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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第一章 『目指すは英雄』
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第四話 リズの宿屋

確かユーナさんに見せて貰った地図だと、この辺だったよな。名前は確か・・・・リズだかジズの宿屋だったはず・・・・


それらしき看板を探していると急に腰を引っ張られた。


「お兄さん、お兄さん、何かお探しですか?」


と声をかけられた。下を確認すると金髪で小学生くらいの女の子がいた。

ヒラヒラで黒いレース生地のような、簡単にいうとゴスロリの服を着ている。ヘッドドレスには花が飾ってある。・・・・・なんか海外の人形見たいだな。


「ただの客引きですので、ご安心を。」


うん、少女よ。安心出来ませんよ?

しかしラッキーだ。知らない街で知らない人に声をかけるとか、今の俺には難易度が高すぎる。向こうから話しかけてくれるなら話がしやすい。


「えっと、宿屋を探してるんだ。」

「おぉ、それはいいところに。私のお店は宿屋ですよ。」

「いや、でもごめんね。冒険者ギルドのユーナさん紹介のお店に行きたいんだよ。地図にはリズだかジズって名前だったはずなんだけど。」

「またまた好都合ですね。私のお店です。名前はリズの宿屋ですよ。どうぞこちらへ。隣の通りと間違えてましたね。」


彼女が路地へ向かって歩き出した。

通りを間違ってたのか。でもこれで何とか行きつける。本当に幸運度高いんだな。女神様、ありがとうございます。




路地を抜けるとすぐに看板が出ていた。


「ようこそ、リズの宿屋へ。お客様一名ご案内です。」


宿屋到着っと。

エントランスに入ると女の子をそのまま大人にしましたって女性が出てきた。ちょっと病弱そうだ。


「エリーちゃん、お仕事ご苦労様。お客様、リズと申します。ようこそ、いらっしゃいました。」

「どうも。冒険者ギルドのユーナからの案内ですって言って下さいとのことで、紹介されて来ました。」

「まあ、ユーナさんがですか。助かりますわ。本当にお越しいただき、ありがとうございます。」


俺の両手をリズさんの手が優しく包んでお礼を言ってくれてる。

・・・・やべーっす。美人さんからスキンシップだとドキドキしちゃう。


「お客様、母に惚れないようにしてください。お母さんも、ほら手を離して。」

「あら、エリーちゃん。そうね。お仕事しなくっちゃ。」

「お母さん、そろそろちゃん付けで呼ぶのはやめて下さい。もう成人して6年も経つんですよ。」


・・・・・・なん・・・・・・・・・・・・・だと・・・・・・・・・・・・

成人で6年経って・・・・26歳なのか?


「あの~、女性に年は聞いてはならないと分かってはいるのですが、エリーちゃん・・・・・さんは、お幾つ何でしょうか?」

「成人が14歳ですので。今は20歳になります。」


20歳か。俺と違わないぞ。異世界の神秘だ。・・・・・・・合法・・・か・・・。


「じゃあ、エリーさんと呼んだ方がいいですかね。」

「エリーだけでいいですよ。お客様ですし。」

「じゃあ、エリー。これからよろしくね。」

「ええ、お客様。よろしくお願いします。では、私のお仕事をさせて頂きます。お名前と何泊の予定か教えて下さい。」


チクショー。笑顔で手を出して握手を求めたのに無視されたよ。冷たくされて、ちょっとドキドキした自分がいてビックリだよ。


「ナオヤと言います。1ヵ月でお願いします。」

「ユーナさんの紹介で1ヵ月ですと14銀貨になります。・・・失礼ですがお金はございますか?」


なんか全身見られたし。まあ、お金は持ってなさそうだもんね。シャツにジーンズ、木刀ですもんね。ふっ、だがあるんだな。女神様に貰ってます。・・・・言ってて悲しい。ヒモみたいだ。


「前払いで払っちゃって良いですか?明日、剣などの装備を買うので払えなくなるのも嫌なので。」

「い、良いんですか?あるんですか大金ですよ!?前払い大歓迎です!!」


エリーちゃん、そんな前のめりで聞いてこないで。お兄ちゃんビックリするよ。あ、同い年だった。

隣でリズさんニコニコして話を聞いてたけど、心なしか少しニコニコの度合いが増した気がする。


「ええ、これでお願いします。」


俺は腰にある革袋から14枚の銀貨を出し、テーブル置いた。


「これで、これでまともなお食事が食べれます、お母さん。」

「良かったわね。エリーちゃん。」


二人が抱き合ってる。親子の絆を感じるね。というか此処ってギルドから割と近いし、人気ありそうなのにな。あんまり繁盛せんのか?


