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事故物件の引き継ぎ書

掲載日:2026/01/22

 格安のアパートに入居したら、キッチンの引き出しに、前の住人が残したと思われる「メモ」が入っていた。

 

 ノートをちぎった紙に、震える文字でこう書かれていた。


【この部屋で生き残るためのルール】


1.夜11時以降、インターホンが鳴っても絶対に出ないでください。モニターも見ないでください。カメラの向こうにいるのは、人間ではありません。


2.お風呂に入っている時、「シャンプーの減りが早い」と感じたら、すぐに浴室を出て鍵をかけてください。その夜はもうお風呂に入らないでください。誰かがあなたの頭で泡立てています。


3.寝ている時、天井の四隅を見ないでください。もし黒いシミのようなものが見えたら、目を逸らさずに「入ってくるな」と3回唱えてください。目を逸らすと、落ちてきます。


4.もし、部屋の真ん中に「後ろを向いた長い髪の女性」が立っていても、絶対に話しかけないでください。彼女はこの部屋の元々の持ち主です。彼女が振り返るまで、あなたは「いないもの」として振る舞ってください。


5.最後に。このメモを読んでいる最中に、背後でカサカサと音がしても、絶対に振り向かないでください。


 俺は鼻で笑った。

 なんだこれ。たちの悪いイタズラだ。

 俺はメモをくしゃくしゃに丸め、ゴミ箱に投げ捨てようとした。


 カサッ。


 背後で音がした。


 俺の体は凍りついた。

 ゴミ箱のビニールが鳴った音? いや、もっと高い位置だ。

 俺のすぐ後ろ。首筋のあたりで、何かが擦れる音。


 ――振り向いちゃいけない。


 急に、メモの「ルール5」が脳裏をよぎる。

 馬鹿馬鹿しい。そんなわけない。

 俺は恐怖を振り払うように、勢いよく振り返った。


 そこには、誰もいなかった。

 ただ、白い壁があるだけだ。


「ほら見ろ、脅かせやがって」


 俺は安堵のため息をつき、再びメモを拾い上げた。

 まだ続きがあったのだ。

 俺は丸まった紙を広げ、最後の一行を読んだ。


『6.ごめんなさい。ルール5は嘘です』

『音に気づいた時点で、もう手遅れです』


 視界の端。

 俺の肩の上に、青白い顔が乗っていた


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