第4話 「耐え抜く恐怖と新たな効力」
夜になり、寝ていると清香に恐怖が襲い掛かった。
ただ、その晩は、それだけの恐怖じゃ終わることはなかった。
清香はこれまで経験したことのない
幽霊での恐怖を体感した。
すると、また聞こえてきた。あの声が
(”コワイね。 コワイよね。 ミエナイモノがミエルのは…)”
「また…もうやめて…おねがいもうやめてよ」
ただ、清香もすぐにいつもと違うことに気づく
「今の声…廊下から…だよね…」
それと同時に廊下から物音が聞こえた。
(ガサっ!)
清香は、恐る恐る廊下へとつながる扉を開ける。
その瞬間、目の前を黒い影がスーっと横切り、
立ち止まる。そして清香の方へ首だけ振り向くと
(”アシタはなにがオコルノカナ…タノシミダネ…フフフフフ”)
そう言うと影は消えていった。
「なに今の…」
その日の晩は連続で起きた”恐怖”と明日も何かが起こる
そのことを意識してしまい、寝つくことができなかった。
翌日、金曜日その日は祝日だった。
一晩中おびえていた清香も太陽の光を見たことで
自然と気持ちが落ち着いていき、瞼が落ち眠りについた。
次に目を覚めると、時刻は12時30分になっていた。
「やばっ! こんな寝ちゃった。今日が休みでよかったぁ
でも…昨日の言葉が気になるし…
今日は家に居よ。その方がまだ安全でしょ きっと」
ふとスマホみると通知ライトが光っている。中を確認すると
-----通知1件---+
それは、先月、親の仕事の関係で海外へ行っていた晴人からだった。
「あっ! 晴人だ。”ただいま”ってもしかして…」
その文字に少し期待が膨らんですぐ返事をした。
※トークにて※
晴人「ただいま」
清香「お帰り。晴人!ってことは帰ってきたって事でいいのかな?」
晴人「うん。帰ってきたよ。ただ、両親はまた海外に行くけど」
清香「じゃぁ…晴人もまた行っちゃうの?」
晴人「ううん。俺は行かない。先月は親の仕事が
向こうでどれだけあるかわかんなかったから」
晴人「ついていたけど…あと3か月程度って分かったから
親と話して俺はこっちに残ったんだ。学校もあるから」
清香「そうなんだ。でも、よかった。もう、晴人が側にいる。」
晴人「俺も嬉しいよ。でさ、今から会えない?」
その晴人からの返信に指が止まる。
清香自身もすごく会いたい気持ちはあった。でも
その瞬間、昨夜の黒い影が頭をよぎった。
今月に入り、清香は気の休まる時間が1度もない。
いつ何が起こるか。どんなことが起こるか常にビクビクしているのだから
(カレに会えるよ…会いタガッテルヨ。
きっとタノシクナルカラ…イエからデナヨ”)
あの声が聞こえ、外へと誘う。
ただ、今回は、その声のおかげで清香の中の迷いが消えた。
清香「ごめんね。私もすごく晴人と会いたい でも…」
晴人「でも… どうしたの?」
清香「今、少し熱が出てて…微熱だけど。」
晴人「大丈夫?」
清香「うん。大したことじゃないの。ただ、晴人に移したくないから」
晴人「清香はホント優しいな。ありがとう。気遣ってくれて。」
晴人「わかった。ちょっと寂しいけど…明日学校で会えるし」
清香「ごめんね?晴人」
晴人「謝らなくていいよ。楽しみは明日に取っておくよ。」
清香「ありがとう。」
そうしてうまく晴人の誘いを断ることができた。
また、家にいる間は外のような怖い出来事が起こることもなく
久しぶりにゆっくりとした時間を過ごすことができた。
ただ、夜になり、リビングから母に呼ばれる。
「清香 ちょっと降りてきて」
--リビングにて--
「どうしたの?お母さん。」
「清香 外に晩御飯を食べに行くから支度して」
その言葉に無意識に気が張り詰める
「え!」
「どうしたの? 嬉しくないの?」
「いいじゃん 家で食べようよ。」
「どうしたの?いつもなら飛んで喜ぶのに。
できればお母さんもそうしたいんだけどご飯なくて
お昼の時点で外食って決めてたから買い出しもしてないのよ。」
そう言われ、外食へと向かう。
行きの車の車中でも夕食を食べる時も常に周りを意識し
帰りですら、何か起こるか分からない怖さから丸まっていたが
特に何も起こることはなく、次の日となった。
学校に着き席に着くとすぐ晴人が清香の元へ
「風邪はどう? 大丈夫?」
