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焦燥の世界  作者: 八鍵 嘯
第一部「ギナティア王国篇」 第一章「断戒の大森林」
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第4話《ステータス数値》

連続投稿三日目。


感想、指摘は等大歓迎。

 悲劇の夜から一夜明けた今日。俺たちは朝から神楽たちが見つけたという屋敷へと向かって歩を進めていた。


「ふぅ……はぁ、はぁ……。つ、辛い……」


 隣を歩く町田が絞り出すように声を上げる。


「流石に、体力なさすぎじゃ、ないか?」

「どうやら僕は体力の数値が8らしいからね」

「ようやく、一キロちょいってくらいか。屋敷は、拠点から二キロくらい、離れた場所で見つかった、らしいから、あともう半分、くらいだと思うぞ、頑張れよ」


 そういう俺も息はかなり乱れてきている。

 

「頑張れー」


 遥子は未だ体力には余裕があるようだ。

 三人の体力は町田、俺、遥子の順番で8、9、10だ。こうやって実際の状況と比べると確かにその通りだ。


「みんな、大変そうだね」


 苦笑いをしつつ話しかけてきたのは辰宮さん。流石体力11。全然余裕そうである。


「にしてもっ……探索、組の、面子はっ……みんな、余裕っ……そうだね」

「レベルの差が、もろに、出てるからな」


 そういって集団の先頭を歩いている神楽たちを見た。

 彼らが先頭を行くのは、もちろん屋敷を見つけたからだ。

 神楽の体力は現在16。

 なぜこんなにも高いのか。


============

神楽 統馬 Lv:5(13/50)

性別:男

年齢:17歳(20XX/07/19)

身長:178.8cm

体重:71.0kg

血液型:AB,Rh+

職業:高校生(私立西継学園高等学校3年A組)

状態:健康(4%)


HP:15/15

MP:15/15

体力:13→16

筋力:14→22(+3)

敏捷:12→18(+3)

器用:11→12


▼隠しステータス(変動)

 知力:9

 耐久:17

 幸運:11

 意志:16


【スキル】

剣術(Lv2 133/500)

 剣を使う戦闘の才能。

 ▼レベル開放能力一覧

 Lv1:剣を正しく扱える

 Lv2:筋力,俊敏に+補正(+レベル/2)、剣を扱う場合のみ器用にも+補正

 Lv3:No Data

 Lv4:No Data

 Lv5:No Data

 Lv6:No Data

 Lv7:No Data

 Lv8:No Data

 Lv9:No Data

武器顕現(ユニーク) MP消費:1~∞

 状況に応じて様々な武器を顕現させて操ることが出来る。


【称号】

異世界人

 この世界に新たなる風を齎すべく■■■■■によって別世界から引き寄せられた異分子。

============


 これが現在の神楽のステータスだ。

 レベルが上がっている。そして、それに応じて各種ステータスの数値も上昇している。更には、筋力と俊敏は剣術スキルの補正によって底上げされている。

 他にもクラスメイトの中にレベルが上がっている人はたくさんいる。そしてその全員が捜索組の者だった。

 予想はついていたが、どうやらこの世界は魔獣や動物を倒すと経験値を得られ、それによってレベルが上がるらしい。

 探索組は軒並み3、4レベルに上がっている。クラスで唯一5に到達している神楽は既に二十匹以上もの魔獣を倒しているようだ。


「これに、ついても……あとで、しっかり……と……考えないと……」


 そう。このレベル差。現在は対して問題になってはいないがいずれ重大な問題になるだろう。

 少なくとも、俺や町田はそう考えている。恐らくだが辰宮や他のクラスメイトたちも幾人かは気づいているだろう。特に、オタクの加藤や飯田辺りは気が付いていそうな雰囲気がある。

 恐らくは同じような状況になっているラノベやらネット小説を読んだことがあるんだろう。俺もそうだから人のこと言えないが。


 閑話休題(それはともかく)

