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11話:これまでと

『魔獣の王』のケモノ:第二の眷属『キキ』

俺こと超陀(こえた)ケモノは異世界召喚なんて誘拐同然に地球の日本から今いるこの世界に連れて来られた。

そして俺を拉致と変わらない召喚をしておきながら、俺のステータスが何もない、ただそれだけの理不尽極まりない理由で、この国のあのクズ王に『無能者』の烙印と共に国を追放され見知らぬ外の世界に追い出された。

しかもあのクズ王は俺が『他の街に入ることを許可しない』という腹立たしい令まで出しやがった。


俺は始めて訪れたその街でその事を知った。

その時に俺は強い怒りと悲しみを抱いた。

俺が一体何をした?

何故ただ能力を有していなかっただけでなぜここまでされないといけない。

俺は今まで自分の【ケモノ】と言う名前の為にからかわれ苛めの標的にされていた。

苛め事体は慣れたからそれほど気にしていなかった。傷ついたりはしたけども。

しかし苛めの標的にされていたとはいえ、俺同様に同じ世界から勝手な召喚に巻き込まれたクラスの面々。

俺が王国から追放される時、ただ一人として俺を庇ってくれる者はいなかった。


俺はただ悔しさから、理不尽から血の涙を流すほどの憤りを感じた。

俺を見離した国のクズ王や同郷のクラスメイト。その人間達に俺は心の奥底から絶望した。


俺は、追い立てられるように山の方向に無我夢中で走った。

そこで俺は一つの洞窟に辿り着いた。


そこが今の俺の拠点としている場所だ。


洞窟。そこで俺は一頭の虎に似た鋭い牙を生やした魔物と遭遇した。

俺はその時、間違いなく死を感じた。

無能では何をしても刃が立たない。

それ程の無力感を与えられた。

どうやっても俺は死ぬ。それが俺の最後になる。

けど……俺は生にしがみ付いた。

何故こんな訳もわからない所で死なないといけないんだ?

何で俺がこんな奴に食われないといけない?

何も成せずただ無意味な死を何で受け入れないといけないんだ!


そんな風に頭に浮かぶ中、俺の心は恐らく壊れたのだと思う。

俺は、俺の害する存在を許さない。

俺の命を害しようとする存在は徹底的に殲滅し殺す。

生きる為に何でもしてでも、相手を殺し喰らい生き残る。

そして俺は望んだ。


そんな風に俺の人格は歪んだ。

けど俺はその歪みを受け入れている。

生きる為に殺す。

生きる為に相手を狩る。

生きる為に奪う。


そんな風に今の俺を受け入れた。

そして俺は、俺に襲い掛かってきた獲物を、無能と罵られた俺のこの手で殺した。

そう殺してやった。

魔物だろうが何だろうが相手を殺すと決めたその覚悟の強さを持って俺は達成を果たした。


そして俺はこの時に、俺だけの異能に目覚める事になった。

それは魔物に該当する【魔獣】を俺の眷属とする“魔獣の王(ビーストマスター)”という力だった。


『マスター~♪』


俺に甘えるように擦り寄って来たのは、俺がトラモドキをこの手で殺すのに成功した後に俺に襲い掛かってきた同種の魔獣だった。

ただ俺を襲うとした様だが、無意識に俺の”魔獣契約”のskillが機能し、俺にとってある意味初めての眷属となった魔獣なのだ。

名前は俺がファンと名付けた。

黄色い表皮をしていてフワフワと温かいので、俺はファンに背を預けながら眠るのが密かな癒しなのだ。

鋭い牙と爪をしており、それを武器に相手を狩る。

今のファンはどう言う事か俺に物凄く懐かれている。

好意を隠すことなく甘えてくるのだ。

今も構って欲しいと言う様にじゃれてくる。

まあファンがこうして寄って甘えてくるのも俺の得たskillが大きいだろうが。


『マスター、マスターと同じ人にして~』


俺の得たskill。それは契約した眷属の魔獣を人の姿に変化させることができるというものだった。

”疑人化“。

このskillを得たのを確認した後、俺は直ぐに試した。

当然相手はファンだ。


“擬人化”の効力でファンの姿は人間の女の子に変化した。

人間化したファンは正直美少女だった。

身長は150cmくらいで小柄だ。

魔獣形態の時の表皮の色と同じ黄色の長いフワッとした長い髪。

くりっとした丸めの大きく純粋さのある瞳。

プロポーションも抜群だ。特に胸の大きさだろうか。

あの時抱き付かれた時の感触は壊れた心の俺をしても狼狽させるほどの破壊力があった。


人間化してもファンの力は魔獣の時と変わらないようだ。

今の俺より正直、ファンの方がステータスは上だ。

純粋な戦いではまだ俺はファンに敵わないだろう。まあ知恵を活かせば話は別だろうがな。この洞窟で僕が俺となる切っ掛けをくれたトラモドキとの様に。

とまあ、純粋に押さえ込まれるとどうしようもなかったりする。

そして、俺は好意爆発と言うかのように、Skillで人となれたファンに押し倒され始めて(童貞)を奪われた。


その後なんとか満足し肌をつやつやとし眠るファンを元の形態に戻した。

いや。もう俺は搾りつくされゲッソリして疲労困憊って感じだった。


それからファンを擬人化させていない。

故にファンは俺に甘え擬人化を望んでくる。


……俺もファンとの行為は嫌だったわけじゃない。

だがどうにもファンに負けているのがなんだか悔しい気がしていた。

なんとなくだが迂闊にファンを人間にするとまた襲われそうな気がする。

それに俺のSkillで人間化すると、まあ当然なんだが裸だ。魔獣が服なんて着てるわけないからな。

だから”擬人化”を使うにしても何か着込む物を得てからだな。うん。


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