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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第一章 『目指すは英雄』
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第二話 街に到着

俺は天国一歩手前の世界から、異世界へ帰還した。蘇った先は俺の顔に纏わり付いていたスライムの真上3メートルだ。

俺の体に重力が掛かる。そしてスライムにそのまま


「ナオヤキーック!!」


と言いながら、ただの着地をした。


あっ、何か会心の一撃って感じがした。


スライムが弾けていいクッションになったのか着地の衝撃がない。スライムは足元で随分と小さくなり、5センチもない大きさだ。


動かないな。倒せたのかな・・・あっ、また弾けた。中から3センチほどの蒼いビーダマ?っぽい物が出てきた。


これが核だよな。


ポケットに核をしまい、辺りを確認して城壁の見える街へと歩き出した。

途中スライムに出くわしたが木刀を2回ほど叩きつけたら弾けた。さっきのスライムとは違い、透明に近い核が出てきた。


とりあえず回収だな。違いは分らないが核は核だ。たぶん売れるはず。


しばらく歩くと城壁がだいぶ近くなってきた。石畳の道もある。これに沿って歩けば城壁の門まで行き着くのかも知れない。とりあえず道に沿って歩いてみる。少しして右に林が見えてきた。


「うぇ。林と言えばモンスターの溜まり場じゃないか。慎重に歩くか。」


ゆっくりと慎重に歩いているとやはり何かいた。イノシシ?かな。豚の顔に毛がいっぱいだが、体には毛は薄らとしかなく、鎖を腹に1本巻いているように見える。


家畜が逃げ出したのか?


様子を見るため道を逸れ、体制を低くし、なるべく体が草に隠れるようにした。

イノシシもどきは匂いを頻りに嗅いでるようだが、風はイノシシもどきの方から吹いてくる。若干だが獣臭い。俺の匂いは届いてなさそうだ。

少し見ていると、イノシシもどきが変だと分かる。前足が人のような手に見える。


こいつもモンスターの類なのか?


観察しているとイノシシもどきは、ゆっくりと二足歩行になった。


えっ、何で二足歩行?!


鎖を腹にして見えたのは、胸部アーマーなのか、心臓部分に金属のプレートらしきものが見える。


まさかオークってやつか?普通のゲームじゃ冒険初期に出ないだろ!?木刀で倒すなんて無理だぞ。早くどっか行ってくれ!


そう願っていると、奴は草原を見渡してから林の中に帰って行った。





奴が林の中に入っていくのを見て、しばらくして経った。とにかく街に行かなくてはと思い、林の方を警戒しながら道に戻り、門に向うべく歩き出した。


「危なかったぁ。」


あれ系のモンスターに襲われると、小説などでは生きながら食われることがある。さっきのスライムで溺れ死んだときには凄く苦しかった。生きながら食われるなんて絶対に嫌だ。




しばらく歩くと門らしきものが見えてきた。門番の人だろう。鎧を着た二人がいる。


良かった。とりあえず街に着いた。


小走りで門に向う。すると門番の2人に


「君、ちょっと止まりなさい。」


呼び止められちゃった。こういうの苦手なんだよね。あの事務兼教務室での一件から。


「大丈夫か。凄い汗だぞ。」

「すいません。囲まれ気味で話しかけられるのが苦手なもので。」

「おお、そうか。それはすまない。」


一人が少し下がってくれた。ちょっと優しい。


「別の街のことだが野盗が入り込むことが多いらしくてね。この街でも見かけない人には質問をしているんだ。だから少し答えてほしい。」


職務質問ってやつか。


「良いですよ。」

「ありがとな。」


そう言うと、門番さんは腰にある革袋から鈴のようなものを出した。


「では、質問を。君は野盗かな?」

「違いますよ。」


門番さんは鈴を見ている。何があるんだ?


「良し、問題ない。通って良いよ。」

「ありがとうございます。ところで何ですかそれ?」

「スピリッツベルを知らないのかい?」


あれ?誰でも知ってる常識アイテムかな?だが大丈夫。こういう時は


「はい、すいません。ここよりとても遠くの田舎にいたもので。」

「そうか。これはスピリッツベルと言って、質問に対する答えが嘘だと鳴るって仕組みなんだ。」


すべて『田舎にいた』で通るものなのだ。田舎万歳!!

