夕陽に映える隣席と図書カード
[訂正 2025/11/12]
朝陽は短髪という設定でしたが、長髪に変更しています。(最初のエピソードでは既に修正済み)
時間は進み、帰りのホームルーム。
夕方らしい赤い日差しが窓から教室の中を照らす。昼間まで騒がしかった喧騒も少しずつ落ち着きを見せ始めている。
未来はふと、隣の席の朝陽に視線を送る。彼女は教材をカバンに仕舞っている。ゆったりとした長髪は夕陽に照らされ、淡い茶色い色素と溶け込むように輝いている。
今日も昼休みには男女問わず朝陽の周りには人が集まっていた。特に男子達はさりげなく理由をつけて接点を持とうとまで懸命な様子だった。
朝陽は涼しげな微笑を浮かべて応対していたが、やはり今朝の美鈴の言葉を聞いた時に浮かべた微笑とはどこか違和感があった。
未来と和樹と美鈴は少し離れたところで弁当を食べていたが、美鈴はどこか不満げ。
「みんなはなんで朝倉さんの頑張ってるところを分かってないのかな? 見てるこっちがよく分かんないよ!」
プリプリと怒る美鈴の頭を、苦笑いを浮かべながら優しく撫でていた和樹。彼も人の内面を見透かす人物のため、内心ではきっと美鈴の言葉に賛同しているのだろう。
未来は朝陽に向けていた視線を前に向け直す。隣から聞こえていたガサゴソという音も止む。朝陽も教材を仕舞い終わったのだろうか。
淡々とした担任からの、明日の連絡が終わり、クラスメイト達の喧騒は再び蘇る。そんな中、目の前の席の和樹と美鈴は楽しげにデートのプランを話し出している。一方隣の席の朝陽はすぐに席から立ち上がって廊下へ。普段の彼女と全く一緒だ。
何故かデートプランについての話し合いに巻き込まれた未来は、嫌々ながら適当に返事を返している。だが朝陽が立ち上がった瞬間、彼女のスカートのポケットから紙が1枚、ヒラヒラと床に落ちていくのをたまたま目にした。しかし、目の前のカップルの話し合いに巻き込まれていたため、すぐに朝陽に声をかけることが出来なかった。
しばらくしてようやく解放された未来は見ぬフリを貫こうとした。だが今朝彼女から参考書を届けてもらった手前、それは礼儀に反すると感じてしまい、床に突っ伏しているその紙を拾う。
可愛らしいイラストに「500円」の文字。下には図書カードと書かれている。
未来は手に取った図書カードをしばらく見つめたあと、リュックを背負って廊下へ。校舎から出た彼は、一旦自分の家へ帰宅することに。
(とりあえず今日も行ってみるか)
家に着いた後に向かうのは、もちろんキリヤマ書店。彼も本当なら昨日のことがあって自ら進んで赴きたくはないのだが、拾ってしまったら最後、本人に届けるのがベストだろう。
本人になんて言われるかは知ったことではない。そう考える彼の背中を、西の空に浮かぶ太陽が見守っている。
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