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002.橋下での救出劇(前編)

 バシャーン!と大きな水しぶきを上げ川の中へダイブする。


 うおっ!思ったより深い!

 足つかない程じゃないけどこれは泳がないと駄目な感じか!


「着衣水泳なんて初めてだな―――――っぷ!」


 想像以上に服がへばりついて泳ぎにくい。

 クロールなんてしたらすぐ疲れるなこれ。


 仕方なく平泳ぎで行くが思ったより遅い。

 流れが緩やかで助かった。


「大丈夫ですか!?すみません!!」


 後ろの方から女性の声が聞こえる。きっとあの子だろう。


「だいじょ・・・・・・アップッ!」


 泳ぎながら喋るのは難しいな。

 せめてもので悪いけど、手を振っておこう。



     ◇◇◇



「モモ・・・・・・・」


 私は愛犬の名前を小さく呼び、必死に泳いでいる彼を見る。


 今日は後悔ばかりだ。

 お姉ちゃんに怒られて、逃げるように飛び出した散歩でも握りが甘かったせいでモモが逃げ出して。

 泳いでるのにタイミング考えず謝ったりして。考えなしだ。


「ごめんね。ごめんなさい・・・・・・」


 私はただ涙を流しながらその後ろ姿を見ることしかできなかった-----



     ◇◇◇




 目的の犬が見えてきた。

 泳ぎ疲れたのか橋脚の段差に避難しているようだ。


「はぁ・・・はぁ・・・モモ・・・来れるか?」


 犬種には詳しくないがダックスフンドか近しい品種だろう。

 茶色い毛並みが濡れて光沢を帯びている。


「ウゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・」

「ほら。大丈夫だ」


 ようやく橋脚にたどり着いた。

 手を伸ばしてモモを待つ。



 ―――――――――――――――――

 ―――――――――――

 ―――――――


 何分待っただろうか。

 唸り声は消えないが腕の中に収まる。


「―――――――よしっいい子だ」


 これで後は戻るだけだ。

 っとその前に向こうの様子は。


 声が案外届いていなかったのかあの子一人だ。

 うつむいているかこちらを見ているのかまではこの距離ではわからない。

 増援を期待したけど平日昼間だし仕方ない。

 サポートはなさそうだが残り半分だ。


「それにしても、ここを泳いできたのかぁ・・・・・・っし!」


 気合を入れ直し、俺はお世辞にも綺麗とはいえない色をしている川に入水した。

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