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焦燥の世界  作者: 八鍵 嘯
第一部「ギナティア王国篇」 第一章「断戒の大森林」
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第2話《スキルについて》

連続投稿一日目。パート2


感想、指摘等は大歓迎。

 あれから三日が経った。

 あの後、夜になるまで全員で森を出来る限り探索した。幸い、食料になりそうな木の実や飲んでも大丈夫そうな水源などは直ぐに見つかった。

 クラスメイトの中の能登葵さんが鑑定という「生きていないものならステータスが見れる」というスキルを持っていたので、それで調べてもらったからおそらく大丈夫だろう。

 これでしばらくは生きていけそうである。


「じゃあ、捜索組からの情報を共有しよう」


 転移された広場は現在俺たちの拠点となっている。

 一部生産系のスキルには原材料を手に入れるために木を切ったりするのに補正が付く能力があるらしい。そういったスキルを持つ者や物理攻撃系や身体強化系のスキルを持っている人たちによってそこは幾分か開拓されていた。

 そして、そこにはステータス画面に工作系スキルがあったという二人のクラスメイトが中心となって作られた三つの木造の建物が並んでいる。

 建物と言っても、せいぜい雨風が凌げる程度のモノだ。手で押したくらいではビクともしないが、男子数人で体当たりをすればたやすく崩れるだろう。

 今、俺達3年A組のメンバーは全員真ん中の建物に集まっていた。


「まずは……南に行っていた辻井君の班から」


 捜索組は全部で二十二人。四つの班に分かれていて、一班だいたい五、六人だ。

 ちなみに、方角が分かったのはクラスメイトの一人が偶然方位磁針を持っていたからだ。学校の制服とそのポケットにあったものしか持ち物はないはずなのに、何故持っていたのかは不明だ。普通、高校に方位磁針なんて持ってこないだろ。


「今日もホーンラビットとビッグボアがいたくらいだ。でも、柑橘系っぽい木の実がなっている木が生えている場所を見つけた。一個実を持ってきたから能登さんには後で鑑定を頼む」

「はーい、分かった」


 能登さんが女子の固まっている方から返事を返す。

 ホーンラビットもビッグボアもこのあたりではよく見かける魔獣だが、ぶっちゃけ弱いので探索組の奴らは結構狩っている。名前については、俺の真眼という「魂のあるものならステータスが見れる」というスキルと能登さんの鑑定の二重で確認済みだ。鑑定は死体になら使えることも分かっているので、魔術で殺した魔獣を鑑定する形をとった。

 ついでに言うと、昨日の夜分かったことだが別段食べても問題はないらしい。というかビッグボアに関してはそれなりに美味いので、これからの俺たちにとって重要なたんぱく源となりそうだ。


「じゃあ、次は東に行った田中さんの班」

「今日はあの山の麓まで行ってみたんだけど、ちょっとした洞窟を見つけたよ。でも、流石に仲間では確認してない。なんかファンタジーアニメの迷宮とかっぽい感じのヤツだった」


 東には、拠点からも見える大きな山脈が聳えている。山頂付近には常に雲がかかっておりその高さを正確に測ることはできないが、おそらく四千~五千メートル級の山脈だろうと思われる。


「その迷宮は……一先ずは置いておこう。迂闊に近づいて化け物でも出てきたら笑えないことになる。で、次は北に向かった加藤君たちの班だが」

「こっちはまたゴブリンを見かけた。それと、多分オークだろう二足歩行のでっかい豚も見つけた」


 ゴブリンは緑色をした醜い小人のような奴らだ。名前やステータスを確認するために、昨日俺も見た。そして分かったことだが、ゴブリンは一匹ごとのステータスは俺達よりも若干低いくらいで、その上大半の個体がスキルを持っていなかった。だが、基本的に群れで行動し、少しだが統率のとれた行動を取る。

 なので、ゴブリンは今の俺達が挑むには少しばかりリスクが高いとの結論が出されていた。現状、出会っても出来る限り戦闘は避けるようにと捜索組では決められている。


「最後、神楽君の班は?」


 問われたのは神楽統馬、このクラス一番の問題児だ。まあ、所謂いじめっ子っていうやつだ。

 神楽はクラスの中心メンバーに対して接するときは不気味なくらい普通の対応をするのだが、一度自分の獲物と認識した奴に対しては徹底的に潰しに掛かる。いや、性格には潰れないギリギリのラインでいたぶるのだ。それもみんなの前で。

 そんなヤツが捜索組にいることに対し、反対意見も少なからずあった。だが、不運にもスキル的に見て彼を探索組に入れないという選択肢はなかった。


「面白いもんを見つけたよ」


 神楽たちの班の担当は西だ。西は山脈に対し真反対で川もそちらに向けて流れているため、森さえ抜ければ原住民と合える可能性が高いということで他の方面より優先的に捜索が進められている。

