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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
17/19

団子、そして獣化! ~その3~

翌日、オレは犬にとっての最高の幸福だと思われるありとあらゆることを試した。

おやつをあげてみたり、思いっきり散歩をさせてみたり、気の済むまで遊びに付き合ったり・・。

しかし、リオが元に戻ることはなかった。


「調子はどう?」


「全く効果無しですよ。毎日3回行ってた散歩を5回にしたり遊びまくったりおやつあげたりしましたけど、何にも変化無し。もうヘトヘトですよ」


「だらしないわねぇ。これだから田舎者は」


「おいこら。どんな偏見だ。田舎者の方が大抵たくましいっての」


「困ったわねぇ。次の依頼はリオのスキルが必要不可欠なんだけど・・」


「ちょっと気になるんですけど、リオの反動の条件ってオレたちと比べておかしくないですか?」


「どういうこと?」


「オレやフィナ、ミオさん、社長もみんなスキルに関連してるじゃないですか。けど、リオだけスキルと全く無関係なのが変だなって」


「確かにそうね。でもね、スキルにしろ反動にしろそもそも解明されてないことの方が多いのよ。スキルだって、勇者に与えられる恩恵にしては逆に人を傷つけるようなものだってあるし、反動にしてもスキルに対して明らかにリスクが低いものだってあるわ。結局のところ人智を越えた力としか言いようがないのよ」


そんなもんなのか。

これもやっぱり神様とかの仕業か・・。

ったく、ロクな奴じゃねぇな。


「とにかく明日も色々試してみてちょうだい。もしダメだったら次の依頼は断るしかないわ。リオのことを考えると依頼を受けてる場合でも無いしね」


「分かりました」



翌日、今までと違うアプローチをしてみるためにリオとのんびり過ごしてみた。


「リオ、お前いまどんな気持ちなんだ・・。そんな風になってツラいのか? 悲しいのか? それとも本当に人の感情を無くしちまったのか?」


「くぅ~ん・・」


「なぁ・・リオ・・もっかいロイさんって呼んでくれよ・・オレ・・お前がいないとすげぇ寂しいんだよ・・」


ここのところの疲れもあってか、独り身のおっさんのようにリオに話しかけてしまった。

分かるわけないよな・・オレ犬語なんて喋れねぇし分かんねぇし。


「・・ロイさん?」


「そうそう。そんな風に・・って、まさかの急転回!? えっ? リオ? 戻ったのか?」


「戻った? 私がどうかしたんですか? それよりも、私としてはロイさんに言われた恥ずかしいセリフの方が気になるんですけど・・」


聞かれてたー!!

いや、戻ってたんなら言えよ!

どのタイミングすか?! 最初からすか!? 最初から全部聞かれてた感じすか!!?


「なぁ・・リオ・・もっかいロイさんって呼んでくれよ・・オレ・・お前がいないとすげぇ寂しいんだよ・・」


「んな!?」


「ロイくん乙女だねー」


「やーねー。真似したこっちまで恥ずかしくなるわ。さすが思春期ね。こんな恥ずかしいセリフを堂々と言うなんて」


「ロイ。ロマンチック」


こ・・こいつら・・。

人の気も知らないで・・。


「で、リオ。調子はどう?」


「えっ・・あっ・・はい。良く分かりませんけど大丈夫です。お団子を食べてからの記憶が曖昧というかぼんやりしてますけど・・」


「そう。その辺はミアと同じなのかしらね。とりあえず元に戻ってよかったわ」


「ロイさんも言ってましたけど、戻ったってどういうことですか?」


「リオちゃんね、お団子食べたら反動が発動しちゃってワンちゃんになってたんだよ」


「リオワンワン。可愛かった」


「えー!? 何ですかそれ!!覚えてなくても聞いてるだけですごく恥ずかしいんですけど!」



記憶が無いと言うリオに社長から獣化してる間の話がされると、リオは顔を真っ赤にしていた。


「うぅ・・。穴があったら入りたいです」


「リオ。穴なら自分の・・」


「おい!!辞めろ変態!!何言うつもりだ!!」


「聞きたい?」


「いや、その・・えっと・・いっいらねぇよ!」


「フフッ。ロイ真っ赤。心配しなくても頑張ったご褒美に今夜いっぱい聞かせてあげる」


「いや、ご褒美になってねぇ」


こいつの変態具合が日に日に増してる気がするな・・。


「ご褒美・・あっ!!キンちゃん!!あっあの!!お団子!お団子は!?」


「心配しなくてもちゃんとあるわよ」


「よかった・・無かったら一生恨むところでした・・」


怖ぇよ。

団子で一生恨まれるとか最悪どころの話じゃねぇぞ。


「それじゃ!!リオちゃんも戻ったことだしお団子パーティ再開だね!」


「そうね。やっとゆっくり食べれそうね」


「早く食べたい」


「私もです!」


もしかしなくても、オレの頑張りって団子に負けた?

・・団子以下の男すか・・。


「まぁまぁロイくん。お団子でも食べて元気出しなよ」


「そうですよ!キンちゃんのお団子食べれば悪いことなんてすぐ忘れちゃいますって!おっ団子♪おっ団子♪」


いや、まぁ・・うん。

原因はお前らなんだけどな。


「さてさて。それじゃ、ボクは辛い方を・・ってあれ? 辛団子が無いよ?」


「ロイ。欲張り」


「何でだよ!オレじゃねぇっての!」


ったく・・・・ん? 何でリオを見ながら固まってんだこのポンコツ社長。


「どしたんすか? ロゼさん。何か顔色が・・」


視線の先には俯いてピクリとも動かないリオ。

うわぁ・・つい最近見たばっかりの光景だなー。


「リ、リオ? どうした? 」


「ウキッ?」


わぁー。可愛いおサルさん。迷い込んじゃったのかな?

って、ちげーよ!嘘だろ!? 話聞いてなかったのか!!


「わぁー!今度はおサルさんだー!にゃははははっ!!」


「リオモンキー。可愛い」


あー、もういいや。この猿はいっそのこと山にでも帰してあげよう。

元気でな!仲間によろしく!


「ロイ。出番よ」


「ロイ。ファイト」


「にゃははははっ!!」


「うききー」


ちきしょーめ!!!

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