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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
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団子、そして獣化!

ワンダー事件から数日。

色々と問題はあったが、会社設立以来の大仕事をこなしたオレたちにご褒美として社長から数日間の休暇が言い渡された。


「ワンダーの件で警備隊に色々と苦情が入ったらしくてね、信頼回復のために街の警備が強化されたのよ。だから街で目立った事件も起こってないし、この時期は農家も収穫が一段落してるから依頼も来ないわ。今のうちに休んでおきなさい」


「わーい!休みだーー!」


「ロイ。デート」


「フィナさん。どうせならみんなでどこか行きましょうよ!」


「と言うかそれ、ご褒美ってよりただ単に仕事が無いだけなんじゃあっはぁ!!」


「何か言った?」


「いえ・・だにぼ(何も)・・」


相変わらずキレのあるパンチだ。

何のためらいもなく社員の腹をえぐれるのがあんたのすごいとこだよ。


「ワンダーの時はみんな大変だったろうしのんびりしてなさい。私は少し用があるから出掛けるわ。それじゃ」



まぁそんなこんなでオレたちは事務所でダラダラと休暇を満喫していた。



「しっかし休みかー。喜んだけど、よくよく考えたらそんなにすることないねー」


「そりゃ、依頼が無い日なんて珍しくないですし、結局いつも通りですからね」


「暇。ミアで遊ぶ」


「で、って何!?で、って!そんな顔してもって、にゃーー!!耳はやめてーー!!!」


「フフッ。お二人はいつも仲良しさんですね」


「リオちゃん!笑ってないで助けてよー!んにゃー!!!」


結局いつも通りだな。

にしても、社長どこいったんだ?

休みなんて言い出したからてっきり明るいうちから酒盛りでも始めるのかと思ったけど。


「たっだいまー!!」


「ロゼ。おかえり」


「おかえりー。ってか、フィナちゃん!耳!おかえりの前に耳離して!」


「おかえりなさい!」


「どしたんすか?やけに機嫌良いっすね」


「フッフッフッ。喜びなさい。今日はあんた達にお土産があるの」


何だこの感じ。気持ち悪ぃな。


「お土産ー? なになにー?」


「気になる」


「私も気になります!」


「フフフッ。これよ!!」


自慢気に差し出したロゼさんの手には『団子屋 キンちゃん』と書かれた小さな箱。

『団子屋 キンちゃん』てなんだよ。


「!!」


「そっそれは!!」


「ロゼ・・それってまさか・・」


「そう。年に数回、突然商店街に現れそして消える。その美味しさから僅か数分で完売してしまうと言われる幻の屋台・・『団子屋 キンちゃん』の特製串団子よ!!」


「んにゃーーー!!!」


「ロゼ。お手柄!」


「わっ私、初めて見ました!」


なんだ女子たちのこの食いつき。

だから『団子屋 キンちゃん』てなんなんだって。


「どどどどどうしたのロゼ!? キンちゃんのお団子だよ?! そんなの買ってくるなんて!」


「ロゼ。大好き」


「すごいです!これを買うために仕事辞めて商店街で張り込みする人もいるって言われてるくらいなのに!」


どんだけだよ。

ダメすぎだろそいつ。

ってか、誰か『団子屋 キンちゃん」の説明してくれよ。


「ちょっとしたコネがあってね。今回特別に譲ってもらえたのよ。この前の依頼ではみんな頑張ってくれたから食べさせてあげようと思って。ご褒美の本命はこっちなの」


「にゃー!ロゼー!ありがとー!」


「ロゼ。愛してる」


「頑張ってよかったです!」


「フフフッ。さっ、食べましょうか」


何かオレ、置いてけぼりだな。



『団子屋 キンちゃん』

今から数十年前、ウィザリアの商店街に突然現れた屋台。極東の団子とかいうお菓子を売ってる店らしいけど、あまりの美味しさに毎回即完売。いつの間にか消えるっていう謎めいたところも相まってあっという間にウィザリアで人気になったらしい。



「へぇー。そんなに有名なんすね」


「あんたは田舎者だからね。知らないのも無理ないわ」


「おいこら。誰が田舎者だ。田舎なめんなよ」


「ロイくん。これを食べれるのはほんっとうにラッキーなんだよ。この先、もう二度と良いこと無くても仕方ないくらいラッキーだよ!」


「団子で一生の幸運使い果たすとか嫌ですよ」


「ロイ。分かってない」


「ロイさん。これはこの街の貴族の方がありとあらゆる方法とお金を使ってでも手に入れようとするくらいのお菓子なんです!」


貴族しょぼいな。

そんなんするならオレらに仕事くれよ。


「それくらい美味しいのよ。私もおじいちゃんが魔王討伐の報酬にもらってきたのを一度食べたきりだけど、今でもあの味は覚えてるわ」


魔王討伐の報酬がお菓子て。

グレイもよく怒らなかったな。


「今回手に入れたのは私の思い出の味、特製辛団子と定番の特製甘団子よ。両方みんなの分があるから味わって食べるのよ」


「ボク、ブレイブロードに入って本当によかったよ・・それじゃ、いっただきまーす!!」


「私も、いただきます」


「私は社長の思い出の辛団子から・・いただきます!」


「オレは甘いのから食べようかな。いただきます」


へぇー・・モチモチしてるんだ・・・・なっ・・なんだこれぇ!?

うめぇ!!うますぎる!!

独特の食感と絶妙な甘さ加減!!

噛めば噛むほど口の中に味が広がって飲み込むのがもったいねぇ!!

はぁ・・すげぇ・・ずっと食べてたい・・。

やべっ・・涙が・・。


「フフッ。すごいでしょ?」


「これ、本当にうまいです!もう、うまいしか言えないくらいうまいです!!」


「はぁー・・幸せだにゃー・・」


「至福・・」


「喜んでもらえてよかったわ」


「あぁー・・やべぇ・・。リオ、辛い方はどんな感じだ?」


俯いて黙ってるな。

そんなにうまいのか?

そりゃ、甘い方でこのうまさだし、辛い方もたまんねぇんだろうな。


「リオちゃん、黙っちゃうくらい美味しいみたいだねー」


「感動してる?」


「リオの歳で食べれるなんて奇跡に近いものね。リオ、美味しい?」


「わおん?」


「・・はっ?」


「リオ?」


「にゃははははっ!!美味し過ぎてワンちゃんみたいになってるー」


「・・ミア、違うわ!これは・・」


「リオ? どしたんだよ?」


「わんっ!」


いや、わんって。犬かよ。

美味しいのは分かるけど、リアクションが独特過ぎんだろ。

それじゃあまるでアホ猫みたい・・猫みたい?


「・・社長・・これってまさか・・」


「『反動(リバウンド)』・・みたいね」


「えー!?なんでなんで?!」


「リオがワンワン。可愛い」


「いや、フィナ。今はそういうのじゃない。にしても、このタイミングで出るなんてどういうことだ・・? 団子食うのが発動条件とか?」


「さすがにそんな限定的過ぎる条件ではないと思うけど・・リオが食べたのってこっちよね?」


「ええ。辛い方から食べるって・・えっ? まさかそれが条件?!」


「そう考えた方が妥当ね。とにかくクリスタルで調べるしかないわ」


猫だけでも大概なのに犬て。

しかも辛いもの食べたらって・・。

スキルの反動ってアホなの多くないか?

誰が考えたんだよ。

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