「此処ってギルドから遠くないし安いし、なんで俺以外客がいない感じなんですか?」


あ、二人の表情が一気に曇ったよ。やばい、地雷踏んだ?

そう思っていると、エリーが苦々しく聞いてきた。


「お客様は、異種族をどうお思いですか?」

「いしゅぞくって?」

「エルフにドワーフ、獣人や魚人族達のことですよ。知っているでしょう?」


あ~、うん。異種族ね。なるほど。小説やゲームでは常識ですわな。ふっふっふ、俺の思いのたけを言ってあげようではないか・・・・


「本でしか読んでないけど、エルフは綺麗な人達で耳が尖ってて触りたい頭もよくて魔法と弓を使った狩りの名手でしょ弓術とか教えて欲しい。ドワーフは背が小さいけど力持ちで金属を扱わせたら世界一なんでしょ武器防具とか作ってくれないかな。獣人は生身での狩りが得意なんでしょ見てみたいなぁキバとかツメもきっとカッコイイよね。獣耳とか堪らんよスゲー触りたいモフモフしたい。魚人族は綺麗な歌を歌うらしいから聴きたいなぁ。って感じ。」


ちょっと早口になっちゃった。エルフと獣人への耳を触りたい願望まで流出してしまった。恥ずかしい。

エリーを見ると口を開けてポカンとしている。少女がそんな表情じたらあかんよ。リズさんの方は表情明るくなっている。


「ほ、本当にそんなふうに思ってるんですか?」

「それ以外に何が?あ、でも魚人族で鮫に近いと怖いかも?」


はっはっは、と笑いながら言ったらエリーの表情は少し和らいだ。


「話を戻しますね。遡ること数ヶ月前、ライバル店であるダストンって宿屋の店主が悪い噂を流したんです。此処に泊まると英雄になれない、とかエルフとの関わりがあるとか。」

「ん?英雄になれない、ならまだしもエルフは関係なくない?」

「それが最近この街に来るエルフの行商人が、人間種をを見下すような発言をしていて、エルフへのイメージが下降しているんです。」

「だからってエルフは君達と関係ないだろ?」


エリーは下を向いて黙った。


あれ?でもこれって話の流れから察するに・・・・


「エリー、君はもしかして?」

「・・・・やっぱりわかりますよね。」


そう良いながらヘッドドレスをゆっくり取り外した。小説で読み、ゲームに出てくる、アニメでもよく見た、耳の先が尖ったエルフ耳がそこにはあった。


俺は俯いた。手が・・・・手が震える。


「やっぱり実際に見ると気持ち悪いですかね。」


なんかエリーの震えた声が聞こえた気がする。・・・・・だめだ・・・・抑えられない。


「エリーごめん!!!」

「えっ!?」


俺は自分でも異常だと分かる速さで、エリーの背後に回った。そして・・・・・・・・エルフ耳を撫でまわし始める。


「ああ、ああ、なんて、なんて良い質感、絹のような触り心地。匂いもいい香りだ。たまらん。たまらんぞ!!!!」

「え?ちょっと。いや、ひぅ、やぁん、あん、やめて、指・・・動かさ・・匂いな・・・んて嗅が・・・・ないで・・・」


なんか聞こえるけど、エルフ耳に夢中な俺は止まらなかった。止められなかった。止まる気がなかった。このまま堪能させて頂きます!憧れのエルフ耳!!










どのくらい経っただろうか。

エリーは最初のころ抵抗していた気がする。しかし今は・・・・・・


耳の先を強めに摘んだ。エリーは体を弓のように反り返らせた後、ピクピクと痙攣してる。


あれ、やっちまった?


