第五話 風呂場で
短くて申し訳ない。
なんか、変な夢を見た。女神様が焦ってたり、頑張ってくれてたり、したような気がする。曖昧にしか覚えがないけど。
外は月明かりで照らされている。まだ、夜中のようだ。
「緑の月か。綺麗だな。」
服が湿っている。少し音汗をかいたらしい。まだ眠いが体が気持ち悪い。だが着替えは今着ているものしかない。何かないかと探すとクローゼットの中にバスローブが入っていた。これなら風呂に行けるな。
ふっふっふ、何故なら夜中に行くかって。だって誰もいない夜中の風呂よ?なんかテンション上がるだろ!!やったこと無い人は一度試してみてほしいね!!
音を立てない様に階段をおり、風呂場に向かう。こういう宿屋の場合、1階が従業員用の部屋だから、夜中に起こしたらイカンよね。
脱衣所まで来た。脱衣所は意外と広く作られていた。
「さてと、服とバスローブを置いて、いざ風呂へ!」
戸を開けると、そこは広い風呂場だった。湯船なんて岩風呂みたいになってる。一気に20人は入れそうだ。
テンションが上がって湯船に直行しようとしたが思いとどまった。
今日はスライムとも戦ってるからな。やはり先に体を洗わなければ。
石鹸しか無かったがこの石鹸、万能なようだ。頭も体も凄いスッキリ感だ。自分が綺麗になったのがよく分かる。
さてと、お湯に入りますかね~。おっと、湯加減の確認っと。・・・・・良い感じですな。いざ、参る。
「うぅぅぅう、さあいこうだ~~~。」
思わず声が出てしまった。だが、気持ち良すぎる。足の疲れが解けていく。腕が軽くなった気がする。はぁぁぁ、ここで今日は寝ようかな。
と思ったら本当に寝ていたらしい。バシャバシャと水の音がして起きた。
誰か入ってるのか?
月明かりで少し輪郭が見えてきた。
あれ、エリーかな?ここ・・・・男湯だったよな?
「エリー?」
「えっ、な、ナオヤ!?なんで!?」
「ここは男風呂だろ。なんではこっちのセリフだよ。だが答えてあげよう!今日疲れててさ、部屋行って寝て、起きて風呂入りたくて来て、風呂でも寝てしまったんだ。エリーは?」
「お、女風呂より広いから。いつもはお客さんがいないから夕方に入ってたけど、今日はナオヤがいるから夜中にしようって思って。」
「はっはっは、それで鉢合わせか。お互い運がいいな。」
「いや、良くないわよ最悪よ!!」
「大丈夫だ。ほとんど見えないから気にするな。」
「気にするわよ!!」
ご立腹のようだ。なら夕方の件も含めて謝っておこう。
「すまないな。夕方の件も含めて。」
「な!?は、恥ずかしいこと思い出させないで。」
「ちゃんと反省してるし。可愛いと思ったのも事実だぞ。」
「な、はい!?」
混乱してるのか?今のうちに畳みかけよう。
「初対面で人間離れしてる可愛さもあって、お人形みたいな子だとも思った。」
「へ??え??」
「それが蓋を開ければエルフとの子だろ。エルフ耳も受け継いでて、可愛さに神聖さも加わっててさ。」
「しんせ?」
「だから我慢できなくてさ、思いっきり触っちゃったんだ。ごめんよ。」
俺はいつの間にかエリーの近くまで来ていて、頭を撫でていた。表情は暗くて分からないけど、エリーは大人しく顔で頭を撫でられ続けている。
「い、いいわよ。そこまで言うなら許してあげるわ。」
「ありがとうエリー。じゃあ、いつまでも此処にいたら悪いから先に上がるよ。」
「えっ?」
俺は風呂から上がるため、立ち上がった。まあ、なんだ。この時、俺はタオルを付けていないことを忘れていた。
だが、お湯にタオルを浸けるのはマナー違反だし。暗いから大丈夫だろ。見えてなかったよね?
「な・わあ・う!???」
あれ?この暗さでも見えちゃった?
「じゃ、また明日な。」
「ハイ。」
「あ、洗濯物出したいんだけど、明日の朝までに乾く?」
「ハイ。1カイ6ドウカデス。」
「安いな。じゃあ服を一式洗濯物として置いて行くからお願いします。」
「ハイ。ワカリマシタ。アスノアサモッテヘヤニイキマス。」
「ありがとう。ところで何故に片言で敬語?」
「ナンデモアリマセン。」
「そうか。じゃあお休み。湯あたりしないように気をつけろよ?」
「ハイ。オキヅカイアリガトウゴザイマス。」
う~む、これは完全に見えちゃってたパターンだな。重ねて申し訳ない。・・・・・・・・・あんなに露骨な反応だと面白くて癖になりそうだけど。
この世界に来てから若干新しい自分が見えて来てる気がする。何故だ?
首を傾げながら部屋に戻り、そのまま爆睡した。
主人公の性癖がいろいろ出てきちゃってる。
こんな主人公で大丈夫だろうか。