第7話 「夏帆に起こる変化」
学校で清香だけでなく、夏帆にも見えた影。
それは、不気味に笑い消えていった。
その日、学校が終わり、家に帰ってから兄(秋)に伝える。と
「私 お兄ちゃんが言ってた黒い影見えた…」
「え! そんなはずは…まだあの神社に行ったの2回だよな。
”付き添い者”に起きる事の進行が速すぎる…
ちなみにいつからだ。変なことが起き始めたのは…」
「うん。あのお守りを買ってから…」
秋はその言葉で一つ気になったことがあった。
「わかった。調べてみる」
その晩、普段ならお守りの中身を絶対見ない
秋があの神社で買った”お守り”そしてそれを買ってからの
夏帆の変化ということもあり、中身を見てみると…そこには…
「赤い紙…? なんで? お守りの中身って確か…」
ネットで情報を調べる秋。
「だよな…普通こんな紙 入らないはず…」
その時、秋の脳裏に”月見くじ”の文字が浮かぶ。
「もしかして…」
急いで、夏帆の夏帆の部屋へ。
コンコン コンコン。
「起きてるよな 入るぞ。」
「どうしたの?お兄ちゃん そんな慌てて。」
「頼む。確認してほしいことがあるんだ。清香ちゃんに!!」
「えっ! でも、もう22時30分過ぎてるよ。」
「あぁ 迷惑な時間なのは重々承知の上だ。
寝ていたら仕方ないが…かけてみてほしい。何んらラインでもいい」
「わかった。じゃぁラインで連絡するね! なに聞くの?」
「じゃぁ 月見くじの写メを送ってもらってくれ」
清香へライン。
夏帆「起きてるかな?」
-3分後-
清香「起きてるよ。どうしたの?」
夏帆「あのね。今日 見えたじゃん。私。」
清香「影のこと?」
夏帆「それでちょっと気になることがあって、”月見くじ”の写メ送って。」
清香「私も詳しく聞きたいから、写メ送ったら 電話していい?」
夏帆「大丈夫だよ。ありがとう。」
そして、すぐ”月見くじ”の写メが送られてきた。
--着信:清香---
「もしもし?」
「きよー。夜遅くに本当にごめんね。」
「大丈夫。それよりその写メで何かわかるの?」
秋が写メを見ていたこともあり、スピーカー状態にしていた。
「やっぱり。」
「えっ! 今の声 秋さん?」
「そうだよ。」
「清香ちゃん 聞いていいかな。」
「はい。どうぞ。」
「”月見くじ”の紙ってざらざらしてたりしないかな。」
「へ? はい。してますよ。」
「やっぱりそうだ。」
「どうゆうこと?お兄ちゃん。」
「今回、夏帆が買ってきた”厄除けのお守り”の中身は
本来入るべきものじゃなく、”月見くじ”と同じ材質の紙が入っていた。」
すると、電話越しから、
「どうゆうことですか?」
秋も確証がない為 即即だったが、
「恐らく、影が見えたのはお守りに入っていたこの”紙”が原因だと思う。」
「え! じゃあ夏帆は、くじを引いてないのに怖い事が起こるってことですか?」
電話越しから、少し怒っている様子の清香。
その時、プー プーっと突如、切れた。
(中身はミタネ。デモ、コレイジョウ情報ノキョウユウハさせないよ…)
確かに聞こえた声。何より怖かったのは、清香が側にいない。
夏帆一人の時に聞こえたことだった。
秋はその様子を見て、何かあったことは、察しがついた。
その姿に”唯の怯える姿”がダブって見えたからだ。
だからこそ、余計なことを言わず、
「この間も言ったろ?清香ちゃんもお前も必ず守るから」
そう言い残し、夏帆の部屋を出た。
その日の晩--夏帆の夢の中---
「なにこの真っ暗なところ」
「コンバンハ。」
その声の方へ視線を向けると、そこにいたのはあの”影”だった。
「私は、くじを引いてないのにどうして…」
「ソウダネ…ヒイテナイネ…でも、今はネ。」
「どうゆうこと?」
「どうゆうこと?シリタイ シリタイヨネ。
ククククク…オシエナイヨォ オシエタクナイ
ハヤク…キミトモ…いっぱいアソビタイカラネ」
不気味に笑い、今の現状…そして夏帆の”月見くじ”を引く未来に
興奮しているかの様子を見せる影。
「私は…絶対に引かないから。あんなくじ」
「ソウダネ。じゃぁ、”テイコウ””シテミルトイイ
でも、キミは僕ガもうミエテル。…………ニゲレナイ…ニガサナイ。」
「何を言ったの。途中が聞こえなかった。」
「キョウハご挨拶とカクニン。又アオウネ。次ハアソウボウネ。」
そう言うと影は消えていった。
夏帆が跳び起きると、時間は深夜3時だった。
夢に出てきた影・そして、あまりにもはっきりと覚えている夢。
この2つに動揺を隠せずにいた。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…今のなに…いったい何が起きてるの。
わたし…ひいちゃうの? ”月見くじ”を‥‥。」
その頃、清香は夢の中で唯と会っていた。
