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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第二章 『無題{仮}』
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第二十一.五話 何が? 裏編

前回の謎解き編。

俺の名前はベース。コスミール暗殺団の一員だ。


今日はボスの元に依頼人が来た。フードを被っているが、声で歳を取っている男だということが分かる。


「この方を消して頂きたい。自然に死んだように。」


似顔絵の男は、顔は整っているが何か抜けている。そんな顔をしている奴だった。


「誰だコイツは。」

「名はナオヤ。冒険者です。」

「ほう。で、報酬は?」


男は懐から小さな麻袋を出し、テーブルに乗せる。ボスは中身を確認すると、なんと全て金貨だった。


「ほう。」

「これは前金です。成功すればもう二つ、同じものを出しましょう。」


な!?こんな条件滅多にないぞ!!


「・・・おい、爺さん。こんな条件、怪しすぎるぞ。どういうことだ。」


そ、そうか。条件が良すぎる。確かに人一人殺すだけなのにこんな金を出すなんて。


「言わなければなりませんかな?」


ゾクっ


俺の周りには何人も団員がいる。その全員が今の悪寒を味わっただろう。


今のは殺気?いや、また何か別モノのナニかだ。


俺は、あまりの悪寒に膝が震えた。


「っは!爺さんの方で何とかしたらどうなんだ?」

「私が手を出すわけにもいきませんので頼んだまで・・・嫌なら断って頂いてもよろしいですよ。」


依頼人は、よろしいと言っているが俺達の悪寒は引いていかない。暗に絶対に受けろと言っているのだ。


「っち。わかったよ。殺ってやる。いつまでだ?」

「ふむ。明後日にまた来ます。良い結果が聞けると嬉しいですね。」

「・・・了解だ。じゃあな。ちゃっちゃっと帰ってくれ。」

「では、また。」


依頼人が帰っていくとボスは団員に指示を出した。


「ジャック。お前は直ぐに冒険者ギルドを張れ。チャンスがあったら薬を使え。不測の事態があれば仲間を要請しろ。」


ジャックは頷き、すぐに出ていった。


「おい。カッツ、ジズ。」


ボスが腹心とも言える男の二人組に声をかける。


「うっす。」

「はい、何でしょう。」

「お前らでさっきの爺さんの身元を探ってこい。」

「了解。」

「任せて下さい!」


腹心である二人は、すぐに依頼人の後を追って行った。


「他の者は待機。一日で終わらせるぞ。」

「「「「「はい!!」」」」」


本当に素晴らしい団だ。俺は此処に入れて幸運だった。


この時は、俺は本当に楽観的だったと思う。あんなことになるなんて思いもしなかった。





「なにーー!!!」


俺はボスの怒号で目が覚めた。


「本当なのか!?」

「は、はい。あまりの凄惨な光景で・・・・あれは・・・とてもじゃないが・・見てられない・・・・」

「くそっ!!」


俺達は何があったのかとゾロゾロと部屋に集まった。


「何があったんですか?」

「あいつらがヤられた。カッツとジズが・・・」


ヤられた・・・殺られた・・・そんなバカな!


