第三幕九話
俺らは今から、ついにエルフに攻め込みに行く。
昨日、エルフからご丁寧に革命のお知らせを聞いた。なにかの罠かと考えられ調査したが、革命が起きたのは本当にらしい。だが、新騎士長は前騎士長より強いという悲しい情報もえた。だが、俺らは騎士長のところまで攻め込むことはないだろうから大丈夫だ。
俺らは全員でおよそ千人だ。本隊が二百で、補助隊が四百人ずつで構成されている。俺らは本隊の二百人で殆どの攻撃を終わらせるらしい。
「みんな、誰も死者は出さずに行くぞ。」
「「「「おーーーーーー。」」」」
俺たちのいる戦地のとある一箇所が叫び声で埋め尽くされる。ここから、一歩でも踏み出すとエルフの陣地となる。そして、その一歩目をラグロ班長が踏み出す。それに続けて俺がいる本陣が動き出す。
「ロー、行こ。」
俺はティナの隣かつ、ラグロ班長に離れすぎない位置をとる。
「前方に敵を発見。俺の周りから離れないで。」
ラグロ班長の声に反応して、皆ラグロ班長に寄る。前方のエルフ達の足元には魔法陣が形成されていて、沢山の火の玉が飛んでくる。俺らは誰も避ける気配はない。そして、火の玉がある程度近づくと霧散した。それを見て、エルフ達は戸惑っている様子だ。
ラグロ班長の『恩寵』の『妨魔』はラグロ班長の周りの魔法を無効にするものだ。だから、対エルフ班の班長なのだ。
「このまま固まって、一人ずつ対応していくよ。」
「「「「了解。」」」」
俺らはラグロ班長の動きに合わせて、エルフに近づくとエルフ達は白旗を上げて、降参する姿勢を見せていた。
「私たちは降参します。ここから、奥の砂漠までの陣地は引渡します。だから、殺さないでください。」
近くにいたエルフ達が集まってきて、皆が白旗を上げている。
「分かった。ただし、暫くは拘束させてもらうよ、いい?」
ラグロ班長は当たり前のように対応しているが、俺らは状況についていけてない。砂漠までとなるとかなりの広さがあり、それらを簡単に空け渡すと言った。何がどうなっているのかさっぱりだ。
「わかりました、どうぞ。」
百人近くのエルフが来て、両手を差し出す。俺たちはそれらに一つずつロープで縛っていく。そして、詠唱させないように口を塞ぐ。
「今日は砂漠のエリアまで移動して、野営することにするよ。そこまで暫く歩くけど頑張るよ。」
俺らはよく分からないままに、敵のいない敵陣地を歩き続ける。
「ラグロ班長、これはどういうことですか?」
俺はティナの隣から離れて、ラグロ班長に聞きに行く。
「ああ、これは最近、よくある事なんだよ。僕の『恩寵』で自分たちの魔力が効かないとしったら、降参するエルフが多い。まだ、陣地の端っこだからそこまで手を入れてないのだろう。」
「なるほど……。」
俺はやる気を出していた初陣の初日に物足りなさを感じながら、ティナの隣へと戻っていく。
捕虜は寮のメンバーごとに一人引き渡されているらしくて、俺ら八人にも一人の捕虜の管理を任せられた。
「交代制で見張るってことでいいだろ?一時間交代な。」
「我もロージェンの意見に賛成じゃ。」
珍しくマイトも反対しなかったおかげで、スムースに見張りが決定した。
「ロー。」
ティナから袖口をくいっと引っ張られる。
「どうしたんだ?」
「なんか、釈然としない。」
ティナもエルフ達が直ぐに降参したことに納得出来ていないらしい。
「ラグロ班長がよくある事って、言っていたぞ。」
「だとしても……いや、だからこそ?」
ティナはそれでも納得出来ない所か、余計に考え出した。
「捕虜のその後は?」
「ラグロ班長も一旦拘束するって言っていたけど、どうせ殺してるんだろ。」
この世界では、やはりみんな殺すのだろう。それが例えラグロ班長のような人でも……。
「おかしい……。今夜は私と寝よ。」
「は?」
巫山戯ているのかと思ったが、思ったよりも真面目な声音だったのに俺は気づいた。恐らく、ティナなりの考えがあったのだろう。
「分かった。」
ティナはそれを見て、満足そうな表情を浮かべる。




