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焦燥の世界  作者: 八鍵 嘯
第一部「ギナティア王国篇」 第一章「断戒の大森林」
9/35

第9話《テンボウ》

連続投 八日目。

今回短いです。すいませんm(__)m


感想、指摘等は大歓迎。

『Excuse me, what's you name?(失礼ですが、貴方は誰ですか?)』

「……は?」


 え……英語?

 俺は突然掛けてきた男の声に、思わず茫然としてしまった。


『Excuse me, what's you name?(失礼ですが、貴方は誰ですか?)』


 俺がなかなか答えないからか、声は再び訊ねてくる。


「え……マ、マイネーム、イズ、マコトゴダイ……ですが……?」

『ゴダイマコトですね。日本人の方でしたか。貴方の目的はなんですか?』


 俺がどうにか答えると、声は一転。流暢な日本語で話し始めた。


「目的?」

『この場所に入る権限を所有している筈である人物リストの中に貴方の名は存在しておりません』


 この場所に入る権限……?

 いや、そもそもこの声はなんなんだ?


「……俺はまず、ここがどういった場所かがよく分かってないんだけど」

『貴方の素性が不明な為、お答え出来ません』

「だから……えっと、ひとまず俺はシェリネーラさんにここに連れて来られたらだけで……」


 そこでふと疑問に思う。


「あー……その、シェリネーラさんは権限を持っているのか?」

『現在、シェリネーラ・フォン・ネルリューブルはこの場所のマスター権限を保有しております』

「俺、そのシェリネーラさんにこの前連れて来られて、それ以降ここに入れるようにしてもらったんだけど……」

『……それでは、何故ここに連れてこられたのか、貴方の分かる範囲でお教え下さい』


 俺は、言われた通り分かる範囲で謎の声に向けて俺の状況を説明していく。

 そして、どうにかちぐはぐならが全て話し終えた。


『つまり、異世界から召喚された貴方方を保護したシェリネーラ・フォン・ネルリューブルの頼みにより、貴方は訳も分からずこの場所に毎日のように来ているという訳ですね。了解です』


 どこからか聞こえる声がそこまで言うと、今度はコンソール上部のモニターに表示されていた文字に変化が現れる。

 モニターの言語が日本語へと変わっている。おそらく、俺が日本人だと分かったため、それに合わせてくれたのだろう。


『自動管理記録装置記録確認中……

 確認完了:情報信頼度99.967%以上

 権限リスト更新申請中……

 審議結果:可決

 権限リスト更新中……』


 そして、画面の最後尾に『完了』の文字が出たと同時に、再び声が届いた。


『改めて、ゴダイマコトさん。私は人工知能型魔導スーパーコンピューター〈テンボウ〉です』


 ……。


「ん? え、それだけ?」

『はい。リストの更新は完了いたしました』

「だから、他に説明とかはないの?」

『なにが知りたいのでしょうか?』


 何がと言われると……難しい。


「全体的に? 何が何だかサッパリだから」

『抽象的で説明のしようがありません』


 どうしよう……。

 これは一度出直してシェリネーラさんに話を聞いた方が良さそうだ。



◇◆◇◆◇


 翌日、今度はシェリネーラさんを連れて白髪の少女と謎の声の主テンボウの元を訪れる。


「あれに関しては、私はあくまでもあの少女の生命維持装置の一部だと聞いていたのですが……そうですか」


 あの後、シェリネーラさんにあの謎の声こと、人工知能型魔導スーパーコンピューター〈テンボウ〉について尋ねたが、彼女も全く知らなかったようだった。

 なので、今度はシェリネーラさんも一緒にここへ来ることにしたのだ。


『はじめまして。シェリネーラ・フォン・ネルリューブルさん。私は九賢者、煉叡によって開発された人工知能型魔導スーパーコンピューター〈テンボウ〉です』


 部屋に着くなり、テンボウが話し掛けてきた。

 ってか、コイツあの九賢者の一人が造ったんだ……。どうりで英語とか喋るわけだ。


「お前、今日は最初から起動してるんだな」

『はい。昨日まではスリープモードで運行しておりましたが、それ以降は通常モードへと移行していますので』


 ふーん。


「貴方の目的はなんなのですか?」

『被検体No.4836182の観察・監視及び保護です』


 そこで気になった。なぜ、俺は初めて入ったときから昨日まで何も言われたりしなかったのだろうか?


 尋ねてみれば、どうやらシェリネーラさんと一緒に来たために、スリープモードの自動処理で仮権限を得ていたらしい。

 もし、なにか問題行動を起こしたら即権限剥奪されて、対処されていたらしいが。


 対処って……どんなだろう。

 まさか、魔導レーザー的なヤツで射殺とかだったりして……。

 ……考えるのは止めておこう。


「彼女の保護は私が天明殿とゾーム殿より承っています」

『それは承知しております』

「つまり、天明殿は私では彼女を保護するには力不足だとお考えなのでしょうか?」

『不明です。ですが、万が一貴女が被検体No.4836182の身柄を保護出来なかった場合には私が代わるように設定はされております』

「なぜ、今まで黙っていたの?」

『必要性がなかったからです』

「っ……!」


 シェリネーラさんの質問攻めに機械的に答えていくテンボウ。

 何を言っても淡々と返され、言葉に詰まってしまったシェリネーラさんの代わりに、俺は最も重要なことを尋ねる。


「なあ、あの女の子について何か情報はないのか?」

『被検体No.4836182に関しましては、現在貴方方の開示レベルが不足しているため、取得出来る情報がありません』

「そうか……」


 まあ、その可能性は高いとは思っていたのであまり落胆はなかった。

 やはり、俺どころかシェリネーラさんすらも知らない何かをその九賢者は隠しているようだ。


「その煉叡って奴とテンボウはなにかデータのやりとりとかはしているのか?」

『いいえ。現在、私は外部との通信の一切を遮断した完全自立モードで運転しております』


 つまりは、それだけ重要な事柄があり、それを遂行出来るほどにテンボウは高性能だともいえる。


「テンボウの目的は?」

『最終最優先命令事項は2つ。一つは先ほどの通り、被検体No.4836182の観察・監視及び保護。もう一つは情報開示レベルが不足しているため申し上げられません』

「そう……やっぱり、天明殿たちは私に何かまだ隠していらっしゃるのね……」



 ◆◇◆◇◆


 今日の所は一旦屋敷に戻ることになった。

 いろいろ得た情報を整理したりする必要もあるためだ。


 屋敷へ戻る道のりを歩く中、シェリネーラさんは言う。


「はぁ……驚いたわ。確かに天明殿は私に何も説明しなかったけど、あんな喋る魔導具まで用意していたなんて……」


 そしてもう一度、大きな溜め息を吐いた。そして、


「さて……もう隠す意味も無さそうだから言うわね」


 一拍。

 静寂の中、俺とシェリネーラさんの足音だけが響いた。


「時期が来たら彼女を連れて行きなさい。それはあなた達にとって、そして彼女自身にとってもいい結果に繋がる……そう天明殿は言っていたわ」


 もう見慣れた薄緑色の揺らぎを、俺とシェリネーラさんは潜った。


 そして地上に戻った直後の事だった。


――キィィイイイイイイインン!!!


 鼓膜が裂けたかと錯覚するほどの音が辺りに響き渡ったのは。

10話更新は明日の21時。


英語苦手……。

これでも超頑張った。

ダメなら誰か上手い訳を教えて下さい(半泣)


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