第三幕十四話
また、名前変更しました。ごめんなさい。
ティア騎士長→ミシェル騎士長
「エド、獣族のスパイの件、どうだった?」
俺とレイチェルは黙って、エドの報告を聞いていた。
「やっぱり、ミシェルか……。」
「まあ、仕方ないね。」
レイチェルは少し悲しそうな顔をしながら、昔を思い出していた。
私は、エルフ領に侵入してすぐ騎士学園に入学した。知り合いとかもいなくて、最初はいつも一人でいた。
「あ、不正入試のお嬢様じゃん。」
「ちょっとー、可哀想だよー。」
「そー?ウケるー。」
実力が私と同じ下位クラスの三人組がこちらを見て笑っている。
「ちょっと、何こっちみてんの?」
私と目が合うとリーダー格の人達が文句を言ってきた。私がそれを無視して歩き出すと
「無視すんなよ。」
と後ろから声が聞こえて来るが、追いかけられる様子はない。
「はあ、慣れないなぁ。」
私は魔法も使わず、魔力を制御して目立たないようにして下位クラスになった。しかし、魔法を使わないようにするのは難しいことだ。
「ホント、それ。」
「え?」
隣にいつの間にか居た女の人が同調してきた。まずい……計画をつい口にしていたか……?そうしたら、口封じを。
「同期なのに何故か仲良くなれないのよね。」
「はあ、そうですか。」
彼女が同調してきたのは学園に慣れないことの方みたいだ。
「ところで、あなたは誰ですか?」
私の質問を聞いて、彼女はかなり驚いた顔をした。
「驚いた。私を知らない人もいるんだ。まあ、今はその方がありがたいんだけどね。私は首席のミシェル。よろしくね。」
あー、首席の人か。他の人達はトップを目指しているから、意識しているのかな?
「うん、よろしくお願いします。」
この日から、私の学園生活は少しずつかわり出した。
私は放課後、ジャーティー学園長に呼び出されたから、学園長室に向かっている。私のように何もしていないはずの人が、学園長に呼び出されるとは何があったのだろうか。まさか、魔女なのがバレたのだろうか?最近、この心配が絶えなくてホント困るな。
「失礼します、レイチェルです。」
「どうぞ、お入りください。」
私はこの何を考えているのか分からないおじいさんと対面する。
「さて、この学園は楽しいかい?」
「はい、素晴らしい環境で充実した生活を送ることができています。」
私は心に思ってもいないような嘘をすらすらと述べる。恐らく、これから嘘をつかないといけないことが増えてくるのだろうから、これは最初の練習だ。
「そうかい、そうかい。それは、学園長として嬉しい限りだよ。ときに、あなたは魔法を使わないと聞くのだが、本当かい?」
やっぱり、その事だよね。さすがに、その質問についてはちゃんと、対策している。
「はい、私が魔法を使うと魔力が暴走して危ないので控えております。」
「そうなのかい!それは凄いね。ここでやって見せなさい。」
え……ここで?こんなの予想してないって!
「ここで、ですか?」
「ええ、そうだよ。何か出来ない問題でもあるのかい?」
「危ないですよ……?」
「私のことを心配するには百年早いよ。」
このババアぶち殺してやろうか。
「では、やりますよ。」
私は息を吸い飲み魔法を唱える。
「発火……」
そう口で唱えて、同時に重力魔法と爆発魔法を使う。
ばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああん。
耳をつんざくような音ともに私の魔力を爆発させる。クソババアは死んだかな?私はボロボロになった身体を起こして、近寄ろうとする。
「あなた、丈夫だし、かなり魔力あるのね。」
「え?」
目の前に無傷なジャーティー学園長が平然と立っていた。
「ほい。」
ジャーティー学園長が腕を一振すると、私の怪我は一瞬で癒えた。
「あなた、その様子だと魔力も膨大なんだろ。どうして、それも使わないのかい?魔力は暴走しないと思うんだが。」
うわ……このババアやりずらい。
「えっと……それだと、私が強すぎてつまらないじゃないですか?」
焦って、本音八割、嘘二割を含んだ言葉を紡いでしまった。音や時は元に戻るはずもなく、私を後悔に沈みこませる。
「なっはっはっは。あんた、面白いな。明日から、上位クラスに行ってみな。」
「えぇぇぇぇぇぇええ。」
変な疑いをかけられるよりは全然いいはずなのに、私はつい大声をあげて悲しんでしまう。
「あと、たまにここに来てみなさい。私も一人で寂しいのよ。話し相手になってくれるかい?」
私はもはや、口から言葉を発することが出来なくなっている。上位クラスに移動とか、絶対目立つじゃん!
「嫌かい?」
「い……嫌じゃありません。」
「そりゃ良かった。ではまた。」
私は口を開きながら、学園長室を出でいくことになってしまった。神様、どうか私を助けてください。シヴァ様、どうか私を許してください。そう、天に願い続けていた。