「死んだんですか!?」

「いや、死んではいないが・・・仕事は無理だろうな。」


暗い空気が流れる。


暗殺団の一員が仕事が出来ないとなると、もう裏では生きていけないということだ。それはやはり死を意味することだ。


「くそっ!あのジジイ!次に会ったら殺してやる!」

「そうだな。だが、受けたからには仕事をするぞ。」

「そんな!仕事なんて後回しにして、あのジジイを探しましょう!」

「あのジジイならまた来る。その前に少しでも憂さを晴らす。」


ボスは静かで思い魔力を放ちながら全員に言った。


「さぁ、仕事だ。」







現在、夜。

朝方にターゲットがギルドのダンジョンに入ったと情報が入った。


そこから待つこと・・・・・


「遅い!普通、夕方には帰ってくるだろ!」


奴は遅かった。通常なら夕方にはダンジョンから帰ってきているはずなのに帰って来ない。


「死んだとか?」

「だとしたら、確認まで長くなるな。」


俺以外に仲間二人とイライラしながら待っていると、奴がダンジョン出口用階段から出てきた。女と二人で。


「・・・何すかあれ?え?女と二人でダンジョンですか?」

「・・・・そのようだな。・・・・確実に殺す!」

「その意見、同意します!」


こんな時間までダンジョンで、しかも初心者用ダンジョンに居ただと?確実にデートか、それ以上のことをしてるだろうと予想をつける。

なぜなら、奴らが行った初心者用ダンジョンは、街で使われる冒険者用のデートコースの一つで有名だからだ。


「お前ら準備しろ。」

「「了解。」」


俺と仲間はゴムを用意する。

さて、これで何をするかというと、一人はタイミングを計る。もう一人は石を飛ばし虫を落とす。そして俺は毒をコップに入れるのだ。


傍からみたらバカに見えるだろうが、実際に何人もこれで毒殺してきた。何故なら、こんな幼稚な作戦で人が殺せるとは思っていないからだ。

しかもこの毒が素晴らしい。水にすぐ溶ける無味無臭。飲んだ者は、寝るように意識を失い、そのまま死ぬというものだ。苦しみもしないため、毒で死んだようには見えないのだ。


くっくっく。幸せな思いはしてきたんだろ?あとは死ぬがいい!


全員で息を合わせる。


「・・・・今だ。」

「オラッ」

「セイッ」


ポチャン


奴らが余所見をした瞬間に見事に毒はコップに吸い込まれた。


「うわぁ!!?」

「どうしたの?」


奴らの声が聞こえる。


俺達は笑いを堪えて見守る。後は奴が水を飲むだけだ。


・・・・・・・飲んだー!


「良し!」

「やったな。」

「大成功。」


奴がトイレに向かった。


「くははは、彼女も可愛そうに。アイツ、トイレで死ぬぜ。」

「ははははは、俺達を待たせた罰だ。」

「ああ、そうだな。今まで待たせてデートとか。死ぬのは当たり前だな。良し、飲もうぜ」

「「「カンパーイ」」」


三人で仕事を終わらせた達成感で飲んでいたら数分後、異変が起きた。


「ば・・・かな・・・」

「そんな・・・」


俺は言葉を失った。奴は平然とトイレから出てきた。


「薬が効いてない・・・のか・・・」

「言ってる場合じゃないぞ。奴ら出ていく!」

「くそ、仲間を呼べ!」

「おう。」


俺は走って仲間を呼んだ。







「ボスも来てくれるなんて、これで確実に殺れますよ。」

「話を聞いた限りだと、お前達だけでは不安があるからな。」


完全に見た目カップルの二人の後を追う。


「あそこか。」

「はい、そのようで。」


二人が屋敷に入っていく。


ここは・・・・商人ギルドの・・・


「っは!玉の輿かよ。」

「だな。殺そう。」

「ああ、殺そう。」


今この場に居るのは十人全ての意識が揃ったときだった。しかし


「うわぁっ」「なんだ」「ぐっ」


口々に小さく悲鳴を上げる。屋敷から殺気が漏れてきたのだ。


「気が付かれたか。だが・・・・行くぞ。」


ボスが屋敷に一歩入ると、殺気はより濃くなった。


「っひ!」


俺は濃くなった殺気に足が完全に動かなくなった。


「っく!撤たぃ・・・・なんだ?」


濃くなった殺気が急に無くなり、俺の震えも止まったが、周りを見るとボス以外は完全に怯んでいた。


「罠か?・・・・だが、カッツとジズのためだ。行くぞ。」


ボスが、カッツとジズの名前を出すと全員が頷く。震えは止まり、怯えも無くなった。


俺は思った。


カッツさん、ジズさん・・・死んでないようですが必ずあのジジイを殺して仇は取りますから。









こんな・・・・こんなことって・・・・


「くそっボスが!撤退だ!逃げろーー!!!」





あの後、奴の気配を探ると風呂場であろうところに女と向かっていた。妬ましいことこのうえない。

しかも、あろうことか女と風呂に入りだした。死なす、殺す。


何とか奴が一人になる機会を伺っていると風呂場の窓が突然開いた。


突然開いた窓に警戒はしていたが、しばらく何も起きなかったため、安堵した・・・いや、油断していた。


ドゴッ!!


