表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最強の農家様 〜俺は『農家』であって魔王じゃねえ!〜  作者: 農民ヤズー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

574/589

状況確認

 

「カラカスのことはわかった。それに、どうせこっちに来ちゃったんだったら今更何か言うのも遅いしな」

「おう。好きなように使えや」


 ため息混じりの俺の言葉に、親父は笑いながら答え、その隣で母さんも笑みを浮かべている。

 この二人の態度はこの戦場に似つかわしくないほどに緊張感や危機感がないものだが、二人の力を考えれば当然だろうな。少し気が抜ける感じはするけどな。


 だがこれで、援軍が来て俺たちも危機から脱したと言っていいだろう。

 まだ完全に守りが整ったってわけでもないけど、あと数時間もすればある程度の余裕ができてくるはずだ。そこに親父と母さんが加わったら、それこそ余裕な戦いになるだろう。


 だからと言って油断はしない。親父は強いし、母さんも強い。今までの戦力に加えて第十位階が二人も増えたんだから、普通だったら強気に攻めに行ってもいいだろう。

 だが今回の相手は普通ではない。できるだけ準備を整えたいところだ。


「親父には死ぬほど働いてもらうけど、それはそれとしてまだフィーリア達援軍が来るんだろ? だったら、行動を起こすにしてもそれを待ってからの方がいいよな」


 今の戦力でもできるかもしれないが、それ以上に戦力を増やすことができるんだったらその方がいい。しかも、何かする必要があるわけでもなく、ただ待っていればいいだけともなれば尚更だ。


「まあそうだな。……つっても、俺たちもよくわかってねえんだ。こうなった流れもわかんねえし、援軍よこせって報せに色々と書いてあったが、それだって今の状況と変わってんじゃねえのか? 結局、援軍が来たあと何がしてえんだ?」

「ああ、そうだな。それじゃあ、こっちに来てからのことを説明するか」


 親父達にはある程度の事情を伝えてあるらしいが、それでも全てを伝えてあるわけじゃないだろう。それに、伝えられていたとしても誰かからの伝聞という形である以上、面と向かって話をするのとは印象や理解度も変わってくるものだ。

 こっちに来るように求めた後の話に関しては、そんなことに力を割いている余裕がなかったからろくに伝わっていないだろうし、考えをまとめる意味でも最初から話をした方がいいだろう。


 そう考え、俺は親父と母さん。あとは援軍としてやってきた仲間達にこれまでのことを話していった。


「——なるほどな。無限に湧き続ける呪いの化け物か。だからあの化け物を切り倒してえと」


 別に切り倒す限定じゃないんだが、求めているところとしては大体合っているので俺は親父の言葉に頷いた。


「ああ。今はなんとかなってるけど、これがずっと続けばやばいからな」


 今でもこっちに来たのは全部倒してるし、ここ数日の間に神樹が移動したことで聖都の王城に籠っていた勇者たちが出てきて向こうの変異生物は倒しているが、それ以外の方向へ向かったものは倒せていない。

 一応カラカスのメンバーとか、聖都から逃げ出して俺たちと合流したまともな騎士とかを使って片付けてるし、勇者一行も戦ってるみたいだけど、まあ全滅は無理だな


「でも、切っちゃって大丈夫なのかしら? あれって植物の神様みたいなものなんでしょう?」

「それはわかんないけど、でもやるしかないだろ。このまま放置してたらカラカスに向かうだろうし」


 確かに母さんが言ったように、神樹を倒したら植物達に異変が出てくるかもしれない。

 だがそれでも、やるしかないのだ。このまま放置していたら、あいつによる被害は尋常じゃないものになる。


「ってわけで、援軍が揃い次第神樹を攻撃するつもりでいるんだけど、何かあるか?」

「まあそうだな。それが妥当だろ。流石に俺も一人であれと戦えるかっつったら、戦いたくねえとしか言えねえしな。援軍がいるってんならそっちの方がありがてえ」


 親父なら一人でもなんとかできそうな気もするけど、まあ神剣だってずっと使ってられるわけじゃないし、味方はいた方がいいか。


「ただ、問題は時間だな」

「そうね。今はおかしな魔物を発生させるだけで済んでるかもしれないけれど、今後も同じように行動するかは分からないものね」

「それはもうどうしようもないだろ。状況を見つつ、その都度対処するしかないと思う」


 神樹が今後どう動くかなんて予想できないんだから、変化を見逃さずにすかさず対応するくらいしかできない。


「——さて、んじゃあまあ、ちっとばかし一当たりしてくらあ。じゃねえとどんなもんかわからねえ」


 そう言いながら親父は立ち上がった。親父自身そう言ったように、おそらくは変異生物達がどの程度の強さなのか、実際に戦って確認してくるつもりなのだろう。

 本来はこんな気楽に戦いを挑んでいい相手ではないし、常人ならそのまま死んでいくかもしれないけど、親父ならそんなことを気にする必要はない。敵の数が減れば味方は楽になるし、好きにさせとけばいいだろう。


