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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

蝉ファイナル~延長戦~

ある冒険者の最期 ~蝉ファイナル~延長戦の延長戦~

作者: アジの開き

連載してる小説の外伝っぽいもの

文章長くなって申し訳ない。


ちいさな もり と おおきな まもの の延長戦

『アンダーゲート』

始まりの町。

ここはそう呼ばれている町だ

どうしてそう呼ばれているかはこの町の先にある山を越えると魔物の領域にたどり着くこと。

そしてこの町には冒険者のギルドがあり、そこで登録すれば冒険者を名乗りギルドに登録される依頼を行えるようになる。

加えて近くには弱い魔物の出る森があり腕試しにも適していて、ギルドに登録されている依頼も新米冒険者でも簡単に行えるような低級なものが揃っている。

と言うのもアンダーゲートでは冒険者の育成も兼ねているからだ

ギルドに登録さえすれば、町のサービスの大半が無料、または格安で使えるようになる

まさに冒険者にとっての『始まりの町』ということだ


今日ここに三人の男が現れる

三人とも同郷の出身であり、幼馴染。といえるような存在だ

彼らは冒険者になるためにここにいる。

と言うのも三人の中の一人、ルゥと言う男が冒険者をやらないかと切り出したからだ。

その申し出に彼らは村の中に居場所がなかったことも手伝って喜んで受けた

彼らには身寄りがない。家族はみな、流行り病で死んでしまい、村では疫病神のように扱われる。

そんな生活に嫌気が差していたある日村に居た元冒険者の男が語ってくれた武勇伝。そして冒険の数々に憧れた。

その話は彼らにとって希望になった。

今は村で疎まれるだけの存在の彼らがもしも、もしもだ。

冒険者になり、名を上げ、数多くの魔物を倒し、多額の金と名誉を持って凱旋したらどうだろうか?

