ダイスする時間 ~おしゃべりな月のひかり
容も、彩も、
ムーンライトの身元をくすぐりたずねるような
宇宙のおしゃべり――――‥たあいの、ない…
ガラスの向こうがわでは、時間がぴあのを弾いている。
転が・る・つぼの中の
ダイス‥
さみしがりの兎。
未来の楽譜を、ライムの木に生らそうと
トゥルル‥ トゥルル‥
時間の奏でるおたまじゃくしに、
トゥルル‥ トゥルル‥
今夜、うっかり目のまえの庭におりて
まだ植えられてもいない
ライムの身の上話をしちゃった、ムーンライト。
「ね、あたしが口軽女だなんて思わないでほしいの。
もともとは泥酔したコペルニクスのせいよ。
ぶどう色のさざ波で口説いて、イケナイ人。
星のバルコニーで頬よせ踊って、地球のヒミツをききだした。
あれからすっかり、あたし、おしゃべりが止まらない。」
幾何学的なデザインに沿うように、グラスに傾斜して
リキュールの湖で、‥あゝ、蜜の、なやましい、粘着。
「ここに来る日に、ライムの木ったら、尻もちつくのよ。
うふふ、美人がだいなし、危ないったら、ないわよね。」
さみしがりの兎。
未来の楽譜を、ライムの木に生らそうと
トゥルル‥ トゥルル‥
時間の奏でるおたまじゃくしに、
トゥルル‥ トゥルル‥
ライムの木にこっそり耳うちしちゃった、私。
(尻もち…。)
(ありがとう。気をつけなきゃ。)
「あなたも、すっかりおしゃべりよね。」 と今夜もムーンライトは、ほろ酔い加減で‥。