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転生2世は派遣勇者!  作者: よん
14/19

正体、そして怪盗! ~その3~

あー、くそくそくそっ!!

作戦台無しじゃねぇか!!

捕縛役のアホ猫はただの猫になるし、逃がしたときの保険かけてたどスケベは目ぇ回してダウンしてるし!!


「オレらで捕まえるにしてもどうやりゃいいんだよ!!ってかあいつどこ行きやがった!?屋敷から結構走ってんのに全然いねぇ!」


ワンダーくんにクリーンヒットしてたから遠くには行けないはず・・。

あー、くそっ!

作戦失敗なんかしたらマジでヤバい!

間違いなくオレが全責任取らされる!

良くて拷問、悪くて処刑される!


「はぁはぁ・・ロイさん!ちょっと・・まってください・・」



さすがに女の子だからか、リオが辛そうに息を切らしてた。

どうするかで頭が一杯で気付かなかったけど、オレも命がかかってるから許してくれるよな。



「悪い、リオ。少し休むか」


「す・・すいません・・はぁはぁ・・」


オレも少し頭冷やすか。

まずはあいつがどこに行くかだ。

あの状態じゃ回復するまで遠くには行けないはず。

どっかに身を隠してるはずだ。

オレならどこにする・・オレなら・・。


「あ・・あのロイさん!あそこ!」


「えっ?」



少し離れた民家の屋根の上に袋を担いだ中腰の変態が見えた。

この期に及んでまた屋根の上とか・・。

あいつ、もしかしなくてもアホか?

今までよく捕まらなかったな。



「いたな・・」


「いましたね」


「・・とりあえず落とすか。えーっと石、石・・タワシしかねぇな。まぁいいか」


さっきは下狙いすぎたからな。

もう少し上を狙えばいけるだろ。


「これくらいか・・せーのっ!!あっ・・」


「我が名はあふぅん!!」


変な体勢で落ちた。

何でこのタイミングでポーズ取るんだよ。

またワンダーくんに当てちまったじゃねぇか。

下に誰かいたのか?

屋敷の時と同じポーズだったから誰かいたんだろうな。

名乗る前に逃げろよ。


「落ちたな・・」


「落ちましたね」


「行くか」


「はい」


ワンダーが落ちた場所にオレたちが駆け付けると股間を押さえて悶絶してるオッサンがいた。

袋がクッションになったみたいで落ちてケガはしてないようだけど、多分落ちてケガするよりツラいんだろな。


「えーっと・・あんたがワンダーか?」


「・・・・。」


プルプル震えてるだけで返事が無い。

どうしよう。

このまま捕まえていいかな・・。

オチとしては絶対ダメな気がするけど、また追いかけっこするのめんどくさいしな・・。


「どうしましょう・・。お医者様を呼んだ方がいいんじゃ・・」


「んー。一応、悪党だしな・・警備隊に突き出せば後はそっちでやってくれるだろうし、オレらがそこまでしなくてもいいんじゃ・・」


オレとリオがどうするか相談してる間に少し回復したらしく、オッサンは立ち上がって何やら構えてる。

多分戦うつもりだな。


「わ、我が名は怪盗ワンダー!この私をここまで追い込むとはなかなかやるな・・!!」


「いや、無理すんなって。足震えてるし。ごめんな。腹狙ったつもりだったんだけどさ。あんた動くからずれちゃって」


「きっ貴様か!貴様がやったのか!何と恐ろしい攻撃を・・悪党め!!」


いや、あんたがだよ。


「あのぉ、ワンダーさん。お怪我もされてるようですし、大人しく捕まって頂けませんか? 早くお医者様に見せた方が・・」


「ふんっ!この程度のかすり傷!!どうってことないわっ!!少女に心配されるほど落ちぶれておらん!!」


めっちゃ足震えてるけどな。

大人しく医者行けよ。


「どうしてもダメですか?」


「当然!私は怪盗ワンダーだぞ!」


「リオ。こいつ多分バカだから話しても無駄だ。もうすぐ警備隊も来るだろうしそっちに任せよう」


「私がこのまま大人しく捕まると思うか? 甘く見られたものだ!」


いや、思ってるよ。

めっちゃ冷や汗かいてんじゃねぇか。


「そうですか。仕方ありませんね」


「貴様のような少女に何ができ・・」


「えいっ」


「うぉおっ!?!?」



リオの可愛らしいパンチでワンダーの目の前の地面に轟音と共にとんでもない大きさのヒビが入った。

それはもう、当たったら木っ端微塵になるのはすぐに想像できるほどの威力だった。



「大人しくしてもらえますか?」


「はははははいっ大人しくでもなななんでもしますっ!」


「よかった!ロイさん!大人しく捕まって頂けるみたいです!」


「そかぁー。お手柄だなリオ」


「えへへっ」


放心してるな。同情するよワンダー。

2回も股間強襲されたうえにこんな少女にトラウマ級の脅迫だもんな。

オレなら怪盗どころか人間も辞めたくなるよ。


「さて、あとは警備隊に任せて変態と猫を回収しに行くか」


「はいっ!」



放心するワンダーをその場に置いてオレとリオは屋敷にアホ二人を回収しに戻った。

戻る途中、警備隊に会ったからオレたちのこと、ワンダーの居場所、もう逃げれる状態じゃないことを伝えるとめちゃめちゃ賞賛された。

いや、あいつがアホなだけだよ。

捕まえれないあんたらもどうかしてんじゃねぇのか。



「さて、屋敷に着いたけど、あいつらどこだ?」


「あそこで遊んでますよ?」


「んにゃー、にゃー」


「可愛い。ほれほれ」


「なに遊んでんだよ」



翌日、ワンダーは無事逮捕されブレイブロードには報酬と懸賞金が入りオレたちは小金持ちになった。



「いやー!ご苦労様!ワンダーも捕まって私達は儲かって良いことばっかりね!」


「んにゃー、ボク覚えてないー」


「私は楽しかった。猫ちゃん」


「にゃーー!耳はやめてってばー!!」


こいつら・・。

てめぇらのせいでオレらがどんだけ苦労したと思ってんだ・・。


「でも、私もちょっと楽しかったです!」


「・・そか。ならよかった」


この笑顔に免じて今日は怒らないでおこう。


「なになにー?一晩一緒に過ごして仲良くなった感じ?やるねぇーロイくん」


「ロイくんエロエロだねー!にゃははははっ!!」


「ロイ。浮気ダメ」


「えーっと、えーっと昨日はその・・ロイさんとは何も・・」


あー、もうやだ。

田舎帰りたい。帰る家無いけど。

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