第5話 「進展」
清香が”月見くじ”引くと今度は…
今回はいったい何が起きてどうなっていくの?
そして、夏帆にも変化が…夏帆の兄秋がついに”月見くじ”の事を話す。
清香は3回目の”月見くじ”を引く為に神社に来ていた。
今月の内容は
月見くじ----
ヨイコト : 苦シミをキョウユウ人現ワル
ヨクナイコト : ユメにウナサレル事アリ
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「また、変なのきたぁ…
なに”ユメにウナサレル事アリ”って正直想像できるんだけど…」
「うん。なんだろ…私も何となくだけどイメージできちゃうかな…」
「でもさぁ。キョウユウ人はもう夏帆がいるよね?」
「まぁ、私も全てを知ってるってわけじゃないけどね。」
そんなことを喋っていると住職がささやくように
「今回もきっと当たりますよ。
なにせ”月見くじ”なんですからね…
キョウユウ人…気になりますね…」
夏帆も清香も3回目 過去2回の実績があるこのくじに対しては
すでに当たらないと思うことはなかった。
どっちらかというと、当たるからこそ、その恐怖を感じていた。
「でも、キョウユウ人って誰なんだろう??やっぱり夏帆?
この”月見くじ”の事を共有できる人を表しているのかな?」
「どーだろうね。でも、悪い事だけが当たるわけじゃないじゃん。
このくじ”ヨイコト”も必ず当たるしさ。
もしかしたらそれで何か変化があるかもしれないよ。」
「では、来月もまた必ずお越しください。
あなたにふりかかる”災い”を防ぐためにも…ね。」
そう言い残し、住職は奥の屋敷へと戻っていた。
2人も神社を後にすることにした。
すると、夏帆が
「きよー。ごめん。ちょっとここで待ってくれないかな?」
「どうしたの? 真帆」
「ちょっとね。」
そう言い、夏帆は一人神社の奥へと走っていく。
--10分後--
「ごめん ごめん。おまたせ。」
「どうしたの?忘れ物か何かしたぁ?」
「まぁ そんなところ。ありがとう 待っててくれて。」
「それは全然 大丈夫だよ。ついてきてもらってるの私だし…」
「あとさぁ。今日このまま遊びにいかない?」
「えっ!」
清香は、先月1か月間に起きた恐怖で外に出る=怖い事が起こると無意識に
思うようになり、体が硬くなるほど心の奥底に刻まれてしまっていた。
「きよー?」
「わたしは…かえ」
「ほら、しっかりして!気持ちは私も知ってるからわかるつもりだけど
もう月変わったよ。先月の出来事はもう起きないんだよ。」
夏帆の”もう起きない”/”月が替わった”という言葉が
硬くなった清香の体と心を徐々にほぐしていった。
「そうだね。よっしゃぁ 久しぶりに外を満喫してやるぅ」
「そうこなきゃ。じゃぁどこ行く?」
「えーっとね。映画でしょ?カラオケでしょ?
ショッピングでしょ? あとは…」
(きよー。外出れた解放感と出れなかったストレスで
めっちゃ出てくるのはわかるけど でも…)
「きよー。私、今ね。自分の心もツッコミが入ったんだけど
1日はそんなに長くありません。残念ながら24時間です。」
「あっ! じゃぁ カラオケとショッピングで」
「じゃぁ いきますか。」
2人は、ショッピングモールへ向かった。
ショッピングモールに着くなり、テンションが爆上がりする清香。
2人でモール内を散策しているとフードコートに晴人がいた。
「ねぇ きよ。あれ 彼じゃない?」
「えっ! どこどこ?」
「ほら あそこに誰…」
夏帆が喋り終わるまでに彼氏をロックオンし、走っていった。
「はっや!!って私はおいてけぼり?」→(私も彼氏 ほしいなぁ…)
そう心で呟いた。
「晴人ー。」
「おお。清香 ちゃんとブレスレットつけてんな。えらいえらい!」
「もちろんだよ。だって晴人のプレゼントだよ。肌身離さず・・・だよ。」
夏帆は2人のいつも通りのラブラブぶりを見守っていると
晴人と一緒にいた友達がこっちへ来る。
「晴人 いつもあんな感じなの?ごめんね 急に話しかけて」
「あ えっ! 大丈夫ですよ。はい。いっつもあんな感じですね。
まぁ、私は、2人のこの光景 嫌いじゃないんですけど」
「そうなんだ。自己紹介が遅れたね。僕は晴人の中学の友達で
吉高 涼介って言います。」
「私は笠波 夏帆です。」
「よろしくね。ちなみにあれっていつまで続く?」
夏帆と涼介が話しをしている間も、2人はずっとラブラブトークをしていた。
「よろしくお願いします。うーん ほっとくとずっとですね。」
そう言うとすぐさま涼介は2人の間に入り
