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第三幕二話

エルフの副騎士長になってから、二年が経った。エルフの戦争状態は俺が密かに心を寄せている参謀長のレイチェルのお陰でかなり優勢だ。その影響でレイチェルは騎士からの信頼が厚い。それと、逆でミシェル騎士長は実力だけで魅せてくる。俺は、この安定した戦争がこれからも続くと勝手に思い込んでいた。しかし、その安定が崩れたことが目の前の状況を見て理解した。


「レイチェル、どういうこと?」


「ミシェルさんには騎士長をやめてもらいたいと言っているのです。私に騎士長の座を譲ってください。こちらにも事情があるんです。抵抗するなら、実力行使で行きますよ。」


俺は目の前の状況を正しく理解出来ていない。俺がどっちにつけばいいのかすら、分からないでいる。


「あなた、バカにしてる?参謀長のあなたが私に勝てるわけないじゃない。」


「譲る気がないのなら、仕方がないです。こちらから、仕掛けますよ。」


レイチェルは普段は見せないような速さで、ティアに斬りかかる。しかし、ミシェルは騎士長なだけあって強い。


「やはり、正面からの打ち合いは難しいです。」


「この程度で私に勝とうと思ったの?」


「ええ、勿論。」


次の瞬間、上から剣が降ってきて、ミシェルの肩に刺さった。


「こ……これは?」


「重力魔法です。元々、宙に置いてあったのを落としました。」


「は……。」


重力魔法はかなり高度な魔法で、しかも宙に置いていたということはずっと、続けていたということだ。


「一途の契約でもしたのか?」


「いえ、そんな不便なもの使いませんよ。それと、警告です。今、エルフの戦地の空には大量の武器があります。それは私の魔法一つでどうにでもなりますよ。なので、大人しく一旦逃げてください。」


「クッ……分かった。」


ミシェルは肩の傷口を治癒しながら、城から出ていった。人質が取られているためなのか、力量差を目の当たりにしたからなのかは分からない。ただ、レイチェルの力の底が分からないことだけが分かった。


「ランス副騎士長。」


後ろから、レイチェルの声がした。ビクついている肩を必死に抑えながら、振り返る。レイチェルはニッコリ笑ってこっちを見下ろしている。


「あなたも私が騎士長に成るのは反対ですか?」


「い……いや、反対しない。俺は……俺はレイチェルの味方でありたいと思っている。だから、レイチェルのやろうとしていることに手伝わせてくれ。」


普通、なんも無いのに騎士長の交代を求めたりはしないだろう。レイチェルにも騎士長になろうとしている理由がある筈なのだろう。まずはそれを知りたいと思っているのだ。俺はコンマ二秒で、過去一脳を回転させる。


「嬉しいです!ランスには私の一部を教えてあげましょう。」


「レイチェルの一部……?」


「ええ、実は私は魔女なのです。」


え……魔女?てことは、魔族からのスパイなのか?でも、いつから?レイチェルは十二歳の時にはこっちに居た筈……。


「私はエルフに楽に勝つためにシヴァ様に送られてきたスパイです。だから、私はとりあえず騎士長を蹴落としたのです。」


「分かった……協力するよ。」


俺はレイチェルのいる未来に居ないかもしれない。それでも、今はレイチェルを好きという気持ちが上回っている。シヴァ様とやらに命令されてきているのなら、レイチェルは命令を失敗したら、何があるか分からない。


「ほんとですか。ランス、あなたも死ぬかもです。戦争に負けるということはそういうことですけど……」


「それでも、構わない。まず、ジャスミンにお願いして情報を広めよう。」


「はい……そうしましょう。」


ジャスミンはテレパシーの魔法の一家で、代々一途の契約でテレパシーに特化している。テレパシーでエルフには同時に何人でも伝えれる。


「お呼びでしょうか、レイチェル参謀長様?」


当然、ジャスミンはテレパシーをどこからでも受け取れることが出来る。ジャスミンを経由すれば、連絡は誰とでも出来る。


「私が騎士長になったことをエルフの戦地の領域にいる者に伝えてください。そこにいるランス副騎士長が承認です。」


「レイチェルの言う通りだ。よろしくな、ジャスミン。」


「かしこまりました。」


ジャスミンは膨大な魔法陣を一瞬で形成して、伝達した。


「ありがとう、また今度会いましょう。」


「御意。」


レイチェルの誘いに完璧な敬礼をして、去っていった。


「ランス副騎士長、これからよろしくお願いします。」


俺はレイチェルにジャスミンに負けないくらいの敬礼をした。果たして、レイチェルはどうやってエルフを滅ぼすのだろう。



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