フクトミさんとモモコさん 其の4
「てめえら・・・・」
すっかり忘れていた。幽霊をノックアウトしていたのだ。
「モモコぉ!俺が1年間で貢いだ500万!忘れたとは言わせねえぞ!!」
僕たちの氷点下を下回る視線が一斉に注がれ、モモコさんを凍りつかせた。
「え?いやこれはねあのちがうのよほんとにあの」
「モモコさん・・・・あなた・・・・些か度が過ぎますよ」
「ひっ・・・・・」
ハンネさんが怒っている・・・。
その異様な殺気に、幽霊すらもたじろいだ。
僕とフクトミさんでさえ、いつもの怖いハンネさんが、一際怖ろしく見えた。
しかし幽霊は気力を振り絞る。幽霊らしくモモコさんに恨み節を唱えた。
「借金で働き詰めになってなあ!挙げ句の果てに過労死だ!!!」
「でも貢いだのはあなたの意思でしょう?借金をしたのも」
「う、うるせえ!とにかくその女は呪い殺さなきゃ気が済まねえんだよ!」
「自己破産しなかったんですか?」
「できなかったんだよ!前の自己破産から2年しか経ってなかったんだ!!」
相変わらずド正論をぶつけまくる。
幽霊は異形の姿へ変わって行く。例えるなら地獄の餓鬼のような悍ましい姿に・・・・。
「どうやら、元々ロクな人じゃなかったようですね。それに、私を馬鹿と言いましたよね?」
(え?気にしてたの?そこ?)
「フクトミさん、サトウくん。モモコさんをお願いします」
どうする気だ・・・?・・・いや・・・・決まっているか・・・・。
「・・・・・・・・ふっっっっっっっっ!!!!!!!!」
「あぐぼっ!!??!?!?」
お構い無しとばかりに、ハンネさんが回し蹴りを放った。
その速度と威力はこれまでに見た2発とは比べものにならないものだった。
幽霊は音もなく壁に叩きつけられると、そのまま倒れ込んだ。