表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すたーと・おーばー・りべんじゃー  作者: 小柳和也
1章 真っ当かつ、正しい立場からの理由があろうと、絶対に許せないという心を行動に表すだけの話
8/9

5話 メイン火力が不在でも、目的を成すことは可能ということ

 ウォークライさんを仲間に引き込んだが、状況が明解に好転したわけではない。

 ありていにいえば、あまり状況に変化はない。

 事情を知っている仲間が一人増えた、に過ぎない。


 なぜなら、私とウォーさんは、この半年間の冒険中、実際そんなに仲良しこよしではないのだ。戦闘の最前線で突っ込んでいく私と、ウォークライさんであるから、常に会話はしていた。でもそれはあくまで戦闘上における連携や、行動の順序の話であり、要は仕事に関しての話題ばかりだった。日常的に飯に行ったり、お酒を飲みにいったりする仲ではない。


 嫌いあっているような、積極的な感情のやりとりをしているわけではないが、ついに二人っきりで食事に行くようなことはなかった。どちらかといえば、それは癪ではあるが勇者との方が遥かに多い。


 私が殺害される数時間前の状況下で、普段はあまり交流のない相手とつるんで行動している光景は、ミャーさんに警戒を抱かせる。

 だから私は最終的に、ウォーさんにはいつも通り過ごすことをお願いした。


「いざというとき、ウォーさんがすべきと思ったことを、してほしい。私のためにした方がいい、と思ったことを。今このときウォーさん自身がやるべきだと思ったことを。これが作戦の全容。理解した?」

「その場その場での、行き当たりばったり、ということだな。了承した」

 私の殺害計画に関しては、ウォーさんはほとんど情報を持っていなかった。指示待ち人間状態。

「貴殿の殺害が決まった、と先日伝えられた。勇者とミャー。両名が主導。離反の場合は、パーティーからの追放及び暗に家族の安否保障がなくなることを通達。脅迫である。しかしそれに従ったことは我。天秤にかけた。家族と仲間。申し訳ない」

「他の皆も、従ったんだね」

「各々理由があると察するに値する」

「ちなみに魔王討伐はどうするの? 私いなくちゃ魔王を滅することができたとしても、24時間連続耐久戦闘ぐらいになるんじゃない」

「それは同意。ゆえに問うた。貴殿不在で、どう魔王を倒すのか、納得できる解がほしい、と。超長時間労働の果てに、精魂尽き果てるまで叩かせて廃人になるまでやらせるのか、と」

 メンバー全員のメンタルが擦り切れるまで頑張って粘って。高額医療品を使いまくって資金難になるまで粘れば、魔王討伐も成すかもしれない。結果、それを成したメンバー全員の、その後の人生が、まだ年齢も若い彼ら彼女らが、介護の名のもと、誰かに常に依存している日常になることは、とてもつらい。

「奴らの返事は?」

「考慮しなくてもよい、と返答」

 私はさすがに眉をひそめる。なんだそれは?

「考慮って、それは考える必要ない、と? 廃人になるまで戦い続けろってこと?」

「それ以上の質問は受け付けられなかった。ただ決定事項である、とだけ伝えられた。ただ」

「ただ?」

「保障する、ともいわれた。我らの今後の人生において、支障をきたすような事態になることはない、と」

 私がいなくても、魔王討伐は、成るということ? 安全になる、と?

 パーティーの主力火力を担っていた矛がいないのに?

 必要ない、ということ? 攻撃がいらない。攻撃しない?

 和解?

 わからない。今の情報では、何を考えても妄想の域をでない。一旦、これは保留にするしかない。

 聞くしかないのだ。知っている奴に。


 知っている奴の、身体と心に、直接訊くしかない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