 そうして親父を見送ってから数分。親父は戦場の最前線に出ていくと、近寄った全ての魔物を切り裂いていった。多分だけど、あれスキル使ってないよな? 位階で強化されているとはいえ、身体能力だけであそこまでできるとなると、ほんと化け物だろ。

 敵を切り、ある程度自分の周りに空間ができると、親父は今度こそスキルを使って敵を倒していく。

 斬撃が飛べばその直線上にいる敵が切られ、伸びた剣が振るわれても敵が切られ、親父が剣を振るうたびに数体、あるいは数十体まとめて死んでいく。


 そんな親父の戦いを見て周りにいた者達は奮い立ち、叫びを上げながら敵へと向かっていく。


「おかえり」

「おかえりなさい」

「ん? ああ、おう。戻ったぞ」


 ある程度戦って的について理解したのだろう。親父は戦場に向かった時と同じ格好のまま、汚れひとつなく戻ってきた。そしてそんな親父を俺と母さんが迎える。

 それはとても家族らしい光景だっただろう……場所と状況がこんな時でなければ。


「で、どうだった?」

「思ったよりは硬かったが、まあ問題ねえ程度だな」


 これは親父だから問題ないって言ってるけど、普通の奴らは剣で切るのさえ一苦労な相手だ。


「ただ、あれを全部切ろうと思ったらめんどくせえな。っつか無理だな」

「無理って、親父でもか? でも、神剣はどうなんだ? あれって親父が望む範囲のやつ全部切れるんだろ? それで全部の敵をズババーって切ることはできないのか?」


 親父にしては珍しく弱気な言葉に、俺は思わず問い返してしまった。

 確かにあれを使ったらスキル回数を使い切るからその後はまともに戦えない、みたいな話は聞いていたが、それでも敵を一層することができるなら安いものだと思う。


「ズババーって、随分とガキっぽい表現するもんだな。リリアに似たか?」


 なんとも嫌な評価……。俺がリリアに似たとか、やめてくれ。


「正確には俺が認識できて望む範囲だな。能力の性能だけなら百キロだろうと伸ばすことはできるだろうが、一キロ先を見ることはできても百キロ先は見えねえから実際は無理だ。見えなけりゃあ敵を区別することもできねえから、剣の先にあるもん全部ぶった斬ることになるぞ。そもそもまともに狙うこともできやしねえ」


 まあ星は丸いしな。ここから直線で狙ったとしても、その丸みの分だけ狙いがずれることになる。それに、区別がつけられないんだっていうんなら、敵を切ることができたとしても大地ごと切ることになるだろうな。


「それに、敵が生まれるのが思ったよりも早え。あれじゃあ俺が全滅させたところで、またしばらくすれば戻るだろ。まあ戻るまでの間は味方が休めるかもしれねえが、その間に神樹本体が動かねえとも限らねえ。そうなりゃあ俺はスキルが回復しなくて戦力外だ」


 確かに、自分の駒が一掃されたことで神樹が動きを変えるかもしれないし、そのせいで神樹と戦うことになったら、その時に親父の力が期待できないってのは避けるべきだ。


「じゃあハグレはどうすっかなぁ。まあここは敵国だし、倒さなくてもいいと言えばそうなんだけど、できることなら倒しておきたいんだよな」


 こっちに向かってきているのだけではなく、こっちにきていないハグレ変異生物のことも親父が切ることができれば良かったんだけど、無理か。


「なんだなんだあ? 正義の心にでも目覚めたってか?」

「そんなんじゃねえよ。ただ、あれも呪いの影響で生まれたわけだろ? なら、放置しておけばそのうちまた同じようなことが起こるんじゃないかってな」

「……まあ、ねえとは言い切れねえな。邪神だなんてわけわからねえもんが関わってんだから」


 呪いの塊である変異生物が世界中に散らばれば、今回神樹をどうにかできたとしてもまたすぐに邪神関係の問題が起こる気がする。

 それに、せっかく切り倒された聖樹の呪いを解いたんだ。あそこの森に入られて呪いをばら撒かれるようなことはあってはならない。


「だが、あれだけのデカブツの周囲を、敵を漏らさねえように、ってなるとかなりの数の兵が必要になるぞ」

「わかってるよ。わかってるから対処できてないんだろ」


 どうにかしたいとは思ってるけど、だからってどうにかできるわけでもない。


「お前の植物達はどうなってんだ?」

「一応周囲にばら撒くように指示は出したし、それなりに効果はあるけど、数が多すぎる。植物で壁を作っても、一日もしないうちに突破される」


 トレント配合植物の種をばら撒いてくるように指示は出してるけど、それだって大した効果は出ていない。

 人間相手の場合はその硬さや柔軟さは脅威だったけど、敵も植物でできてるとなればその強みは消える。そうなると、後は普通に個としての能力や数の差によって勝敗が決まるが、こっちは有限で敵は無限。

 それに、土地が死んでいるからか神樹の影響を受けているからか、植物達の力が普段より弱い気がする。相手と状況を考えれば仕方ないのかもしれないが、どうにもできないというのは歯がゆい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