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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
5/19

反動、そして恋心!

「ロイ。あっち」


「あー、はい」


「次はあっち」


「はいはい」


あのスキル事件以来、何かと理由を付けてフィナさんにこうやって連れ出される。

今朝も叩き起こされてこうして街で買い物をしてるわけだ。

もう少し優しく起こしてくれないかな。

可愛いから許すけど。


「ロイ。あれ食べよ」


「走ったら危ないですよ」


にしても、なんすかこれ?

めっちゃデートみたいなんですけど。

フィナさんちょっとテンション高いし。


「ロイ。半分あげる」


「ども」


だからなんなんすかこれ?

ドキドキし過ぎて全然楽しめないんですけど。


「ロイ。機嫌悪い?」


「えっ?そんなことないですよ!」


「ロイ。敬語、嫌」


「いや、先輩なんでそれはさすがに」


「私、18よ? ロイと同じ。だから敬語無しでいい」


「18?!大人っぽいから年上かと思ってた。分かんないもんだなー」


「そうね。ロイは子供っぽい」


「どういう意味だよ」


「フフッ」


どうなってんすかこれー!!!

完全にデートじゃねぇか!!

ドッキリとか? けど、フィナさん超マジメだって言ってたし・・。

どうしよう。ロイくんが期待しちゃってる。期待に胸膨らませちゃってる。


「ロイ。あっち座ろ?」


「えっ? ああ・・」


ダメだこれ。もうダメだ。

完全にハート鷲掴みですわ。

こんな可愛い子とデートしてたらそりゃそうなるよ。


「ロイ。楽しい?」


「ん? ああ・・楽しいよ」


「そう。私も楽しい」


ハグしてぇ。

たまんねぇ。なんだこの欲求。

よく分かんねぇけど、めっちゃハグしてぇ、

いかん。落ち着かねば。


「フィナは何でこの会社に?」


「ミアに・・・・」


誘われたとか?

こんな可愛い子が会社にいたら華があるもんな。

それだけで面接に来たくなるわ。


「捕まってロゼリアにサインさせられた」


あいつら埋めよう。

どっか遠い異国の地に埋めてやろう。


「それって拉致・・!


「拉致?ロゼリアは面接って言ってた」


あんのやろう・・。

犯罪スレスレまでいってやがった。

フィナに内部告発させてあんな会社潰した方がよっぽど世の中の為になるんじゃねぇのか。


「それからは何となくいたけど・・今はロイがいるからいる」


「へ?」


「ロイ・・・・」


顔!近っ!

ここに来て更なる急展開!

これってあれだよな。疑う余地も無いくらいあれだよな。

チュー的なやつ!チュー的なやつだ!!

ちょっと!ロイくん!落ち着いて!

