Youth Youth Youth
これから何が起こるのだろう。
今日、僕が乗り越えなければならない最後の試練だ。
最後に謝りに来たモモノギさんに言われていた。
「帰りのホームルームでみんなに話したいことがあるの。絶対教室に居てね」
アカシくんは神妙な面持ちで話し始めた・・・・。
「みんなも知っての通り、俺たちはサトウくんをいじめていました」
ざわざわ・・・・。
当然だ。みんなが知っているアカシ軍団はこんな殊勝を言うわけがない。
「でも、サトウくんは俺たちが危ない時、俺たちを友達だと言って助けてくれました」
「お陰で俺たちは自分たちのやってきたことの愚かさに気づきました」
うーむ、なんだか話が美化されすぎている気もするが・・・・気のせいだろうか。
「みんな本当にゴメン!謝って許されることじゃないのはわかってる!!」
「でも一度だけ俺たちに、みんなと友達になるチャンスをくれないか?!」
昨日のハンネさんのこともある。
僕たちは一躍お騒がせ集団だろう。
教室は静寂に包まれたが、しばらくすると、みんなが騒めき出した。
「・・・・黙って見ていた私たちも同罪じゃない?」
「そうだよ、見て見ぬ振りをしてた・・・・」
「俺も、謝りたい!ゴメンな!!サトウ!!!」
みんなが一斉に泣いたり、笑ったりしている。
学園ドラマでも観ている気分になってきた。
現実にこんなことが起こり得るとは・・・・。
「・・・・ありがとう・・・・みんな・・・・」
アカシ軍団も顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
「俺たちでこの1年間を最高の思い出にしようぜ!!」
「おー!!!!!」
どうやら今、この瞬間クラスの心は1つに纏まったようだ。
その中で担任の先生と僕だけは、苦笑いをしていた。
何が恐ろしいって、アカシ軍団は終ぞハンネさんのことを一切口にしなかった。
もう2度と思い出したくないのだろう。トラウマを心の奥底に押し込んで蓋をしたのだ。
ハンネさん、尊敬するけどやっぱりちょっと・・・いや、かなり・・・怖い。
アカシ軍団はその後、1ヶ月に渡る自主的なトイレ掃除により、クラスの信頼を回復するに至る。