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第二幕十三話

普通じゃない様子のローゼルイスの姿を見て固まっていると、向こうから話しかけてきた。


「こいつは僕らを暗殺しようとしたんだ。ミルフが殺されて、僕のところに来たから僕の『恩寵』で殺してあげたんだよ。」


俺はローゼルイスが魔力のために殺したんじゃないことに安堵しながらも、この状況に慌てている。おそらく、これまでの捕虜は今回の暗殺のための布石。てことは、今回の捕虜百人は全員、暗殺の能力を持っているのかもしれない。


「ティナ、ローゼルイス、ミカエル達を起こして、他の人達を助けに行くぞ。」


「ん。」


「うん。僕はミカエル達を起こしてくるよ。」


その言葉を合図に俺とティナは走り出した。


「な……。」


他の野営場を見ると、火の手があがっている所がたくさんある。魔法のせいだと思われる大量の火が一部に広がっている。


「降雨……」


俺は周りにティナ以外いないことを確認して、大魔法を使う。火の手があがっている一帯に激しい雨を降らせて、消化する。


「ティナ、本気出すよ。」


「ん。」


ティナから耳と尻尾がはえて、獣族の特徴が現れていく。


「コート。」


俺は、ティナに言われて創造魔法でティナの身を隠すためのコートを作る。ティナが獣族へと変わったのは、五感を研ぎ澄ますためだ。空中で速度無制限で動けたとしても、障害物は避けれないといけない。だから、スピードを限りなく高く上げて避けるために獣族化したのだ。


「行ってくる。」


こうなったら、ティナは最強だ。俺は、鎮火し終えた野営場を見下ろして、援護に向かう。不意に後ろから、ナイフが迫ってくるのを肌で感じて、剣で受けた。


「チッ。」


ナイフを突き立ててきた男は自分が劣勢だと気づいて、距離を置いた。俺はすかさず、氷の弾丸を撃ち込むが、バリアで防がれる。


「お前ら、普通に無詠唱で魔法使えるのかよ。」


「当たり前だ。エルフを舐めるなよ、下等種族共。」


それだけ言い残して、男は森の中に消えていった。


「ぐぁぁぁぁあ。」


「うぉぉぉぉお。」


ティナが次々にエルフを生け捕りにしている。それを見て、大勢が退散していく中、一人が残っている。


「火炎……」


殿から、炎の竜巻がティナに向かって飛んでいる。俺がそれを氷の障壁で防ぐと氷は溶けて、火は消えていった。


「な……。」


あたふたしている所をティナが縄で拘束して、暗殺隊全員の処理が終わった。


「みんな、集まってくれ。」


夜遅くだが、ラグロ班長の呼びかけに皆が集められる。ティナは疲れたようなので、一旦寝かせている。


「とりあえず、被害を確認するよ。この奇襲で、全部で二百人が命を落とした。残りは八百人だけだ。予想外な形でこんなにも人数を減らしてしまったことを謝罪する。でも、どうかまだ僕と一緒に戦って欲しい。」


「「「「おーーーーーー。」」」」


ラグロ班長の謝罪と鼓舞に皆がのせられる。ラグロ班長に頼まれると、いい意味で誰も断ることが出来ない。


「では、みんな怖いと思うけど、暫くは寝て休んでてくれ。」


「「「「了解。」」」」


一旦、それぞれ解散する。俺はその中から、ローゼルイスを見つけて呼び止める。


「どうしたんだい?」


「なあ、お前の『恩寵』って何だったんだ?」


エルフの頭を消し去ってしまうようなもので、無音かつ暗殺隊に勝てる力がローゼルイスにはある筈だ。


「そのことか。僕の『恩寵』は『破壊』だ。その名の通り、触れたものを破壊するだけの能力さ。野蛮すぎて、僕には相応しくないかもね。」


「まじか……。」



『破壊』は触れられたら詰みだろう。それに、能力がバレていない段階だととてつもなく強くなる。俺はローゼルイスから少し距離をとる。


「大丈夫だよ、『恩寵』は使用しようという意思がない限り、発動しないからね。そんなに逃げなくても大丈夫だよ。」


「オッケー。」


果たして、俺らは二百人失つたが、このままでいいのだろうか?

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