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赤子泣いても蓋とるな

「それでですね、自分の登録商品にはこの【Japan】の目印を入れて欲しいんですけど」


 ジャパンのロゴが

 裏返った

 焼印を見せる


「それはまた、何か理由が?」


「ええ、私は実はですね、この大陸の人間ではなくてですね、漂流して、このサークルトルにやって来たんですよ。」


「へぇー、運がお強いですね。海を漂流するって運が悪ければ、大型の海の魔物に襲われれば、ひと口ですよ?」


 誰も海でとは言ってない

 まぁ黙っておくか

 ややこしい事は波風たてず

 やり過ごすに限る


「で、まぁ、それはそうなんですが、運良くこちらに漂着したみたいなので、ここから少し北の場所で開拓をして、遭難した同郷の人間達の為の居場所にしようかなと思いまして」


「その場所が、この目印の名前という訳ですか?」


「まぁ、そういう事ですね。」


「良くそんな資金がございますね。」


「はい、まぁ、見ての通りアイテムボックス持ちですからね。稼ごうと思えば幾らでも」


 何もない空間から

 アイテムを取り出した


「なるほど、アイテムボックス持ちでしたら、確かに需要は幾らでもありますね。で、そちらの開拓地は?」


「ここから、馬車で北に二時間程の場所にあります」


「問い合わせが有れば、ギルドから御紹介するって形でよろしいですか?」


「はい、それでよろしくお願いいたします」


「はい、畏まりました。読み方はジャパンでよろしいですか?」


「はい。で、そのジャパンって地名にお姉さんは、聞き覚え有りますかね?」


「ん~そうですね~聞き覚えは無いですね~では登録しておきますね。」


 ジャパンって地名は

 この近所には無しと


「そうですか…。あ、出来ればこちらの近辺と周囲の地名が知りたいのですが、このサークルトル中心の地形図のようなものと、ここら辺りの地名一覧が載った書類って有りますか?」


「地形図はこの国の軍事機密だから出せないですよ?この近辺の地名が載った書類はこちらになります。」


 サークルトル周辺の都市と名前、

 方向と距離が

 書かれた書類を渡された


「あ、やっぱり出せないですよね。軍事機密ですか?」


 この辺りに見おぼえ、

 聞き覚えの有る

 地名はどうやら無いようだ

 日本の地名に語感や発音がが

 似ていそうなものも

 見た感じ見当たらない


「そうね、まぁそんなに正確な地図ではないんですけどね。よその国にその辺りの情報が流れると、軍事機密上やっぱり不味いですから、商業ギルドをはじめ各ギルドでは、規約により出せない事になってるのよ、ごめんなさいね」


 書類を返す


「なるほど、ありがとうございます。では登録の方もよろしくお願いいたします」


「畏まりました。」


 ほぼ予想通りだな。


 ◇◇◇


 商業ギルドを出て

 農業ギルドに向かう。

 農業ギルドモールをぶらつく


「お、あんたは確かこの前、稲籾を買ってくれた兄さん」


「あ、この前はどうも」


「また、稲籾がまた沢山手に入ったんだけど、買っていってくれない?」


「え?まだあるの?もちろん買うよ!売れないのなら、全部俺が買うよ?」


「あぁ、売れたって報告したら、ギルドのやつら俵で20も寄越しやがった。捌くのなかなか大変だからまとめて銀貨二つで良いよ?」


「安っ、そんなに安いの?本当に良いの?ありがとう。」


「どういたしまして。場所とって仕方ないからな」


 カードと銀貨を差し出し

 俵をアイテムボックスに入れる


「兄さん以外にこれを大量に買ってくれるお客はいないよ?アイテムボックス持ちは便利だね~仕事暇だったら手伝ってくれよ」


「悪いね、こっちもね?今俺も開拓地を開拓してるんだ。暇じゃないんだよ?」


「アイテムボックス持ってると何かと便利だからね。まぁ良いや、稲を買ってもらったし。粥にしかならないのに、兄さん物好きだね」


「ん~、ちょっと台所を、借りてもいいかい?」


「あぁ、良いよ?」


 粥にしかならないと言われて

 何故だか何となく

 カチンと来た。

 相手が知らないだけなのに

 稲籾全てを否定されたから?