突然の音に誰も反応せず・・・・・ボスが動いたかと思うとゆっくりと後ろに倒れた。

まるで時が止まったような静寂が訪れた。


「ぼ、ボス?」


倒れたボスを確認すると、ボスの胸の鎧は拳ほどの大きな凹みを作っていた。


「は?なにがっっ!」「ぐぅっ!?」


また一人、一人と倒れていく。


何故か俺の世界がゆっくりと流れ、何が飛んできたかが見えた。


水だ。水の塊だ。


誰かが言った。


「・・・が!撤退だ!逃げろーー!!!」」


全員がその言葉に反応し、ボスを連れて逃げだした。



だが、俺だけは逃げ出さず、木に隠れて確認してる。


・・・・・嘘をついた。俺は逃げ遅れただけだ。実際は足が動かず、隠れてやり過ごしただけだった。


飛んでくる水が止まった。ほっとした俺は、ゆっくりと歩き、庭から出て行こうとする。すると後ろから音がしてきた。


ぺキ・・・ペキ・・ペキ・ペキ・・・


ゆっくりと確実に近づいてくる。俺は恐怖しながらも振り向くと、俺の歩いてきたであろう足跡が道のように凍っていた。


「ひっヒィ!!」


急いで走ろうとするも足が動かない。原因はすでに靴に氷が追いついていたからだ。


俺は情けなくも泣きながら靴を脱いで裸足で逃げだした。







暗殺団の先輩が言う。


「という理由だ。依頼は未達成。前金も返す。俺達は手を引く。帰ってくれ。」


ボスは奥のベッドに寝かされており、苦しそうにしている。それを見ながらフードを被った依頼人が話を聞き終わり、ため息をついた。


「はあ。分かりました。では、これで。」


出口に向かった依頼人は扉を開けると、思いだしたかのように言いだした。


「ああ、そうだ。忘れてました。慰謝料を貰わなければ。」

「・・・・何?」

「私ね、あの日帰りを着けられまして、とても嫌な思いを致しました。」

「その結果が、あの二人の惨状だろう。他に何がある。」

「足りないんですよね。ですから皆さん、さようなら。」


これからフードの男が何かするのかと思うと、何もせずに扉の向こうに行き、閉めただけだった。その時・・・・


「ぎゃーーー!!」

「やめてくださいボス!」


振り帰ると、気絶していたはずのボスが部下である仲間達を襲っていた。


ボスの体は膨れ上がり、筋肉の化け物となっていた。


「ひっ!」


俺は直ぐに逃げようと出口に行くも、扉は固く閉ざされていた。


扉の外から老人の声が聞こえてきた。


「ほっほ。あなたも楽しみなさい。」


その声が頭に響くと、妙な高揚感が湧いてきた。


「あ、熱い!熱いーーー!!たぎるたぎるたぎるたぎる滾るーーー!!!」


俺は自信の熱さにシャツを脱ぎ棄て、熱さに浮かれながら仲間を・・・・


「うぉぉぉおぉぉぉぉおおお!!」

「うわぁ!来るなぁぁあ!」


・・・・・その日、暗殺団の一つが壊滅した。






「ふむ。貴族なりの一般的かつ正攻法で駄目でした。さて、手が掛かりますが・・・次ですね。」


老人は階段を上がり、裏道を歩く。そして笑いながら暗い道に消えていった。


はい。といった訳でした。主人公の幸運炸裂。

お風呂中に覗いてる輩がいると、メルフィナが途中で気がつきました。


そして謎の老人(笑)


別に暗殺団の方々は死んでいません。


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