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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
8/19

判明、そして初仕事! ~その3~

「昨日はみんなご苦労様。とりあえずロイのスキルと反動も分かったことだし、今日から依頼をこなしてもらうわ!」


「依頼って、フィナの草刈り以外にも来てたんですか?」


「当たり前でしょ!」


そのわりには、オレが入ってからほぼ毎日遊ぶか事務所の掃除だったよな。


「久しぶりのお仕事だねー」


「わくわく」


「今日の依頼は・・」


「ゴクリッ」


「果樹園の収穫作業よ!!」


「収穫作業?」


「そうよ!」


んなことだろうと思ったよ。

この会社、業者派遣会社に改名した方がいいんじゃねぇのか。


「おじいさんがハッスルし過ぎて腰を痛めたから収穫を手伝ってほしいってのが依頼内容よ!」


「理由しょぼっ!!」


「ちなみに腰は街のえっちぃお店で痛めたらしいわ!おばあさんには内緒にしてくれって口止め料ももらってるからくれぐれも言わないように!」


こいつ・・絶対スキルで脅したな。

ってかこの街の住人もダメな系じゃねぇか。

街ぐるみでどうしようもねぇな。


「さっ!依頼開始よ!!」



~~~~~~~~



「はぁ、地味だ」


仮にも勇者を名乗っておきながら果物をひたすら収穫するだけ。

別にさ、勇者に憧れたりしてたわけじゃないけど、これはちょっとへこむわ。


「はい」


「ほいさっ」


「はい」


「ほいさっ」


何であの二人はあんなに楽しそうなんだよ。

しかもめちゃめちゃ手際いいし息ピッタリだし。

どんだけこういう依頼こなしてんだよ。


「おーい」


「ん? あー、ども」


「今日はありがとね。収穫分はこの辺りまでだから、もう大丈夫よ。助かったわ。これ、少し傷んで売り物にならないけど、味は変わらないからよかったら持って帰って」


「わぁー!ありがとー!」


「美味しそう」


「ほんとにうまそうだな。いいんですか?」


「いいのよ。ちょっとしたお礼」


「じゃあ遠慮なく。ありがとうございます」


「こちらこそ。またお願いするわね」



~~~~~~~~



ああやって感謝されると悪い気はしないな。

案外良い仕事なのかもって思っちまう。

社長と従業員はクソだけど。


「んぅー、これは食べれないかなー」


「ん? どしたんすか?」


「さっきおばあさんがくれた果物なんだけど、1つだけ固くなっててさー。もったいないけどこれは食べれないなーって」


「あー、腐って固くなってるんですね。一緒に入れとくと他のもダメになっちゃいますから、おばあさんには悪いけど捨てましょうか」


「そだねー。ごめんねおばあさん!」


「固く・・・・」


「フィナ。目線上げてもらえるかな?ロイくんを凝視しないで」


「固くなったらもらおうかと思って」


「あげないからね!?」


「にゃははははっ!!」


「ったく、何でそうやってすぐ・・」


「泥棒ーー!!!泥棒だーー!!」


「何だ?」


「何か走ってくるねー」


「どけどけー!!」


「おっ、と。あぶねぇな・・」


「乱暴。ムカつく」


「おいっ!あんたら!あいつを追いかけてくれ!泥棒だ!オレの金盗みやがった!!」


「ありゃー悪い人だねー。ボクがひとっ走りして捕まえてくるよ」


「あー、いいっすよ。オレがやりますよ。さっきの果物もらえます?」


「んにゃ?」


「ロイ。ファイト」


まぁ、これくらいの固さなら死なねぇだろ。


「こんなもんか・・なっ!!!」


あっ、ちょっと強すぎたかも。


「ぐぉっ!!」


おお。綺麗に弾け飛んだ。

投げといてあれだけど、結構痛そうだな。

ちょっと鈍い音したし。

頭殴られて死んだ現場みたいになってるけど、まぁ血は出てねぇだろ。

おばあさん、ごめんな。

食べれなかったけど、役には立ったよ。


「おー、当たったー!ロイくんすごいねー」


「ロイの豪速球。すごい」


「ふぅ。たまには役に立つな。このスキル」


「あんた、すげぇな!助かったよ!ありがとな!」


「あー、いえいえ」


泥棒は・・気絶してるだけか。

やっぱり強く投げすぎてたな。

力加減の練習しとかねぇと。


「にしても、ティッシュをゴミ箱に入れるだけかと思ってたけど、あんな風に投げたりも出来るんだねー」


「どんなスキルなんすか、それ。狙いさえ定まれば結構速さも出せるみたいなんすよ。少しだけ魔力使いますけど」


「へぇーロイくんの思春期は意外と使い勝手がいいんだねー」


「その呼び方、いい加減やめてくださいよ」


「ロイはヤる男」


「それもやめて」


「にゃははははっ!!」



~~~~~~~~



「戻りました」


「たっだいまー」


「ただいま」


「あら、おかえり。依頼はどうだった?』


「バッチリだったよー。果物もらっちゃったー。さっそく剥いてくるねー!」


「私も剥く」


「果物をね。視線を上げなさい。」


「フィナ。もう少し暗くなってからにしてね。それくらいが食べ頃だから。そーいえば、街でちょっとした騒ぎがあったみたいだけど、大丈夫だった?」


「おい。今なんてった?世間話に紛れてとんでもねぇこと言っただろ」


「あー、あの泥棒さんかな? ロイくんがやっつけたんだよー。思春期スキルでー」


「おい猫こら。オレの話逸らすな。んで、その呼び方やめろっての」


「へえー。やるじゃない」


「ったく。スキル使って果物投げただけですよ」


「もうねービュンって感じでねー投げた瞬間にぶつかった感じだったよー」


バカっぽい説明ありがとう。猫さん。


「ふぅん。案外使いこなせてるのね」


「まぁそれなりに。ちょっとコツというか、魔力使いますけど」


「魔力?」


「ええ。投げる時に魔力を込めると速さを調整出来るんですよ。まぁそれだけなんですけど」


「・・・・。」


何だ?黙りこんで。

そんな真剣な顔したってどうせロクでもないことしか考えてないくせに。


「ロゼ? どしたのー?」


「ロイ。あんた明日時間あるわね?」


「まぁ、ありますけど」


「あんたのスキル、もう1回調べるわよ」


「はあ・・・・」


「なになにー?ロイくんの思春期再調査?」


「おい猫こら、水責めすんぞ」


「今夜が食べ頃」


「フィナはまだそこ?!あの人の言うこと信じちゃダメだからな?!」


反応無ぇな。

あれ?ホントに真剣な感じ?

ってか、そんな顔出来るんだな。

そうしてりゃ少しは社長っぽいのに。

見た目だけはいいんだから。


「ロゼさん? どしたんすか?」


「・・男の食べ頃っていつなのかしら?」


「ロイくん教えてあげなよー。にゃははははっ!!」


「今夜はロイの収穫」


もうほんと、どうしようもねぇこの会社。

オレがしっかりしないと。

とりあえず社長は解任して、猫は水責めだな。

フィナは・・時間と場所だけわきまえてくれれば問題無し!

こんなクソみたいな会社でこき使われてるんだ。

美少女の下ネタくらいのご褒美があってもいいだろ。

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