「昨日は本当にごめんね。でも、おかげで治りました。」
「それは、よかった。 先にプレゼントだけ渡すね。」
「え!」
「寂しくさせたお詫びも兼ねて、ペアのブレスレット。」
その時、今月一番のいい事に感じてテンション爆上がりの清香。
「ありがとう。大事にするね。」
「これで離れても寂しくないだろ?」
「うん。でも、できるだけ離れないでね。」
「わかった。じゃあ また後でな。」
そう言うと自分の席へと戻っていった。
すると、次は夏帆がやってきて
「きよー。昨日大丈夫だった? 祝日だったけど」
「うん。昨日は特に何もなかったよ。」
そして、木曜日の晩に起きた心霊体験や黒い影を見たこと
”あの声”以外の事をすべて夏帆に話した。
「まぁ、でも、いつ来るかわからない恐怖でビクビクしてたけどね。」
「ねぇ、きよー。 昨日もちゃんと”月見くじ”通り怖い事起きてるよ。」
「起きてないよ。本当に何も」
「だって、今、自分で言ってよね。”いつ来るかわからない恐怖”にって」
その、夏帆の言葉にハッと気づく、
チャイムがなり、担任がやってきた。
「おーい! 授業始めるぞ。
井熊(晴人)久しぶりじゃないか。元気そうだな。よかった。」
「どーも」
「今日から井熊が帰ってきたから英語は井熊に聞けよ。」
「ちょっ!先生なんでそうなるんですか?」
「だってお前、現地の英語を経験していたんだから。
多少大丈夫だろ?」
「そらまぁ…そうですけど…」
いつものスクールライフが始まった。
けど、その日の学校でも清香には事が起きた。
休憩時間に清香と晴人が喋っていると
清香の隣のガラスが割れ、あと一枚ずれていたら…大けがをしていた。
ただ、彼氏の晴人が外を見ていたこともあり、ボールがガラスに
当たる直前、清香を自分の元へ引っ張り引き寄せ助けてくれた。
その”怖い”事については、清香にとってはいいことに変わったことは
言うまでもない。
次の月になるまで、清香には色々な恐怖が毎日起きていた。
目に見えない”怯え”を含めると本当に毎日。
ただ、目に見える恐怖は、前回同様に起きないこともあったようだ。
そして、ようやく次が変わり
新たに”月見くじ”を引きに行かないといけない日が
やってきた。その日は夏帆も同行することになり
家で準備をしていると、兄の秋に声を掛けられた。
「今日、清香ちゃんの付き添いで一緒に行くんだろ?」
「うん。心配だし。」
「わかってると思うけどくれぐれもあのくじは引くなよ。」
「わかってるよ。おにいちゃん。」
「そういえば、今月で何回目なんだ?」
「3回目だけど。。。」
そう言うと、自分の部屋に戻ろうとした背を向けた。
夏帆は急いでその手を掴み、改めて秋に問いかけた。
「ねぇ。お兄ちゃんなにか知ってるんでしょ?
あの”月見くじ”ついて…教えてよ。」
「今は、言っても何もできることはない。昨日も言ったろ。」
「そうだけど…重要なことは何も言ってないじゃん」
「とりあえず昨日言ったこと覚えてるよな?」
それだけ言うと手を振り払い自室に戻っていった。
ただ、部屋の扉を閉める瞬間
「そんな不安そうな顔するな。大丈夫だ。
清香ちゃんも”お前”も必ず助けるから…」
そして、夏帆と清香は”月見くじ”の神社へとやってきた。
「お待ちしておりました。
本日は、お友達もご一緒なのですね?」
「はい。」
「先月の”月見くじ”よく耐え抜きましたね。」
「覚えてるんですか?私の”月見くじ”の内容」
「はい。なにせ 当神社自慢の”月見くじ”を
引いてくださるお方ですから」
笑みを浮かべながら、喋る住職。
ただ、清香もそして夏帆さえもその笑みが不気味に怖く感じていた。
「それでは今月のあなたの運勢を…
さぁ、当神社”月見くじ”をお引きくださいませ。」
清香は、渋々くじを引き、中を書かれた言葉を見ると
月見くじ----
ヨイコト : 苦シミをキョウユウ人現ワル
ヨクナイコト: ユメにウナサレル事アリ
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秋が言った”清香ちゃんもそしてお前も助ける”
この言葉の意味とは…
今回の”月見くじ”いったいどんなことが起こるのか
そして”キョウユウ人”とはいったい誰の事なのか
次回 第5話へと続く… お楽しみに!!