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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
9/19

進化、そして新人!

「おはようございます」


「おはよう。ずいぶん寝てたわね」


「依頼から戻ってすぐ掃除させられたから疲れてんすよ。たまには片付けてくださいよ」


「ロイ。マッサージする?」


「あー、後で頼むわ」


「じゃあ服脱いでね」


「マッサージで脱ぐ必要ある?」


「ロイくんのマッサージもする」


「おいこら」


「フィナちゃんは朝から飛ばすねー」


「とりあえず朝食ね。それからロイのスキルをもう一度調べるわ」


片付けの話が無かったことにされてるな。

もう絶対片付けてやんねぇ。



~~~~~~~~



「さて、始めようかしらね」


「その前にいいですか? 何で調べ直す必要があるんですか? またバカにするためなら勘弁してほしいんですけど」


「違うわよ。私もそこまでヒドくないわ」


いや、あんたならやる自信がある。


「昨日言ってたわね。『魔力を込めたら速さを調整できる』って」


「あー、そうですね」


「あんたの『投擲(スロー)』の説明に『魔力を込めたら』なんて説明は無かったわ」


「そーいや、そうだったねー」


「それが何かあるんすか?」


「スキルはね、与えられたときにどういうものかクリスタルに細かく出るようになってるのよ。スキルを理解して正しく使えるようにね」


あー、あの説明文か。

あれってそんなに重要だったのか。

何となくしか見てなかったな。

ってか正しく使うとかあんたが言ってんじゃねぇよ。


「だからあんたのスキルが魔力で速さを変えられるなんてこと本来有り得ないのよ。けど、それが出来てるってことは、あんたのスキルは進化してるってことになるわ」


「進化? スキルって進化するんすか?」


「聞いたことないねー」


「初耳」


「一応、前例はあるわ。ただ、その前例ってのが勇者グレイだけなの。つまりあんたで2人目」


「ロイくんすごいねー!!」


「さすが私のロイ」


何か分からんけどすごいことになってきてるっぽいな。

オレに英雄と同じことが起きてるってのは結構嬉しいというかワクワクするな。


「これは協会に報告しないといけないことよ。そのためにも、もう一度クリスタルでスキルの内容を確かめるわ。進化してるならどう変わったかも確かめとかないといけないし」


「わ、分かりました」


何かすげぇ緊張する!

速さが変わるってのはほんの一部で、実はもっとすごいスキルになってるなんてこともあるかもしんねぇ!

THE 勇者って感じの展開じゃねぇか!


「じゃあ始めるわよ。クリスタルに手をかざして」


おー、きたきたきたー!!!

ついにオレの真の能力が明らかになる!!

散々バカにされたからな。

こいつらは謝っても許してやんねぇ!


「出てきたわね・・えーっと・・」



投擲(スロー)


ありとあらゆる物質を使用者の意図する場所へ確実に投げることが出来る。

ただし、使用者の手で握ることの出来る範囲の物質に限る。

魔力を込めることで速度調整が可能。



「これだけですか?」


「これだけね」


「これ何か意味あるんすか?」


「ティッシュを速く捨てられる、とか?」


「プッ・・これは・・ダメだにゃ・・・・もう・・」


「ロイ。どんまい」


「にゃははははっ!!にゃーはははははっ!!お腹が!!お腹が痛いにゃ!!にゃーはははははっ!!」


「プッ・・これなら・・協会には報告しなくてよさそう・・ね・・フフッ」


「にゃーはははははっ!!にゃーはははははっ!!」


あっ・・涙が・・。



~~~~~~~~



「いやー、あんなに笑ったの久々だよー」


「そんなに落ち込まないの。内容はともかく、スキルが進化するってすごいことなのよ?」


「・・・・・・・・。」


「ロイ。よしよし」


やめて。フィナ。

その優しさは泣いちゃうやつだから。


「しっかし、進化してるかもって分かったときはどうしようかと思ったけど、あんたらしいショボさで逆に安心したわ。グレイの前例があるからちょっとドキドキしてたのよ」


「そーいや、グレイってどんな風に進化したの?」


「えーっとね、グレイのスキル『万物切断(スラッシュ)』はありとあらゆるものを切ることが出来たんだけど、それが切る対象を選べるっていう反則級のスキルに進化したらしいわ」


なにその勇者っぽい感じ。

同じ進化なのにこの差はひどすぎるだろ。

とりあえずグレイ殴りたい。


「なんかすごい感じ。絵本になるだけのことはあるね」


「そうね。それこそ人に向ければ外見は一切傷つけずに内側だけを切る、なんてことも出来るし。あんたとは大違いね」


こいつ容赦ねぇな。

本当に人か?

今なら泣けるぞ?

思春期の大号泣見せてやろうか。


「ロイ。私はかっこいいと思う」


「・・ありがとな」


「まぁとにかく、大事にならなくてよかったわ。実はこの後、面接があるからさっさと終わらせたかったのよ。助かったわ」


それはよかったです。

あとで辞表出そうかな。


「んにゃ? また新人来るの? くん? ちゃん?」


「まだ採用するか分からないわ。ちなみに、ちゃんよ」


「新人ちゃんかー。可愛い子ならいいなー」


この会社の場合は採用するかじゃなくて来てくれるかだろが。

上から言ってんじゃねぇよ。

怖いから直接言わないけど。


「もう少ししたら来ると思うからそれまでみんなで事務所の掃除よ!

少しでも長く滞在させて私の『人選(スカウト)』を使う時間を稼ぐのよ!!」


「合点承知」


「了解だにゃあ!」


潰れればいいのに。この会社。

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