焦らないで!!焦ら・・・・


「・・あっ」


「見つかったにゃ」


この辺って鈍器的なもの売ってたっけか。



~~~~~~~~



「で、何してたんすか? いや、やっぱり言わなくていいや」


「おもしろそうだから尾行してた」


言うなってのに。


「ラブラブだったねー」


「あんたら、フィナの様子が変わった理由とか何か知らないんすか?」


「あらぁ? もう呼び捨て? チェリーのくせに意外とやるわねぇ」


「話聞けっての」


「フィナちゃんがロイくんを好きになっちゃったじゃダメなの?」


「ダメじゃないですけど、あの日以来、ずっとこんな感じだから正直困ってんすよ。」


ってか、好きとかやめて。

まだそのワード出てないんだからっ!

フワフワした状態なんだからっ!


「ダメじゃないなんて言わずに素直に嬉しいって言いなさいよー。チェリーのくせに」


ニヤニヤしてんじゃねぇよ。呑んだくれが。

本気で埋めんぞ。


「けどまぁ、強いて言うなら『反動(リバウンド)』かなー」


「『反動(リバウンド)』?」


「あぁ。あんたに説明するの忘れてたわね」


こいつ・・。

どうでもいいことはすぐ言うくせにこういう大事そうなのは本気で忘れやがるから腹立つ。


「『反動(リバウンド)』ってのはね、まぁ簡単に言えばスキルを使う時のリスクみたいなものね」


ほらな。やっぱり大事だった。


「リスク?!えっ?スキルって無条件で使い放題じゃないんすか?!」


「さすがにそんな都合よくいかないよー。多少のリスクを背負うくらいスキルって特別なものだからねー」


確かにそうだな。

使い方次第じゃ国を滅ぼせるくらいのスキルがあってもおかしくないだろうし。


「ついでに言うと、勇者がいなくなった理由でもあるのよ」


「どういう意味っすか?」


「スキルと同じように、反動もどんなものになるかはランダムなんだよ。ただ、スキルと違って反動は発動するまでどんなものか分からないんだー」


「あんたみたいなショボいスキルで命の危険がある反動になる人もいてね、割りに合わないって勇者をやめちゃうのよ。スキルさえ使わなければ反動も出ないから」


オレの投擲をショボいって言ったのは、今はスルーしてやるか。

しかし、勇敢なる者が聞いて呆れるな。


「で、フィナちゃんの反動が『魅了(チャーム)』って言うんだよ」


「『魅了(チャーム)』?」


「『誘惑(テンプテーション)』を使った相手がフィナに誘惑されなかったら逆にフィナが相手に魅了されちゃうってわけよ」


「虜に出来なきゃ虜になるってわけだねー。にゃはっ!」


「フィナのスキルは強力な部類に含まれるの。使い方次第じゃ人を操って何でもさせられるからね。だからそれ相応のリスクがあるってことよ」


「何か、スキルって意外と厳しいもんなんですね。勇者の特権くらいにしか思ってなかったです」


「所詮は人間だからね。万能にはなれないんだよ」


「で、あんたがこの前フィナの誘惑に耐えたからフィナに反動が発動してるかもしれないってことよ。ロイくんお手柄ね」


バカにしてんのか?

バカにしてるよな?


「・・・・。じゃあフィナの今の状態はその反動のせいってことですか?」


「スキル同様、反動にも一応は解除方法があるわ。フィナの場合、同じ相手をもう一度誘惑して成功すれば魅了は解除されるわ。ただ、あの日以降あんたに誘惑を使ってこないってことは、きっかけは反動でも今の状態はフィナの意思ってことよ」


「あんまりガッカリすることないよー」


「ガッカリはしてないですよ。むしろ理由が分かってちょっと安心してます」


「あとは、フィナとあんた次第ね」



~~~~~~~~



あれ? オレいつの間に寝たんだろ。

今日は色々あったから疲れてたのかな。

フィナに付き合って街を歩き回ったし、ロゼさんとミアさんにスキルの話とか聞かされたし。


「フィナ・・かぁ」


やっぱ反動のせい・・だよな。

じゃなきゃ急に態度が変わった説明がつかねぇし。

安心したとは言ったものの、ちょっとショックだな。

こんなことで好きになられても仕方ないんだけどさ。


「フィナどうすんだろ・・・・」


「何を?」


「どわぁ!!フィナ?!何してんだよ!オレのベッドの中で!ってか、服は!?服!!」


「ロイが起きるの待ってた。寝るときはいつもこれ」


待ってた? なんで?

ってか下着で寝るとか何考えてんだ!?

都会の女の子はそうなのか!?

オレが田舎育ちだから知らねぇだけなのか!?


「待ってたって・・それよりまず服!!」


「ロゼから聞いた。私のスキルと反動の話をロイにしたって」


「えっ!?あー・・そのことか・・」


「関係無い」


「へ?」


「反動は関係無い。私はロイが好き。これは本当の気持ち」


「えっ・・」


「初めて会った日から、ロイを知りたくてずっと見てた。そしたら好きになってた。だからこの気持ちは嘘じゃない」


「フィナ・・」


「反動があっても無くてもあなたはとても魅力的」


何だこれ・・。

何か、ザワザワして・・とにかくフィナを抱き締めたい。

これが・・恋・・・・なのか?


「フィナ・・」


「ロイ・・」


「いい雰囲気ねぇ。お二人さん」


「おめでたかな?にゃはっ!」


「どわぁ!!ロゼさん!?ミアさんも!!」


こっ・・こいつら・・。

どっから湧いてきやがった・・!

いつもいつも邪魔しやがって・・!!


「気にしなくていいわよ? こっちはこっちで楽しんどくから」


「わくわくするにゃあ!」


決めた。

明日、手で握れる大きさのとんでもなく硬いものをどんな手を使ってでも探しだそう。

んでからこいつらに渾身の投擲をお見舞いしてやる。


「ロイ・・続き・・」


この子、ブレねぇな。

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