 それから俺達は更に十五分ほど歩いた。


「あ、あれ……」


 ふと、女子の一人が前方を指さして呟いた。

 指の指す方を見れば、朱色の屋根が森の木々の合間から見えている。


 近づいていくと、屋敷の五十メートル程手前にある門にたどり着いた。

 屋敷は三メートル程の高い金属の柵で囲われていた。よく見ると、柵の全体には細やかな装飾が施されている。

 そしてその奥に見える赤い屋根の屋敷。いや、これはもう豪邸と呼んでいいのではないだろうか。

 遅く四階か五階建て。真っ白な壁に何十と突き出している窓。そして、中央二階にある大きくて広そうなバルコニー。

 その上、柵と豪邸の間に色彩豊かな庭園が広がっているのだ。


「で……どうしようか」

「いきなり押し寄せて、この人数泊めて下さいっていうのも、確かにあまり良くないわね……」

「けど、誰も住んでないって可能性もあるだろ?」


 そう町田と辰宮さんの会話に割り込む透に俺は指摘した。


「いや、その可能性は低いな。誰も居ないにしては綺麗すぎる」


 屋敷の壁は真っ白で汚れ一つない。定期的に人が掃除していると考えて間違いないだろう。

 そして何より、庭の手入れがしっかりとなされている。これだけ広い庭をこの状態に維持するには毎日手入れをする必要があるのは素人目にも明らかだ。


「インターホンもベルも見当たらないし……ひとまず誰か屋敷の中の人に聞こえる声で叫んでみますか」


 そう言って、透が叫んだ。


「すいませーん! 誰かいらっしゃいませんかー?」


 だが、返事はない。

 他に応答するようなものも見つからなかった。


「うーん……誰かいるといると思ったんだけどなぁ」


 透が呟いた直後、突如として門がガコッ、と音を立てた。

 俺達は驚きビクリと肩を震わせて門へと視線を移す。


「門が開いてく……」


 そこでは、誰も触れいていないというのにひとりでに門が開いていた。

 音を立てずにその様を茫然と見つめる俺達。そしてその門の先には、女性のような人影があった。だがおかしい。開く前にはあんな場所に人はいなかったはずだ。

 その女性の体は碧く透き通っており、その姿はまるで御伽噺の精霊のようだった。女性は深く俺たちに向けて一礼をすると、背を向けて屋敷の入り口へと進みだした。どうやら中に入っていいようだ。


 俺たちは女性の後に続くように門の中に入っていった。

 俺たちの前を進む女性が、豪邸のこれまた繊細な装飾が施された扉の前に着くと、先ほどの門と同じように豪邸の入り口がひとりでに開きだした。

 二度目とは言え、驚きを隠せない俺たちを尻目に女性は中に入っていく。

 俺たちも慌てて女性を追いかけるように豪邸に入った。


「うわぁ……」


 自然に声が漏れ出していた。

 そこにあったのはベルサイユ宮殿もかくやという豪華絢爛な空間だった。いやまぁ、ベルサイユ宮殿なんて写真でしか見たこともないのだが。

 大理石だろうか。真っ白に光を反射している床の上にはなんとも高級そうなカーペットが敷かれている。部屋のいたるところに置かれているのは、素人目にはどれだけの価値があるのかは判別できないが途轍もなく高価なのだと直感できる花瓶や石像。部屋の中央には左右に曲がるように作られた二階へと続く階段。そしてそれらを照らし出す巨大なシャンデリア。

 とにかく、そんな光景に固まっていた俺たちに上の方から、ふと声が掛けられた。透き通ったその声は女性の者だろう。


「異世界からお越しの方々」


 声の方向を見上げてみると……


「この度は、私、シェリネーラ・フォン・ネルリューブルの屋敷へようこそ」


 何が面白いのか、俺たちを見下す金髪碧眼の妙齢の美女が妖艶に微笑んでいた。

5話更新は明日の21時。


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