「おーい。彼女好きな気持ちはすっごく分かったから
そろそろ行かないと間に合わないと思うけど…」
晴人と亮太は日あるから始まるサッカー観戦に行くとのことで
2人とはここで別れた。
夏帆と清香も引き続き、買い物をしたり、カラオケに行ったりと
その日、久しぶりに楽しみ、気づくと外は日が沈み始めていた。
「ホントに今日は楽しかったよ。夏帆ありがとう。」
「ありがとうなんてそんな 私も楽しかったし。」
「やっぱり、何にも怯えなくていいって安心感たまんないよ。」
「そうだと思う。先月がひどかったしね。その分いいことあるかもだよ」
その時、また
(モウスグ夜だね。今度はユメノナカで遊ベルヨ。タノシモウネ…)
あんなに楽しかった時間を巻き戻すかのようにその声は
清香をいま起きている現実そして”月見くじ”の
夢にウナサレルと言う文字が脳裏をよぎり、恐怖へと引き戻した。
(また…夜寝るのがこわいよ…)
何故か周りをキョロキョロする夏帆
「どうしたの?」
「えっ! 何もないよ。大丈夫 早く帰ろ。」
それぞれは、自分の家へと帰って行った。
--清香の部屋にて--
「もう 夜か…さすがに明日学校もあるし寝ないわけにもいかないよね…」
すると、ふと何かを思い、カバンから今日引いた”月見くじ”を出して見る清香。
「やっぱり、今回のこの内容が気になる…。
苦しみを共有できる人ってやっぱり月見くじの事なのかな?
それに夢に魘される事ありってことはそうじゃない日もあるのかな?」
そんなことを色々考えていると昼間の疲れが出たのか知らないうちに寝ていた。
--夢の中---
「何ここ? どこ?もしかして…」
(ソウダヨ。ここはユメノナカ。アウノハ2回目メダネ。さぁ タノシモウ)
いつものあの声だった。背後から聞こえた声に振り向くと
そのには、あの晩に廊下で見た黒い影が立っていた。
(キミとアソぶためにミンナマッテイタンダヨ。)
「えっ! みんなってなに?」
そして、周りを見渡すと黒い影が一つまた一つと増えて清香に近づく。
「いや… こないで… こっちにこないで」
(ボクは手でアソボウカナ)
(じゃあボクは足カナァ)
「お願い触らないで。こっちに来ないで」
(ワタシはドウシヨ…アッ!いいのがアッタヨ
そのキラキラした目でアソブヨ。くりぬいて…フフ)
「いや いや いやあぁぁぁ。誰か 誰か助けて 夏帆ー」
ふいに夏帆の声を叫ぶと…
時は少し巻き戻り、夏帆の家
「ただいまぁ あれ?お兄ちゃんいないんだ。」
お茶を片手にソファーへと座る。
「あの声はいったいなに?夢の中ってなに?」
夏帆にも清香にいつも聞こえている”あの声”が聞こえていた。
そのことを考えていると、兄の秋が帰ってきた。
「ただいま。」
(夏帆の後ろの影が以前より濃く大きくなってる。。。」
「おにいちゃん おかえり…」
「泣きそうな顔して なにかあったのか?」
「うん…。」
「そう…か。”例のやつ“あったか?」
そう言うとカバンから何かを出し、秋に渡す。
「ちゃんと言われた通り清香のいない時にばれないようにしたよ。」
「悪いな。助かったよ。」
「ねぇ どうしてばれちゃいけなかったの”それ”買う時」
「俺も確証はないんだ。ただ…”月見くじ”をしている者の側で買うと効力が
増してイイことも悪いことも強くなるかも知れないんだ」
黙って秋の話を真剣に聞く夏帆。
ただ、人ってのはいい事よりも悪いことを強く意識し
記憶に残る習性があるから仮に両方の効力が上がっても
きっと”ヨクナイコト”が頻繁に起きてると錯覚する。前みたいに…」
「お兄ちゃん 前って何? いったい”月見くじ”何をしってるの?
それに前も起きてるなら確証ついてるんじゃないの?」
「いや。確証はついてない。側で買うから効力が増すのか
”コレ”を買うことで効力が増すのかは俺にもわからない。」
下を向き喋る秋、まるで何かを思い出してるかのように。
「”月見くじ”のことなら知ってるよ。あれは
俺の彼女…唯が命を落とす原因となったものだからな…」
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夢の中で黒い影に襲われる清香。夏帆の名前を叫ぶと?
一方で夏帆が秋に渡したものはいったい何なのか?
夏帆が”声”が聞こえたことと繋がりがあるの?
次回、キョウユウ人がついに登場する。
そして秋の知る”月見くじ”の謎がその過去が少しずつ
明らかになる。
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第6話 続く…