表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/42

第三幕十八話

上位クラスに移ってから、一ヶ月が経った。ミシェルに負けた報告をしたら、シヴァ様は膨大な魔力をくださったが、目立たないためになるべく使わないようにしている。魔法も使えず、剣も出来ないので、私は今では上位クラスの劣等生になっていた。


「あ、不正ちゃんだ。」


私を見つけて、そんな声をあげるのは下位クラスの三人組だ。いつも通り、私が無視すると珍しく追っかけて、道を塞いだ。


「どういうつもりですか?」


「なんだ、あんた喋れないんだと思ってた。」


「え、喋れたの?だから、魔法が使えないとみんな思っていたのにね。」


わざとらしく私を煽ってくる、このエルフは魔法が下手くそだ。だから、私は何を言われても特に何もない。私はついそんな連中を見て、鼻で笑ってしまった。


「舐めてんの?」


そう言って、私に蹴りをいれようとしてくる。


「おい、邪魔。」


その子の足をランスが防いで、私の手を引っ張って歩き出した。


「え……。」


私とあの三人組は戸惑っている。


「あの、ありがとう。」


「別に、アイツらが邪魔だっただけ。」


ランスは少し、照れたような反応を見せる。


「それでも、ありがとね。」


私はちゃんとお礼を言って、教室へと入っていった。





私はほんとにエルフを殲滅しないといけないのだろうか?ミシェルやランスなど、恐らくいい人は沢山居るのだろう。エルフを滅ぼすこと以外に方法はないのだろうか?と、最近は考え始めた。


『学園長室に来てくれるかい?』


ジャーティー学園長はたまにこうやって、私を呼び出す。たいてい、その日の帰りには学園長室に寄っている。


「今日も来てくれたのかい?」


ジャーティー学園長は自分で呼び出しておいて、そんなことを言う。


「今日も呼び出しましたよね?」


「そういえば、そうだったね。」


この婆さんは、もうボケたのか?


「もう一ヶ月くらい経つけど、レイチェルは魔法を使わないのかい?」


「だから、危ないので使っていません。」


ホント、何回同じやり取りをしたのだろう。


「そうかい。本当は上位クラスの子達に解決して欲しかったのだけれどもね。そうしたら、レイチェルも魔法が使えて文句なしの上位クラスだったのにね。ホント、上位クラスにはもう少し頑張って欲しいものだねえ。」


「いえ、皆頑張っていますよ。他人にそんなにかまっていられないんですよ。」


それでも、かまってくれるミシェルとランスは本当に優しいと思う。


「戦術とかはどうなのかい?」


「戦術ですか……?」


「そうそう、参謀的なやつのことだよ。そっちの方面の成績はどうなんだい?」


参謀の試験とかあったっけ……?


「あ……まだ、そんな試験ない時期だったか。今のは忘れておくれ。」


「分かりました。」


私はそんな空返事をしたが、ジャーティー学園長の話はあまり聞いていなかった。もし、参謀で偉くなっても誰も怪しまないだろう。そして、いつでも隠している魔力で不意打ちで騎士長を乗っ取ることができる……。そして、そのために必要なのは参謀の実力と革命を起こした時に必要な人望……。


「レイチェル、レイチェル。」


「は……はい。」


私はジャーティー学園長の声で我にかえる。


「どうしたんだい?」


ジャーティー学園長は怪訝そうに私を覗き込む。


「いえ、大丈夫です。なんともありません。」


そう、もうなんともない。たった今、これからの事は決まったのだから。


「そりゃ、良かった。じゃあ、また。」


「ええ、また来ます。」


私は初めて、嬉しい気持ちで学園長室を後にすることになった。





その後、猛勉強とポテンシャルのお陰で参謀の才能を認められて、私は参謀として騎士となった。ミシェルも一緒になることは分かっていたけど、部屋で喜びあった。あと、ランスも無事、騎士になったみたいだ。


「良かったわね、レイチェル。もう、あなたを不正だなんて言うやつは居ないわよ。」


「けど、卒業しちゃったけどね。」


「なんか、長いようで短かったね。」


「ホント、一瞬だったよ。私はひたすら勉強してたからね。」


参謀を目指したら、直ぐに参謀長になれるようにずっと、勉強していた。今の参謀長が死んだら、次は私になると確信している。


「ランスのやつは、結局やらなかったか。」


「え、なにを?」


突然発せられた、ミシェルの言葉が分かっていなかったら、ミシェルはたいそう驚いた顔をしている。


「まあ、レイチェルはまだ知らなくていいわよ。」


「え、ひどい。」


まあ、どうでもいいかという、私の考えのせいでこのことは忘れていった。





私は一人、暗い部屋で目を覚ます。周囲を確認して、時間が現在なことを確認する。自分の結界の内側に人族が入ってきたのが分かる。そして、直感的にその中にミシェルが居ることも……。


私は暗い部屋の中で一人、小さくため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