 腹がたったので

 アイテムボックスから

 開拓地で焼いて作った

 土鍋を取りだし

 脱穀精米した米を洗い

 水を適量入れる


 初めちょろちょろ中パッパ

 赤子泣いても蓋とるな


 だったっけか。

 親父がボーイス○ウトだったから

 たまにキャンプ連れていかれたなぁ

 ご飯を炊く水加減が難しいんだ

 これが


 水が多ければ粥に

 少なければ焦げる

 水加減に火加減、味加減まで

 程よく調整してくれる

 料理スキルってまじ超便利

 水加減とかきっちり勝手に

 自分好みに止めてくれるもんな


「甘い良い香りだな。食欲をさそう」


「こうやって、湯気が出て来てな、それをしばらく蒸らしたら完成だ」


「白いな。」


 オーク肉の野菜炒めと

 潮汁とサラダを付ける


「うめえ。この稲籾意外とイケるな。これは、海の魚のスープかい?稲と合うね」


「あぁ、そうだろ?こうやってお客さんに、お店で試食させてあげたら売り上げきっと上がるだろうぜ?」


「なるほどね~あ、あんたの名前なんてぇの?俺はブチ」


「俺はヨシヒロだ、よろしく」


「おう、よろしく。なぁ?なんであんた、稲のそんな調理法知ってるんだ?」


「あぁ、俺の故郷ではこれが主食だったからな。」


「ふーん。農業ギルドには沼地や湿地帯にしか生えない、植物としか聞いてないけど。」


「まぁ、俺としては安く買えたから良いんだが。ごちそうさまでした」


「なんだい?ごちそうさまでしたって?」


「あぁ、食物に対する感謝と作ってくれた人への感謝を表す、うちの故郷の挨拶だ」


「なるほどなー。ごちそうさまでした。なぁ確かにこれは旨かったが泣くほど旨かったかい?」


「ん?」


 あ、本当だ。

 泣いている

 どうやら無意識のうちに

 泣いていたようだ


「あぁ、もう食えないと思ってた、旨い故郷の飯が食えたんだ。知らない間に泣いていたようだ。ありがとうな」


「お、おう。」


「台所を借りちまったし、世話になったな」


「良いってことよ。粥にしかならない物を、新しい美味しい調理のしかたを教えてもらったんだ。安いものさ。それよりもあの調理法で、稲籾が売れるようになるかもしれないしな」


「そいつは困った。俺が安く買えなくなる。」


「ハハハ、そいつは困ったな、なんなら稲籾入ったら取っておくか?」


「いや、まぁなんとか俺の開拓地でも育てはじめてるから、それは大丈夫だ」


「余ったら、農業ギルドにも卸してくれよ?って旦那は開拓者の上にアイテムボックス持ちじゃん。まぁまずもって余らねえか」


「ハハハ、まぁそういう事だな。」


「たぶん、どんどん稲籾を押し付けられるだろうから、俺としては良いんだけどもな」


「商業ギルド?か農業ギルドにこの稲の美味しい調理法を教えてみては?あとは自分で料理屋とか出してみるとか。」


「お?それも良いのかもしれないな。調理法が広まればこいつも売れるようになるのか。」


「沢山売れたら売れたで、仕入れも大きくなる。仕入れが大きくなれば、それだけ速くお金持ちになれるじゃん」


「そうだな。ありがとな、ヨシヒロさん」


「どう致しまして」

その国スメリバー王国は

稲の生産にも乗り出す事により

主食を麦と米を持ち

飢饉による餓死者の減少をもたらしめた


主食の安定、自給率上昇により

停滞ぎみであった人口も

加速度的に増えていく事となる

人口が増えると

停滞ぎみであった文化文明も

加速していくのである

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