最強の漢
「たかとくん!どこにいるの?」
あれから数分。ずっとたかとくんを探しているが全く見つからない。
「はいこれ、もう落とすなよ」
ゴリオンさんは俺にシエルさんを渡してくれた。
シエルさんには色々と言いたいことがあるが、、、
「シエルさん、ありがとう」
『えへへ、それが私の役割ですから』
「シエルさん、あんた最高だよ」
『もう落とさないでくださいね!』
「うん、分かりまし、、、」
タッタッタッタ
「うわっ」
ゴリオンさんが急に走り始めた。
「今嫌な音が聞こえた」
俺も耳を澄ますが、全く聞こえない。だがゴリオンさんが数m進むと
むしゃむしゃ
と言う音が聞こえた。
咀嚼音・・・?まさか!
「ゴリオンさん!」
「あぁ、嫌な予感がする」
ゴリオンさんは更にスピードをあげ、音の聞こえたところへ走る。
「嘘、、、だろ?」
目の前には右手で足、左手で首を掴み、たかとくんの腹を下品に喰らう熊がいた。
「スコーピオン、赤ん坊を頼む」
「はい、、、」
ゴリオンさん、冷静だ。俺は今にも腑が煮えくり返りそうだけどこの足のせいで何もできない・・・
くそ、、、俺のせいで、、、
「スコーピオン、俺に任せておけ」
その時なぜかゴリオンさんの背中が大きく見えた。
「ふー」
ゴリオンさんは左手首に巻いてある腕時計を外し、右手の第二関節と第三関節の間に巻き、メリケンサックのようにもち、ゆっくりと熊に近づく。
俺を襲った熊ほどの大きさはないが、ゴリオンさんよりは大きい。十分怪物だ。
「ゴリオン、、、さん」
「安心しろ。これでも伝説のエージェントだ」
そういえばずっと伝説と言われていた。セドノイドですれ違った人たちがみんなこっちを指さしていた。なぜかと思うこともあった。だってゴリオンさんが戦ってるところなんて一回も見たことなかったから。だけど今わかった。この漢が伝説と言われている理由。1人でも敵地乗り込みを許可されている理由。この漢が最強の理由・・・
ゴリオンさんは右手を振りかぶり、熊の腹を思い切り殴る。
ドン!!!
熊は鈍い音とともに遠くへ吹っ飛んだ。
一撃だ、たったの一撃で、あの熊を殺した?
「しかも素手で・・・」
「ふぅ、、、ふぅ、、、ふぅ。現役だったら風穴を空けれてたのにな」
マジかよ・・・
この時俺はすごい人に拾われてしまったのだと理解した。




