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第三幕十九話

最近は毎日、目を覚ますと違った景色が見える。少し冷たい風が頬を掠めて、寒さを感じる。


「それでは、今からエルフの本部に攻め込む。準備はいいか?」


「「「「はい。」」」」


「転移……」


カスティーリャの父が大きな魔法陣を形成する。そして、俺らはエルフの本部まで一瞬で転移した。


「これが魔法か……。」


ラグロ班長は初めての魔法に感動している様子だ。それを見て、自分の昔が懐かしくなった。


「ここはエルフの本部のどこですか?」


ラグロ班長は直ぐに落ち着いて、現状をミシェル前騎士長に聞いて確かめる。


「ここはエルフの本部の少し外側の場所よ。まずは、門番を倒さないとダメみたいね。」


少し外側にしたのは、中には特別な結界が張られていて入れなかったからだ。流石に、中の警備は厳重なのだろう。


「門番は我が倒してくるのじゃ。」


「わかった。任せたよ。」


ミカエルがラグロ班長の許可を取って、剣を抜く。そこからは一瞬で、恐らく時を止めて門番の二人を瞬殺した。


「早いわね……。私でも目で追えなかったわ。」


時を止めているとは知らない、ミシェル前騎士長は驚いている。


「みんな、行くよ。」


俺らは走って、敵の本部に乗り込む。敵を見つけたら、通報するされないギリギリのスピードで倒して行く。


「いい感じだ、このまま騎士長を討ち取るぞ。」


ラグロ班長は敵にバレないように小声で士気をあげる。このま……


ひゅーーー


「「天井だ!」」


その声が聞こえたの同時に、ティナに服を掴まれて、高速で移動した。


グシャッ!


人が潰れる音が響く。


「ロー、怪我ない?」


「ああ、けど……他の人は?」


天井の残骸から砂煙が上がっている。


「我は無事じゃ。」


後ろを振り返ると、ミカエルが無事で立っていた。


「みんな、大丈夫か?生き残っている人は返事をしてくれ。」


「「「「はい。」」」」


砂煙の中から、数人の声が聞こえる。砂煙が晴れて、見えた人はざっと、二十人程度だ。マイトと周りの人達と、ローゼルイスと、ラグロ班長と、ミシェル前騎士長と、マリエッタだ。


「これだけなのか……。」


誰かの愕然とした声が静かな空間に響く。ローゼルイスやマイトやマリエッタは『恩寵』で大丈夫だったのは分かる。けど、ミシェル前騎士長とラグロ班長はどうして無事だったのだろうか?


「死ぬかと思ったわ。私の身体は一度潰されて、回復していってくれて良かったわ。私の『恩寵』は思っていたよりも強いのね。」


「うおお、マリエッタぁぁぁぁああ。生きてたのかよ!嬉しいぜ。」


マイトはマリエッタの無事を知って、泣いて喜んでいる。マリエッタの言ってたグロいことは気にしていないようだ。


「あの人たちすごい。剣で全部、斬ってた。」


ティナがラグロ班長とミシェル前騎士長を指さして驚いている。やはり、班長クラスの人は発想からぶっとんでいる。そんな人達を見ている、マイトの周りに居て助かった人達はそれぞれの悲しみや絶望を感じている様子だ。敵の本部で残りが二十人あまりというのは絶望的な状況だろう。


「みんな、ここで敵が来たら危ないから急ぐよ。」


ラグロ班長はこんな時でもちゃんと、頑張っている。俺は今、死んだ人たちのことを考えて悲しんだだろうか?例えば、セレン。ずっと、一緒に暮らした仲間の一人なのに特に気にしていなかった。昨日仲良くなった、カスティーリャの父親は……マイトの近くにいて助かったようだ。少しずつ、思考がこの世界に汚染されていくのを感じた。


「ロー、今のは仕方ない。切り替えてこ。」


「ああ。」


俺らは再び、戦うために走り出した。戦うなんて言っているけど、結局は殺しに行っているのだ。そこら辺の覚悟をしっかりと持っていかないといけない。


「そろそろ、中心部に近づいて来たよ。あと、ちょっとだ、頑張るよ。」


中心に近いところに来た時、これまでと違うゆっくりとしかし、重みのある足音が近づいてきているのが分かる。やがて、一人の男の姿を見せた。明らかにこれまでの奴らとは違う。そんな雰囲気に包まれている。


「ランス……。」


前にいたミシェル前騎士長から、驚きの声が漏れる。


「久々だな、ミシェル。悪いけど、お前らには死んでもらう。」


隙だらけの様子で、ランスと呼ばれた男はゆっくりと剣を抜く。この戦争が終わりに近づいていることを理解して、俺は一段と気合いを入れた。


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