それにしても嘘発見器ってことか。変な質問が来なくて良かった。ついでだから、さっきのモンスターについて聞いてみよう。


「もう一つ聞きたいことが。さっき街の近くの林で、豚の顔に毛がいっぱいの、二足歩行のモンスターを見かけたんですが、何て名前のモンスターですか?」


門番さんの目つきが変わった。急にそんな顔は怖いって。


「それは本当かね!まさか、鎧を着ていなかったかい?!」

「よ、鎧というか、心臓部分を守るように金属のプレートが見えました。」

「心臓部分だけの金属のプレート。・・・まずいぞ。オーク種の斥候の可能性が高い!ヤック、すぐに守備兵に連絡。西門、南門、北門には警戒態勢を呼びかけろ。冒険者ギルドにも討伐依頼を出し、商会ギルドにも通達しておけ。」

「了解しました!!」


ヤックさんという門番さんが全力で走っていく。


「そ、そんなにヤバいんですか?」

「オーク自身は強くない。それでもオーク1匹に対して兵や冒険者が2人は欲しいところだ。」


強くないって・・・2人欲しいなら強くないですか?


「奴らは基本的に50匹以上で移動し、気に入った所にコロニーを作る。その付近で狩りをし、食料が乏しくなると斥候を出し、獲物が豊富な所を見つけるとそこへ移動する。これを繰り返すんだ。」


・・・・・大量発生したイナゴみたいだな。


「そして奴らは何とでも繁殖可能だ。しかも狡猾でな。毎年人間が必ず攫われる。」

「えっと、繁殖ってことは女の人だけですか?」

「何を言っている。繁殖だぞ。男も女も関係なく攫われるぞ。」


・・・・・お、男もなの?まさかオークのメスが相手ですか?


「昔の話だが、貴族で御曹司の美青年が誘拐された事件があった。金のある貴族でな。捜索隊が編成され、すぐにオークの仕業だと判明した。」


・・・・うわぁ、いやな予感・・・・


「100人以上の冒険者でオークのコロニーを襲撃し、御曹司は救出された。誘拐からわずか3日目のことで、スピード解決だった。」


あぁ、じゃあ無事だったんだね。良かった。


「無事だと思ったかね。残念な想像だ。発見された御曹司は痩せこけ白髪になり、老人の姿で発見された。」

「そんな馬鹿な。たった3日で美青年が老人になるわけ無いじゃないですか。」

「御曹司の親も同じことを言っていたよ。だが残念なことにその老人の顔と体にはね、御曹司と全く同じところにホクロや痣があったんだよ。」


ぞっとした。まさに生気までしゃぶり尽くされたのか。


「そしてオークの最大に恐ろしいところは繁殖の数だ。もしコロニーから雌雄1組でも逃げた場合、2ヶ月で元の数、つまり50匹まで増えると思っていい。」


繁殖力が異常って本やゲームで書かれてることが多いけど・・・マジなんだね。


「そ、そうですか。いろいろ聞かせて頂き、ありがとうございました。」

「いや、こちらも情報ありがとう。何か困ったことがあったら何時でも言ってくれ。」

「本当ですか。ありがとうございます。では、もう一つ聞きたいことが。冒険者ギルドに行きたいんですけど、何処ですかね?」

「君は冒険者志望なのかい?」

「志望というか、出稼ぎみたいなもので。冒険者になり、そのうち英雄と呼ばれるようになりたいです。」


歩きながら考えれば、今のところ冒険者が一番英雄になるのが近そうですから。その内なにか見つけて別の道で英雄を目指そう。


「はっはっは、面白いな。出稼ぎで来た冒険者志望が英雄になるのか。」

「わりとマジで英雄を目指してますよ。」


うん、英雄はマジでならないと天国行けないから。


「それは笑って悪かったな。ここの冒険者ギルドは、街の中心部近くにある真っ赤な屋根のデカイ建物だ。この道を真っ直ぐに歩いて行けばすぐに分かるだろう。」

「そんなに分かりやすいんですか。ありがとうございます。」

「門番のグルタに紹介されたと言えば、立て込んでいても話が通るだろう。良い冒険者に・・・いや、英雄になってくれたまえ。」

「はい、ありがとうございました。」


そう返事をしてグルタさんと別れ、冒険者ギルドへ歩きだした。


いろいろ加筆修正。

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