 つまり、クラスの中でも特に高火力のスキルを持つ人が多く捜索に向かっているのだ。

 その筆頭こそが、剣術と武器顕現のスキルを持つ神楽だというわけだ。


「……なんだ?」


 町田が話の続きを促す。

 それに対し、神楽はニヤリと笑った。


「大きな屋敷を見つけた。誰かいるかもしれない」



 ◇◆◇◆◇


 その後、話し合いの結果明日俺を含めた十数人でその屋敷を訪れることになった。現状、ほかに手がかりが何もないので、それ以外の選択肢がないことが主な理由だ。

 そしてその夜。

 俺は男子棟で横になっていた。男子棟とは三つある建物の一つで、先ほどまでいた真ん中の会議棟、そしてその反対側には女子棟があり、男女はそれぞれの棟に分かれて寝ていた。

 もちろん、少数ながらローテーションで見張りも立てている。


 そんな中、俺は自分のスキルについて振り返っていた。これは、異世界に来てから暇があれば常にやっていることだ。いざという時にとれる手段は大いに越したことはない。

 俺は改めて、ステータスを開いた。


============

五大 誠 Lv:1

年齢:17歳

職業:学生


HP:15/15

MP:15/15

体力:9

筋力:8

敏捷:10

器用:14


【スキル】

真眼(Lv6)

空間操作(ユニーク)


【称号】

見定めし者

異世界人

============


 俺のスキルは真眼と空間操作。

 真眼はさっきも説明したが「魂のあるものならステータスが見れる」というスキルだ。そしてこのスキルには派生がある。スキルの具体的な情報やだたステータス画面を開いただけでは分からない情報まで分かるのだ。

 例えば、俺に対して真眼を使うとこうなる。


============

五大 誠 Lv:1(0/10)

性別:男

年齢:17歳(20XX/05/22)

身長:172.6cm

体重:60.7kg

血液型:BO,Rh+

職業:高校生(私立西継学園高等学校3年A組)

状態:微疲労(7%)


HP:15/15

MP:15/15

体力:9

筋力:8

敏捷:10

器用:14


▼隠しステータス(変動)

 知力:11

 耐久:10

 幸運:13

 意志:16


【スキル】

真眼(Lv6 8292/15000)

 魂を直接読み解き、その者の本質を暴く。

 ▼レベル開放能力一覧

 Lv1:相手に触れることでステータス画面を見れる。

 Lv2:相手を認識することでステータス画面を見れる。

 Lv3:相手のステータスの詳細が分かる。

 Lv4:相手のスキルの詳細が分かる。

 Lv5:相手の称号の詳細が分かる。

 Lv6:相手の隠しステータスが分かる。

 Lv7:No Data

 Lv8:No Data

 Lv9:No Data

 Lv10:No Data

空間操作(ユニーク) MP消費:1~∞

 空間の全てを認識し、空間そのものを操る。隠しステータス「意志」によって効力が変化。


【称号】

見定めし者

 移り行く世界にて起こる事象の全てを見て、正しき未来を見出す者。

異世界人

 この世界に新たなる風を齎すべく■■■■■によって別世界から引き寄せられた異分子。

============


 このスキルによって俺はクラスメイト全員のステータス及びスキルを確認した。

 これによって分かったことだが、どうやら俺達皆何かしらのレベルのあるスキルとユニークと書かれたスキルを与えられてるらしい。

 だが、そのレベルはみんな1だった。どうやら、ユニークスキルの方にはレベルが存在しないようだが、そうでない方のスキルは皆一様にレベル1だったのだ。

 このことを知っているのは現状俺だけだ。俺は誰一人として、俺の真眼スキルのレベルが6だということを伝えてはいない。そして、クラスの他の奴らの中に他人のステータスやスキルを覗ける者もいない。


 いわばこの状況は俺だけがみんなの手札を知っている状態でトランプをしているようなものだ。

 別に、クラスの奴らと敵対している訳ではない。だが、俺は現状、クラスメイトの全員を無条件に信用することは出来なかった。

 何かあってからでは遅いのだ。伏せてある手札は多い方がいい。


 特にあの神楽統馬。

 彼奴はきっと何かやらかす。今日の話し合いでの彼奴の表情には、どこか不気味な者がものがあった。


「一応、マークしておくか……。ん、ふぁああっ……」

 明日は早い時間に出ることになっている。俺は急に襲ってきた眠気に抗うことなく瞼を閉じる、が。


――オォォオオオオン!!


 突如として響いたその遠吠え、そしてその後に続くように聞こえてきたのはガラガラと建物が崩れる轟音だった。

3話更新は明日の21時。


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