本当に豆粒のようにしか見えないが、視力強化を使えばかなり遠くまで見渡すことができる。何とも俺の能力は便利だなと内心呆れながらも目を凝らすと、突然とてつもない壁が城と城下町の周りを囲っていることに気が付いた。
あれは…城壁と言う奴か?
疑問形だが何となくそう思った。どうやら魔力付与がされているらしい。よくよく目を凝らしてみれば淡い虹色の油膜のようなものが城壁全体を覆う形で漏れ出しているのが分かった。虹色という事は前世の異世界小説者の受け売りになるが、多分全属性になる。…あれ?最初にも全属性のもの、出てこなかったか?と思ったが、まあ気にせず観察することにする。
そして城下町に住まう民の服装だが、思っていたよりは小綺麗なものだった。何と言うか、薄汚いように思うものは少ない。…この国のはあのロワツィオが統治しているわけだが、割としっかり統治されているらしく、警備の人間まで見回りをしている。ある意味武力行使しているというかもしれないが、ちょっと見直した。
誰彼構わず攻撃しているわけないなら俺の生存率も上がるからな。
正直一番の問題は王族に無茶振り要求されてぽっくり野垂れ死にすることなのだが、平凡且つ普通の王子の精霊になったのだ。その点については深く考えすぎない方がいい気がした。
それから俺はちょっと窓の外に出てみた…いや、出てみたかった。
「ヒルグランド王子、お目覚めのお時間でございます」
セシルがヒルグランド王子に再度声をかけているのが聴こえた。その声にようやく目が覚めたらしい。寝ぼけた様子で体を起こしたヒルグランド王子は声が聴こえた方に目をこすりながらも向いて返事した。
「おはよう、ばあや」
そして今度はまぶしそうに窓の方…こちらに視線を移して、固まった。俺は紳士的な笑みを浮かべて言う。
「おはようございます、ヒルグランド王子。よく眠れましたか?」
少々硬かっただろうか、と考えているとヒルグランド王子はちょっと驚いたようにはにかんで言った。
「お、おはようジル。うん、よく眠れた…けど」
けど、といってちょっと迷うように目を泳がすヒルグランド王子をみて、俺はちょっと首をかしげた。一体どうしたのだろうか…もしかして俺何か失礼なことしてしまったか!?
「何かご不満でも?」
あくまでも冷静にそう聞いてみた。するとどうだろう、ヒルグランド王子は恥ずかしそうに頬を赤く染めながらこう言ったのだ。
「じ、ジル!堅苦しくて嫌だ!口調変えて!」
ほとんど叫ぶような形で言った彼を側近の者たちはちょっと苦笑気味に見ている…あ、もちろん仕事しながらだけど。そして俺はちょっと迷った。
側近としてはたぶんいくらヒルグランド王子の命令だとしても敬語を使わなければいけないだろうし、かといって主人であるヒルグランド王子からの命令なのだから聞くべきなのだろうし。
つい黙り込んで悩んでいると、セシルが近づいてくるなり耳打ちした。
「昨日は王子の誕生日でしたが、我々は側近としてプレゼントを用意できる立場ではございませんので、先程の命令だけは聞いて差し上げてください」
俺はちょっと驚いた。ただ他人であり親戚と言う訳ではないがためだろう、贈り物は基本用意できないと考える。しかしまだ王子は四歳であり皆からすれば幼き我が子を見ているような気分なのだろう。ま、私的な場合であればいいかもしれないなと思ったところでいいことを思いついた。
俺はヒルグランド王子に向かってにっこりと笑いかけて言う。
「それじゃあ…改めてよろしく、ランド王子」
俺にネーミングセンスはないけれど、この言葉と愛称にランド王子は満面の笑みを浮かべてくれたのが本当に純粋に嬉しかった。
さて、ランド王子…基ヒルグランド王子は衣裳部屋に入って行ったので暇になった。側近になったと言ってもヒルグランド王子のボディーガードのような事をするのが精霊らしい。それ以外だと体が小さい上に虚弱なためほとんど側近として使えないのだ。
俺の場合は身体強化や視力強化と言った補助系の魔術を発動させることができるが、身元が分からないという事もありあまり仕事を回されない。セシルですら何も言ってこないのだ。どうすればいいのかわからない。
そんなことを考えつつ窓の外を眺めながらため息を吐く。
「そんなにため息吐いてると幸せが逃げてくよ」
本当に耳元でそんな声がした。少年のような高い声で、しかし男の子…子供だと思われるような口調に俺は二度吃驚した。
「え?え、何?」
俺は辺りを見回すが…側近たちがそれぞれの仕事をしている所以外は何もない。思わず首を傾げると、今度は後ろ、窓の外から声が聴こえた。
「ちょっとだけこっちに来てくれない?ヒルグランド王子の着替えはまだかかるからさ」
俺は少し迷ったが、暇を持て余していたので丁度良いと考え直して外にでる。
「…室内から見た時より断然きれいな景色だな」
俺は思わず感嘆の言葉を漏らす。仕方がない、目の前には緑豊かな穢れの少ない美しい城下町が広がっているのだから。城壁も灰色ではあるが、城に近い色なので暗く感じないところもまた良いのだが、何より草木が光を浴びてキラキラと輝いて見えるのが本当に美しかった。