村は彼らを賞賛し、暖かく迎えてくれるはずだ

彼らはそんな夢のような物語を夢見て、そしてアンダーゲートにたどり着いた。


彼らは着いて早々に冒険者ギルドに向かう


「こんにちは!ここは冒険者ギルドの窓口です。冒険者登録をなされますか?」


満面の笑顔。美しい顔。煌く美しい蒼い髪。

彼らを迎えてくれたのはそんな声だ。

彼らは村ではみたこともないような美しい女性に狼狽し、しどろもどろになりながら各々が登録すると答える。

冒険者登録は恙無く(つつがなく)行われ彼らは冒険者になった。


右も左も分からない彼らに冒険者ギルドはまず簡単な依頼を受けてみてはどうでしょうと助言し、ギルドのホールの左手にある掲示板を指差す。

そこには大きな掲示板があり、ベタベタメモが貼られているのが見えた

一枚一枚を確認していくと野草の入手、ペットの探索依頼、紛失物の探索依頼、荷物の運搬手伝い、害虫駆除、低ランクの魔物の討伐等々の誰でも出来る依頼が貼られている。


彼らは相談しながら貼られたメモからいくつかの候補を搾り出した。


「まずは荷物の依頼でいいんじゃないか」

「そんなもの誰でも出来るじゃないか。これだ、討伐にしよう」

「おいおい来たばかりで何も分からないのに討伐なんかするのか?まずは地形をだな・・・」


三者三様の様々な言い分をぶつけ合う

そうして彼らなりの妥協案を探し出す。


あーでもないこーでもないと言い続け、最終的に来たばかりだからまずは宿を探して休もう。ということになる

ギルドの窓口に三人で泊まれる宿はないかと問う。

ほどなくしてここなんかがいいんじゃないですかと、答えが返ってくる。


そうして宿に泊まり、夜が更けていった。

やわらかいベッド、暖かな部屋、優しい店主。

彼らがしばらく体験していなかったことだ


彼らにとってそんなささやかなこと全てが幸せとなった。


次の日

朝早くに起きて、真っ直ぐにギルドに向かう。


昨日と同じように掲示板に向かい、依頼を探す。

沢山ある依頼から彼らがやると決めたものは討伐。

対象はゴブリン。

場所はアンダーゲートの側にある小さな森。

掲示板からメモを千切り、窓口に届け、詳しい説明を受ける。

説明と言うのは報酬と討伐数、注意すべき点。

そういった事だ。


「あの森は迷いやすいので気をつけてくださいね。ですが、生息している魔物は低級のものばかりなので、特に注意すべき魔物はいません。それではがんばってください!」

そういうとグッとガッツポーズする窓口さんに見送られ彼らは町を出た。


町を出てほどなくすると森の入り口に着いた

小さな森。といっても迷ってしまえばすぐに抜けられるようなものではない

森の雰囲気は全体的に静かでたまに鳥のさえずりが聞こえるぐらいなもので、問題はなさそうに見える。

迷わぬようにいくつかの木々に印をつけて彼らは森を進む。


森の奥

恐らくだが真っ直ぐ進んでいる。

どこからか鳥のさえずりに紛れギャーギャーと不快な音が聞こえるようになり、ゴブリンはかなり近くに居る事が彼らにも分かった

慎重に、音を立てぬように声のするほうに向かう。

木々の隙間、少しばかり開けた場所にゴブリンが10匹ほど屯しているのが見えた


ルゥは後ろに居る仲間に合図し、腰に差した直剣に手をかける。

やることはシンプルに、奇襲だ。

油断しているゴブリン達の中に突っ込み恐慌させて全て討伐する

それだけだ

村に住んでいた時もゴブリン相手に使った方法であり、問題はない。

仲間が両脇についたのを確認する

そして指を三本立てて全員に見えるように一本、また一本と折っていった。

深呼吸し、目前のゴブリンを見る

直剣の柄を握り締める

今だ!

一斉に茂みから飛び出し、ゴブリンの元に駆ける

一番近い位置に居たゴブリンはこちらを見て、何かを言いかけたがその瞬間にルゥの直剣はゴブリンの首を捉え、ゴブリンの首を刎ねる。

事態を把握できないゴブリン達はルゥ達の計画通りに恐慌状態に陥った。

そのまま四方八方に逃げ出すゴブリン達を彼らは追いかけ確実に掃討していく

完璧な計画だった。

全てがうまくいくと思った。



アレが出るまでは。

アレは大きな音ともに現れた。

ブンブンだがミンミンだかカナカナだったかそんな音だったような、違ったような。

とりあえずかなり耳障りな音だった。

そしてアレは彼らの仲間の一人を押しつぶして降ってきた。

体長は3メートルぐらいだろうか

真っ黒なカラダ

白く透明なハネ

大きく赤いヒトミ

アレは唖然としている残った仲間を一瞥するとそのまま無造作に手のような脚を振るう。

そのまま何の抵抗もなかったように体を通り過ぎていった。

グラリと揺れて2つになった仲間は倒れていく。


こちらを見る。

ルゥを見る。

大きくて赤いヒトミにルゥの姿が映った

ああ、そうか。あとはオレだけなのか


「この化け物が!」


ルゥが叫んだ。

大きく振りかぶった直剣はアレの体に真っ直ぐと振り下ろされたがその甲殻に阻まれてはじけ飛び、弾かれた直剣はルゥの手元から離れ遠くの方で地面へと突き刺さる

そして武器がなくなるとともに気力が尽き果てたルゥはガクリと膝をつく。

ジジジという音が近づく

音と共に走馬灯というのだろうか、ルゥは今までの全てを思い出していった。


「話と、話と違うじゃないか・・・」

彼の最期の言葉はこれだけだ

三人で夢見た絵空事は綺麗に消えてなくなった。


冒険者ギルドが、彼ら三人が消えたことに気付くのは少し先の話になる。

それまではアレは誰にも知られないのだ。


これはちょっと昔の話。

仲間と共に夢を見た、とある冒険者の最期の物語



蝉ファイナル~延長戦~もよろしくお願いします

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