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黒服トゥギャザー・Ⅰ

続き。

『fiction』では珍しい常識人とのお話。

次回から(やっと)戦闘に入ります。

「成程、それで俺に指導役が回ってきたって訳だ。」

ここまでの粗方の経緯を話し終えると、僕の横を歩いていた黒田さんが同情の目を向けてきた。


黒田さんは『fiction』のメンバーの1人で、とても優秀な調査員なのだそうだ。

黒いスーツに黒い靴、メガネの縁まで真っ黒でとても真面目そうで堅苦しい印象を受けるが、話してみると実にフランクで良い人だ。


「ボスは極めて強引で自分勝手だからな、初見の奴には濃すぎる人だろう。」


「ええ…、それは本当に思います…。」


「だが、あの人のする事はいつも正しい。信じるに値する人間だ。……少しがめついがな。」

そう言って黒田さんは溜息をついた。

いつも掴元さんに苦労させられているんだろう。


しかし

「いつも正しい…信じるに……値する人間ですか…。」

あんな絵に書いた様に胡散臭い掴元さんが信じるに値する人とは、到底信じる事が出来なかった。


「ああ、だから今回お前を仕事に出したのも何か考えがあっての事だろう、心配しなくていい。」


「…はい。」

僕みたいな出会ったばかりの人間を、雇って仕事に出すなんて余程の考えが無いと出来ないと思うが、黒田さんが言うのなら少しは安心が出来る。


「ところで何処へ向かっているんですか?段々と裏路地の方に入っていっていますが。」

さっきから段々と道が細くなっていっている。


「ああ、この先にはな…」

そう言って黒田さんが指で示した先には、段ボールで出来た家があった。


「おい、じーさん、出てこい!」

黒田さんは段ボールの家のドアらしき場所の前に立つと、大声で叫んだ。

すると暫くして、


「………なんじゃ…こんな朝早くに………」

汚い老人が目を擦りながら出てきた。


「な、何ですかこの汚い人……」

あまりの汚さに思わず口に出てしまった。


「……んん?見ない顔じゃな、新入りか?」

そう言って顔を近くに寄せてくる。

この人……臭え!見た目通りの臭いだ、鼻がひん曲がりそうである。


「ああ、まあそんな所だ。新入りが嫌そうだから顔を話してやってくれ、お務め一日目で仕事嫌いになられたら困るからな。」

そう言うと黒田さんは老人を俺から引き剥がした。


「このじーさんは『fiction』がよく世話になってる情報屋だ。金を払えばこの街の情報を売ってくれる。」


「世話になっている人間に対する態度じゃ無いと思うんじゃが…」

無理やり引き剥がされた老人は目を細めながら悪態をついた。


「仕方ねえだろ、臭いのは事実なんだから。

ところでじーさん、最近広まっている『噂』についてなんだが…」

そう言って黒田さんは封筒を出し、老人に渡す。


「…………ああ、この街から数人の子供が消えているという噂じゃな。」

老人は封筒を受け取った後、口を開いた。


「その噂は事実じゃ、実際に子供が消えた、という親から相談を受けた。それも何人もじゃ。だから、事故なんかでは無いと思うぞ、明らかに人為的な誘拐じゃ。」

白く長い髭を撫でながら語り続ける。


「……それって警察とかは動かないんですか?」

記憶を失ったとて警察くらいは覚えている。

行方不明者が出た時に警察が捜索を開始する事も。


「そこが妙なんじゃ、行方不明者が多数出ているのに警察は全く動き出そうとしない。

これは推測じゃが、警察内部に誘拐犯の仲間がいて、捜索届けを握り潰している可能性がある。」


「警察内部に仲間か…。捜索届けを完全に握り潰すなんて余程の奴じゃ無いと出来ないな…。」

黒田さんが険しい顔になる。


「後、もう一つ。目の前で子供を誘拐された母親が居てな、そいつが言うにはビルに囲まれた袋小路の行き止まりで誘拐犯と子供が消えたというんじゃ。」


「袋小路の行き止まり……やっぱり、模倣子か敵性能力者か…。分かった、ありがとう。」

黒田さんは溜息をつき老人に礼を言うと、

「行くぞ」

それだけ僕に言うと先程歩いてきた方へ歩いていった。

僕も老人に頭を下げ、黒田さんを追いかけた。





「黒田さん、敵性能力者って何ですか?」

暫く歩いたところで黒田さんにさっき気になったことを訊ねてみた。


「あぁ、まだ説明してなかったか…。

敵性異能力者ってのはお呪い(おまじない)に身体を乗っ取られはしなかったものの、結局力に溺れて犯罪や悪行に手を染める能力者の事だ。

コイツ等はただの模倣子と違ってちゃんとした知性があるから厄介なんだ。」

黒田さんは苦虫を噛み潰したような顔で説明してくれた。


「敵は模倣子だけじゃ無かったのか…。」

益々話が物騒になってきた。…僕はちゃんと生きて帰れるのだろうか…。


「仕事に慣れるまでは俺が護るからそう心配そうな顔をするな。」

黒田さんはそう言ってくれたが、流石に心配だ。

自分の周りに敵性能力者や模倣子が居ないか見回してみると。


「__あ。」






見つけた。






男に強く手を引かれ、裏路地に入っていく少女の姿を





次回から戦闘です(多分)

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