「懐かしいわぁ。夫も弱かったのよねぇ。耳が。私も今度エリーちゃんにしようかしら?」


リズさんが赤くなった頬に手を当てて何か言いだした。

うむ、やらかしたらしいな。・・・・しょうがないよね。憧れのエルフ耳がさ、そこにはあったのだから。


とりあえず席に戻って座った。ふむ、エリーのとろけた顔が良い感じだね。・・・・・・あ、意識が回復してきたかな。恥ずかしそうに俯いちゃったよ。可愛いね。


「可愛いね。」


・・・・・はっはっは。声が出ちゃったよ。褒めたんだよ。だから睨むのやめて。


「このっ」

「この?」


あ、なんか拳が飛んできた。・・・これは避けられんなぁ。


「このっ、変態がーーー!!!!」

「げんごろぅぉ!!」


意識が飛びそうなりながら思った。人間は拳の力で飛べるんだと。

もう一発、拳を放とうとしているのが見えたが、それはリズさんが止めてくれた。


「エリーちゃん、それ以上はダメよ。しょうがないのよ。ナオヤさんは愛が溢れちゃったんだから。」

「うわぁぁあん!!お母さんもバカーーー!!」

「お母さんはバカじゃないですよ~。」


エリーは、どたどたと足音を立てて行ってしまった。たぶん自室に行ったのだろう。


「起きられますか?」

「・・・ええ、なんとか。」

「すいません、娘が。」

「いえ、こちらこそ申し訳ないです。」


本当に申し訳なかった。リビドーが抑えられなかった。


「年頃の娘ですから、今度は許可を貰ってからにしてくださいね。」

「はい、次はそうします。」

「でも、あれ以上は私が許可しませんよ。したければ結婚してからにしてください。」

「あれ以上って何ですか?」

「ふふ、ご想像にお任せします。」


く、これが色気か。さすが人妻!!


「さて、エリーちゃんのお仕事の続きを致しますね。」

「ああそっか。途中でしたね。お願いします。」

「先ほど、代金は頂きましたのでこちら鍵をお使いください。201のお部屋です。お風呂は1階のこちらの奥にあります。温泉ですのでお湯は使い放題ですよ。」


おお、やった。温泉好きなんだよね。


「ここの温泉は、疲労回復とお肌に良いので日に日に美肌になって行きますよ。お風呂のお掃除は、お昼にするので、そこはご了承ください。それ以外の時間は、いつでも入れますので。」


ありがたい。すぐに入りたいが、今日は疲れたからなぁ。部屋に行ったら寝るかも。本当に此処にして良かった。


「では、ごゆっくり。」

「ありがとうございました。エリーにも申し訳なかったと伝えて下さい。」

「伝えておきます。まぁ、恥ずかしかっただけだと思いますけど。」


俺は苦笑いをして部屋に向かった。


鍵を開けると部屋にはクローゼットとベット、鎧かけ?とテーブルだけのようだ。

シンプルだけどいいな。広いし。


ベットの上に体を預けた。


今日はいろいろあった。

電車に轢かれて死ぬ。

女神様に会う。

転生先は虫のゲンゴロウだと言われ、なんとか転生を回避出来たけど、試練は異世界で英雄になり天寿の全う。

異世界移動だか転生だか分からないけど、記念すべき1000人目のおかげで願いが3つ叶えられるようになった。

2つ目の願いのおかげで天寿は全うだけは出来るようになった。

これのおかげで異世界に来て早々とスライムに殺されたけど大丈夫だったもんな。

それに女神様に幸運度も上げてもらったし。これで不幸せな人生には・・・ならないはず・・・だ。


母さんと少女は、これから最高の人生を送れる。なら、俺も異世界行ってちゃんと幸せになれたんだって言わなきゃいけない。もしかしたら二人は、天国で会った俺に罪悪感を抱くかも知れないから。


絶対に英雄になって、幸せに天寿を全うしてやる!!


そう思いながら俺は意識を手放した。


これからのお話のことは考えてないです。

手の向くままに。

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