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真っ白だったこの家が、彩りにあふれる頃には  作者: 春野 安芸
第1章

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009.出会いの翌日

 気がついたら俺は真っ白な空間にいた。

 光源も無いのに明るく、隅に若干陰りが見えることからここは四方壁に囲まれた部屋らしき何かだと推測できる。妙なのは扉も窓も見えずどうやって入ってきたかも定かではないことだろうか。

 

 とりあえず適当な壁に向かって歩きだす。前にもこんな光景を見た覚えがあるがいつだっただろうか、

 ・・・・・・たどり着けない。いくら歩いても進んでる気がしない。

 もう一度辺りを見渡すがやはり距離感が変わっていない。おそらく進めていないのだろう。

 

 次はどうしようかと考えだしたタイミングで目の端で何かが動いた気がした。そちらを向くと壁の一部が突き出てくる。

 それを皮切りに天井から、床から、四方から同じような壁の一部がせり上がり、ある程度上がると壁に収まっていく。

 あっけに取られて動く壁を見ていると今度はどんどん部屋が小さくなっていく・・・・・・違う。これは俺自身が大きくなっているんだ。なんの根拠も無いけどそれが理解できる。奇跡的に壁に当たる様子は無い。

 ただただあっけに取られてなすがままでいると今度は身体が縮んでいく。もとの大きさになったら今度は大きくなっていく。


 なんの焦りも無かった。ただボーッと大きくなったり小さくなったりしているのを見ていただけだった。

 そんな時不意に壁との距離が近くなった気がする。気がついたら俺の周りには高速で四方から押し寄せてくる壁があり、身体に触れた途端、まずいと感じ取り俺は意識を手放した―――――――




 ―――――――――――――――――

 ―――――――――――

 ―――――――



 気がついたら俺はベッドの上に居た。周りを見ても病院というわけではない、見慣れた自室のベッドだ。

 

「夢かぁ・・・・・・」


 心底ホッとする。夢とはいえ命が危険にさらされるのは気分が悪い。

 とりあえず顔を洗うためベッドから立ち上がる。たしか昔同じような夢を見たことがあった。その時はたしか・・・・・・・・


 立ち上がった瞬間自らの意思とは関係なく膝が折れて崩れ落ちる。

 寝ぼけているが故冷静な頭はすぐに顔を洗うのを諦めてベッドに戻る。

 あぁ・・・・前あの夢見た時もあったなぁ・・・・・・


 風邪を引いている。それも結構な高熱で。

 確か昨日は川瀬さんと出会ったんだっけ。原因は明白だなぁ。


 枕元に置いてあるスマホを確認する。通知は2時間ほど前にSNSから、川瀬さんからグループ参加のお知らせだった。当然参加をタップする。


 慎也 『おはよう』

優衣佳 『おはよう。もうこんにちはの時間だけどね』


 スマホのステータスバーを確認する。11時に差し掛かるところだ。


優衣佳 『昨日はありがとう。優愛もお礼を言いたがってたけど二度寝しちゃったわ』

 慎也 『どういたしまして。明日の入学式で寝坊しないよう気をつけなきゃね』

優衣佳 『起きないようなら私が引きずっていくから大丈夫よ』

優衣佳 『準備も終わってるし今日は家でのんびり過ごす予定よ。慎也くんは病院いくのかしら?』

 慎也 『あれだけ念押しされたからね。これから行こうと思う』


 怪我と別件で行く理由も増えたしね。


優衣佳 『それはよかったわ。また、学校でね』


 同時に『バイバイ』とスタンプが送られてくる。さて、簡単に出る準備をしようか。

 気を抜かなければさっきみたいに倒れることもない。適当に菓子パンを放り込んで家を出る。


 この辺りはさほど栄えているというわけではない。商業施設などはバスに乗って多少揺られていけば行けるが、遊園地や水族館は快速で数十分かかる位置だ。

 けれどベッドタウンとしてはそこそこ優秀で飲食店・スーパー・病院は小さいものだが徒歩圏内でそこそこ見つけることができる。

 俺はスマホを取り出して検索する。整形外科と内科が一緒になっている病院は・・・・・無い。けれど互いがあまり離れてない位置にある病院は見つけることができた。

 2つの科が同じ病院なら節約できたのにと残念になりながらも近い方にある内科に向かって歩き出した。

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