「綺麗でしょう?僕は晴れてる日、よくここに来るんだ」
今度は窓の上の屋根にあたる部分から声が聴こえた。いい加減誰なのかわかってきたところだったので、俺は呆れ口調で、しかし相手は位のある人間だから最低限の礼儀を忘れずに言った。
「姿、現してはもらえないのですか?…アートルム・ネグロ様。…ああ、ネグロ伯爵令息とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
ちょっと皮肉っぽくなってしまったが仕方がない。結構驚いたからな、仕返しだ。するとアートルムは笑った。
「ごめんよ、姿隠しの魔術具取り外すのは面倒でね、忘れていたんだ」
ファ…ン。
魔術が解かれる音がしたと思ったら、目の前にあからさまに人間ではない美しい者が立っていた。彼はニッと笑って言う。
「やぁ新人くん。僕はアートルム・ネグロ。宜しくね」
何だか思っていたのと違っていた。
少し戸惑いながらも俺は同じように笑顔で自己紹介をする。
「初めまして、ジルと申します」
するとアートルムはジロジロと俺の回りを歩く。ちょっと恥ずかしい。
「君って普通の妖精族じゃないよね。王族って訳でもないけど」
反射的にビクッと身体が震えた。俺が答えないことを良いことに震えに気づいているだろうに、話を続ける。
「君からは確かに妖精族の匂いがするけど、何だか古くて強大何だよな…もしかしてずっと昔の妖精王族の生まれ変わりだったりして」
ニヤッと笑いながら冗談のように言ってはいるが、どうやら本気で疑っているらしい。しかし俺には答えようがない。
「私は正直自分の存在がよくわかりません。気が付けば女神マリフレシア様のお力によりこの身体になっていたのですから」
嘘は言ってない。前世の記憶があるとは言え、よくわからないのも事実でありマリフレシア様によってここに妖精族としているだけなのだから。
するとアートルムははぁ~っとため息を吐いた。
「嘘は言ってないね」
え。
「何驚いてんの、表情でわかるよ。まぁ…君も僕達みたいなもんかなって思ってさ」
俺はよくわからず首をかしげる。アートルムは何も言わずに俺の前にやって来ると、一つの本を差し出した。
「あげる」
人型サイズの本だったから俺はそれを半ば反射的に両手で受け取ろうとした。
「ありが…え!?」
俺の小さな指先がその本に触れた瞬間本に複雑な青い魔方陣が浮かび上がったと思うと、あっという間に本が大きさを変えて、俺にとっては丁度良い大きさに変化した。俺が驚いて目の前にある本を凝視したまま何も言えずに固まっていると、アートルムがさも可笑しそうに笑った。
「それは俺が妖精族が住まう妖精の国を出る時に神様に貰った本。ちょっと特殊なハーフフェアリーに出会う事があったら譲ってあげろって言われてたんだ。君も必要なくなったら誰かに譲ってやってよ」
そしてアートルムはフッと上を見た。
「丁度四分の一…君!ジルって言ったっけ?そろそろ戻るといいよ。ヒルグランド王子の着替えがもうすぐ終わると思うし」
その言葉にハッと目の前にたたずむアートルムを見て俺は言った。
「あ、あの!ありがとうございます、ネグロ伯爵令息!」
そして会釈をすると彼は苦笑した。
「生い立ちは違うとはいえ同じハーフフェアリーなんだから、俺の事はアートルムって呼んでよ。敬語も私的の場では必要ない。朝とか夜はここに大体いるからさ、声掛けに来てよ」
そこまで言うと少し変わった腰の袋から、妖精の身体の大きさに合わせたサイズの小さなネックレスを渡してきた。それには魔力付与がされている…ってこれ!!
「姿を隠すための付与が施されているんじゃ…!」
俺はわなわなと体を小刻みに震わせながら青い宝石が紫色の魔力を発しているネックレスを握りしめる。アートルムは何でもないというように軽く言ってのけた。
「うん、僕が気まぐれで作った魔術具。僕こんななりだから友達いないし君が初めての友達になってくれるならそれ、あげる」
そう言って屈託のない笑みを浮かべるアートルムを啞然と見ていた俺は、思わず。
「是非友人になってください」
と頼み込んでしまった。その場に妖精の体でありながら屋根の上でアートルムの前にひれ伏すように頼み込む形となった。
「や、ちょ、ジル!?土下座になってないけど土下座やめて!…僕変な人に声かけちゃったのかな……」
何と言う事を言いつつ俺を起こそうとする。しかし俺はこのままやめるわけにはいかない!
「アートルム様が良いと仰るまでは!」
まあ妖精の体なので出来る反抗はたかが知れているのだが、アートルムは笑って言った。
「僕が先に言った事じゃん!もう友達でしょ?」
だから土下座はやめてよ、と。俺は思わずバッと顔を上げ…。
「アートルムううう」
と叫びながら飛びついた。これにはあまり驚かなかったらしく、アートルムは飛びついてきた俺の頭をよしよしと優しく撫でてくれた。
「…ったく、手がかかる………だ」
ボソッと何かを言ったようだが俺は上手く聞き取れなかった。
そして、俺はその後ヒルグランド王子に怒られ、セシルに笑顔で説教された。