01
まず、この世界について説明しよう。
この世界は神様が作られた世界。いわば、箱庭のようなものだ。神様が作った規則は絶対であり、誰にも破れない。
そして、神様はこの箱庭に生命を作った。
それが人間と魔族だ。
まず、人間には職業というものがある。それは、個人の役割であり絶対的に破れない。村人が七割、商人が一割、残りの二割が貴族などの高貴な職業。その中にもとても希少価値が高いものがある。
その名は『勇者』。
『勇者』とは、ありとあらゆるものや人に恵まれ、魔族の頂点である魔王を倒さなければならない。これは絶対的宿命であって、変えられない運命。
さっき文中にあった『魔王』とは。
『魔王』については人間の文献に詳しく書かれていない。唯一書いていることとあれば、”『魔王』は『勇者』にしか殺せない。”
つまり、『勇者』にしかということは『魔王』は自ら命を絶たれない。
そして、魔物や魔人を使役する『魔王』は人間にとって悪であり、絶つべき存在。そんな『魔王』は人間たちが住むより北の位置に魔王城を構えている。
城壁に囲まれている魔王城の敷地内はダンジョンだったりする。だが、本当のことはわからない。
なぜなら、今まで『魔王』を倒そうとして旅に出た『勇者』は過去に誰一人文献に記されていない。
『魔王』にやられたのか、はたまた、旅の途中で息絶えたのか、誰にも分らない。
分からないと言えば『魔王』という存在についても人間は誰も分からない。
いつ、『魔王』が生まれ変わっているのか。それとも複数いるんではないか。それぞれの説があるが、それを知っているのは『魔王』、本人だけだ。
『魔王』は魔族の頂点とされているが、実際に人間の里に攻め込んだわけではないし、実際、人間たちに危害を加えているのは魔王城の魔族ではなく、野生の魔族なのだ。
真偽を知らない人間にとって、『魔王』とは悪的存在。それ以上でも以下でもないのだ。
そんなくそつまらない箱庭で自分にとっての楽園を作るものがいた。
「規則なんぞ、破っちまえばこっちのもんだ」
ぽつり、そんな言葉を吐いたものがいたとか。