門番とフェンと
オークだろうか
ゲームや物語でよく見た通り
人間のように二足で直立して
こちらに気付いた
豚の顔っぽい顔をした
腰に剣を着けた
門番に声をかけられた。
「あんちゃん、新種?雄のアラクネって俺は初めて見たよ。しかも人間の国からって?」
「あ~、いやぁその、俺はアラクネじゃねぇよ、ただの人間だぁ。で、こいつはスパイダーゴーレムだ。」
そういって
ゴーレムから飛び降りた。
フェンも飛び降り、
俺の身を護るように
俺と門番の間に入る。
門番オークはあ然としている。
「フェン?軍曹?警戒しないでいいよ。こちらがケンカ腰だと、纏まる話も纏まらないからな。あぁ、こいつは俺のデュラハンだ。」
「は!」
「スパイダーゴーレム?白銀のデュラハン?それに人間?一体どういう組み合わせだ?それが一体何の用があって、ここへやって来やがった?」
「あ~、いやぁ、実はな、二三日前に、あっちの国の王様に他の世界から?まぁ召喚されてきたらしいんだが、色々とここの魔王さんにも、聞きたいことがあってその国を出てきたんだが、いきなり魔王さんに会わせろって言っても、まず会わせてはくれないよな。」
「まぁなぁ、俺の仕事は門番だしなぁ」
「そうだよなぁ、で、まぁ、上への報告とか会って話をするための手続きとかも有るだろうから、そっちの森の前で、待たせてもらう事にする。それで良いか?」
「あぁ、良いぞ」
「おう」
そういってスパイダーゴーレムを
森の前に移動させた。
王様の部屋に有った
ベッドを取り出し、
そのベッドの大きさより
一回り広く土を盛り上げ、
壁を作り、屋根をつけた。
その前にソファーを置き
テーブルを並べ
椅子に座り
フェンと共に寛いだ
オークの門番は、
あ然としている。
フェンが俺に声をかける。
「ご主人様、街に入らなくてもよろしいのですか?」
「あぁ、俺は人間?奴等は魔族?あの国の人間とここの魔族は今も敵対関係、戦争状態に有る。そんな中、人間の国の方からいきなりやって来て、人間が魔族の王様に会わせろって言ったとしても、まずは会わせないだろ?普通。前もって約束も何もして無いんだもの、そもそも敵だし。危害を加える人間なら牢屋に入れられる可能性もあるし」
「はぁ、まぁ、そうですね」
「そんなことより、稽古しようか?」
「はい‼」
「午前中、剣術の稽古をしたから、これからは組み手の練習をしようか。」
「はい‼」
「取り敢えず、体操で身体を解そう。見本をやって見せるから、真似をしてやってみて」
「はい‼」
ラジオ体操で身体をほぐし、
屈伸、アキレス腱等を解す。
オークの門番が怪訝そうな顔で
こちらを見ている。
「何やってんだ?あれ?」
その声を聞き流しながら、
組み手をゆっくりから初めていく。
剣術の稽古の時もそうだったが、
フェンリルの魔石を
使ったせいだろうか、
身体を動かす事が
本能的に好きなのか、
フェンの目付きは
とても生き生きとしているようだ
晩飯前には、
徐々にスピードを上げて
組み手を続ける二人の姿は
目にも止まらぬ
ハイスピードになった。
「す、すげぇ、見えねえ」
オークの門番は驚いている。
「よーし、そろそろ止めにしようか」
「ふう。ありがとうございました。」
そう言うと、
フェンは兜を脱いだ。
「え?」
フェンの兜の下は
金髪の似合う超美人だった。
美人が掘り出され易い
あちらの世界でも
見たことの無いほどの
美人だよな
「どうかなされましたか?」
「いや、フェンってさ?こんなにすっごい綺麗な美人さんだったんだなと」
「え?あ、いや、その、そんなこと無いです」
そう言うと、慌てて
フェンは兜を被った。
「ははは、デュラハンでも照れるのか」
「もう、ご主人様酷いですわ」
オークの門番は思った。
MOGEROと。
小屋の前にある
ソファーに座り
アイテムボックスから水を出して、
飲んで一息を入れる。
「あ、フェンって魔力の補充をしないで、大丈夫?」
「身体を動かすと、やはり魔力の消費がとても激しいですね。何もしないと回復をしているようです。あ、スパイダーゴーレムの上では、凄く回復をしていました。」
「あぁ、やっぱりそうなんだ。あ、あのスパイダーゴーレムにも魔力を補充しておいた方が良いかな」
「そうですね~」
フェンにも
スパイダーゴーレムにも
自分の身体から
魔力を補充しておく。
「昨日さ、フェンを創って、名前を付けたら俺が気絶したのって、ひょっとして俺が魔力切れたから?」
「恐らくそうですね。魔物が名前付けられるって事は、特別な事ですから。一般の魔物から特別な魔物に昇華するって事なんですよ。ですから私は、ご主人様に一生仕えて行くと決めたんです。」
胸の前で、
拳を握り、
力説している。
「お、おう。そんなに特別な事だったの?」
「はい‼」
「あ~それならこのスパイダーゴーレムの名前を付けるのは、やっぱり寝る前だな」
スパイダーゴーレムの目が
喜びになのか、
キラキラと煌めいた。
嬉しいのか踊るように
お尻がゆらゆらと揺れている
そこへオークの門番がやって来た。
「そうだぜ、あんちゃん。魔物が名前を付けられるって事は、魔物にとって特別な事なんだ。ほとんどの魔物には名前なんて付いちゃいねえ。普通はな名前付けられる程魔力がある魔族やら人間は一握りだ。あんちゃん、すげぇんだな。さっきの訓練の動きも後半はほとんど見えなかったぜ?あぁ、あんちゃんの名前は?」
「ヨシヒロ=タナカだ」
「分かった、魔王様に報告しておくよ、二三日中には何とかなるんじゃないか?」
「よろしくお願いします。」
「あぁ」
そう言うと、
門番は俺達に背を向け、
門の中に入っていった。
「よし、飯でも喰うか。あ、フェン?フェンは美人なんだから戦闘時以外は、なるべく兜脱いでいてよね。」
「は、はい~」
そう言うと、
顔を耳まで真っ赤にして
兜を脱いだ。
「フェンリルだった頃も、ご飯は食べていなかったの?」
「あ、魔力が少ない時は、流石に魔物を狩って食べていましたね。普段は休んでいると、自然に回復してました。さすがに魔石にまでになってしまうと、回復のすら難しいんですけど。」
「じゃあ、飯食うときは、一緒に食おう。それが仲間だから」
「はい‼ご主人様‼」
さらにフェンは俺への
忠誠心を何故か
上げたようだ