「唯さん 唯さん 大変なの 教えて。」
そう、心で強く願うとあの時と同じように目の前に
強い光が現れ、そこから唯が現れた。
「よかった。ちゃんとまた会えたね。よかった。よかった。」
「‥‥?」
その様子に首をかしげて、?を浮かべる。
「ごめんね。実はまた会えるか自信がなくて…だからほっとしたの。」
「あれ? 唯さんってそんな天然お姉さんキャラでしたか?」
「うーん。私のキャラ設定ってどうなってるのかなぁ?」
「いや…設定の話を私にされても…ってそんなことより大変なんです。
夏帆にもあの”影たち”が見えるようになっちゃって…」
「えっ! まさか夏帆ちゃんまで”月見くじ”を?」
「私も途中で電話が切れてしまったのでよくはわかりません。
ただ…秋お兄さんが夏帆に買ってきてもらったあの神社のお守り
その中に”月見くじ”と同じ材質の同じ赤色の紙が入ってた…見たいです。」
それを聞き、表情が真剣になる唯。
「唯さん…何か知ってるんですか?」
「知ってるっと言うか多分それ…
月紙繋だと思う。」
「月紙繋?」
「まぁ、と言ってもこれは私達が勝手に読んでる名前なんだけど…」
清香が唯にそう聞くと説明してくれた。
”友達が月見くじをしていて、一方の友達と月見くじを行った者が
心から信頼している場合、月見くじの切れ端もしくは同じ素材の
紙を持つことで”影”はその両者に干渉ができるようになる。"
「つまり、あくまで”影”が見えるようになるだけ?」
「平たく言えば…そうだけど…その”影”が問題なの…」
「それは…いったい?」
すると…また 唯の体が薄くなる。
「秋…あきに話してみて…きっと なに…」
言葉を言い終える前に消えていった。すると…
(ヤァ また、シャベッテイタンダネ。デモ…コレで明日カラハ
ジャマデキナクナルヨ…フフフフフ)
「ねぇ どうゆうことなの?」
”影”は清香の問いかけに返答することもなく、消えていった。
気づくとまだ朝の6時だった。
清香は、唯の残した言葉 それが気になってすぐ
夏帆の家へと向かった。
ピンポン ピンポン とインターフォンを連打する。
ガチャ。
「はーい。」
「秋さん 朝早くにごめんなさい。」
「清香ちゃん どうしたの?」
「ちょっと、どうしてもすぐに伝えたい話が”月見くじ”の事で」
くじの事を言ったとたん秋の表情は真剣になった。
夏帆もすでにお弁当を作っていたことから、3人で話をすることに。
「夏帆 ごめんね。 朝早くに。」
「えっ! きよー。どうしたの?」
「夏帆に”影”が見える原因が分かったの。」
その言葉に驚く二人
「清香ちゃん わかったってなんで?」
「唯さん?」
「うん。」
「唯ってどうゆうことだよ!」
「秋さんは昨日の夜の事からも私が”月見くじ”をしたのは
ご存じですよね。どこまで夏帆から共有されているか
わからないので、一から説明します。」
そして、清香が”月見くじ”の情報を見つけたのがネット媒体だということ
今回のくじの内容。そのヨイコトに記された”キョウユウ人”が唯さんで
夢で唯さんに助けてもらい、話せること。を先に秋に伝えた。
「そんなことが…」
「はい。ではここからが本題です。夏帆が”影”見えたのはお守りの中
紙が原因でした。でも、夏帆はくじを引いてないから
私に起きている事全てが起きることはないの。
ただ、私につく”影”が夏帆にも干渉できるようになった。
そのことを月紙繋って言うらしいの。」
「月紙繋…」
月紙繋の内容についても、唯が説明した内容をそのまま伝えた。
「つまり、私が住職さんからお守りと称して、くじと同じ紙を
渡されてしまって、私ときよが心から友達と思っていた事で
その繋がりから、”影”が干渉できるようになってしまった。っと」
「そうゆうこと。で 唯さんが影と繋がったことが
問題だって。それを秋さんに聞いてみてって。」
「だからこんなに早く清香ちゃんが来たってわけか。
うん。通りで影が見える進行が速いと思った。」
「前も言ってたけど、お兄ちゃん進行って何?」
秋は、その進行について話し始めた。
「前に神社に行けば行くほど、くじを引かなくても
後ろに影が付き、徐々に濃くなるって話ししただろ?」
「うん。」
「その”影”包まれる5歩手前くらいからは
”影”の声を聞いたり、見たりするようになる。」
「つまり…今はその5歩手前と同じ状態。」
「恐らく,そうゆうことだ。」
「ねぇ、お兄ちゃんが”月見くじ”の何を知ってるかは聞かない。
でも、なんでお兄ちゃんがそこまで知ってるの?」
秋は、少し、言うのをためらうが、口を開いた。
「わかった。俺は…
唯が消え、すぐ影が現れた それは偶然それとも…
そして影が言ったジャマデキナクナルヨという言葉の意味とは…
ついに、秋が”月見くじ”を知る理由が語られる。
次回 第8話 へと続く。