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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第一章 『目指すは英雄』
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第二十一話 宿屋ダストン

予定より早く書けちゃった。

「ここが・・・ダストン・・」


リズさんの宿屋より確実に大きいが・・・なんだこの変なとこに力を入れた宿は。

金色の壁、入口の両脇にはライオンに乗ってる騎士?冒険者?の銅像がある。


「あのさ、ほんとにココ?」

「ん。」

「リズさんとライバルの?」

「ん。」


いや、たぶん貴族とかこっちを使うだろけど、ライバル感無くない?方向性が全然違う気がする。

どの辺がライバルなんだろうか?


メルフィナは扉を開けたので俺も後に続いた。


「いらっし・・・お帰りなさいませ。メルフィナ様。昨日は帰って来なかったので心配しておりました。」


人あたりの良さそうな店員が出てきた。


「ちょっと探索に行ってた。」

「そうでございましたか。御無事でなによりです。後ろのお客様はこちらにお泊りになるのでしょうか?」

「いや、俺は違うよ。荷物を取りに来た。」

「荷物をですか?」

「ああ。メルフィナは今日から別んとこに泊まるからな。」

「そうでしたか。お疲れ様でございます。では、メルフィナ様の御部屋、302の鍵にございます。帰りにまたこちらへ返却をお願いいたします。」


鍵を渡される。なんか対応が丁寧なんだが。本当にあの店で見たダストンが経営者なのだろうか?


「ありがとうございます。」


鍵を受け取って部屋に向かった。


その階段の途中だった。


あいつと会ってしまった。俺を扉越しにあっけなく殺した奴だ。


「いや~、昨日もよかったっすね~ギュリオさん。」

「くっはっはっは。最高だったな~。今日も楽しませて貰おうぜぇ。・・・なんだお前、どきな。」

「す、すいません。」


思わず階段のど真ん中で固まってしまった。俺はすぐに横に避ける。すると、ギュリオはメルフィナを見つめ


「へぇ、いい女連れてんな。」

「え、ええ、妹なんですよ。良い子です。」

「ほう、兄弟なのか。似てないな。」

「まぁ、母は違うので・・・」


適当に言ったにしては、いい出来だったと思う。早くどこか行ってくれよ。階段が薄暗いとはいえ、俺の顔を覚えられたくねぇんだよ。


「ギュリオさん、早く行きましょうぜ。」


手下1、ナイスだ。


「・・・しゃあねぇ。いくか。」

「やっほ~い!」

「はしゃぐな馬鹿が。」


手下1を殴りながら、階段を降りて行った。

マジで良かった。特に何も起こらなくて。でもこれで確定か。確かにダストンの宿屋のようだ。


「大丈夫?」

「おぅ。大丈夫だ。」

「何で妹?」

「・・・・えっと、目をつけられても回避しやすい方法だから?」

「そう。」


まあ大体の漫画なら喧嘩やら絡みから回避できる方法である。本当に回避出来て良かった。決して・・・お兄ちゃん・・・と呼ばれたいからではない・・・よ?


「じゃあ、早く行く。・・・お兄ちゃん。」

「・・・・おう。」


・・・・なんだろうか。この・・・胸のときめきは!素晴しいな妹って!これって本当の妹じゃないからかな!?義妹だからかな!?


「ん?」


首傾げのコンボ!?この無垢な義妹を抱きしめたい!!いや、駄目だ!ダメだ!抱きしめるなら明日から寝ぼけたフリしてやれば良いじゃないか!それにここは敵地でもあるんだ!何があるかわからん!・・・・・・ふぅ、何とか抱きしめたい衝動を抑えた。早くリズさんとこに行こう。


「いや、何でも無いよ。行こう。」

「ん。」




階段を昇って部屋に着いた。が、なんだこれ?扉がいっぱい?部屋番号の書いてある扉とは別に扉がある。


「なんか、扉が多いな。」


試しに部屋番号のない扉を開けてみようとするが鍵がしてあった。


「駄目か。」

「早くいく。」

「ん、おう。すまん。」


今は気にしてもしょうがないか。302の扉を開けた。





「うぉ~い、何だこの部屋。」


広い。壁の両面に埋め込まれた縦2メートル横4メートル程の鏡。赤い壁に天蓋付きのベッド。


「なんか、豪華というか落ち着かないというか・・・凄いな。」

「ん。剣技の練習できる程の大きい鏡があるの。すごい。」


あ~これみて練習しろってか。なんか人気の理由が分かった。


「あ~、そういえばリズさんとこに鏡って無いな。」

「姿身。お風呂場にあった。」

「え、マジか。夜に行くかあら気が付かんかったんかな?」


いつも暗い中を風呂に行ってたからな。


「ん、もっとすごいのもある、」


扉を開けて横にある水差しを持ち、壁の蝋燭立てのようなものに水をかけた。すると、その部分が強く輝き出し部屋を照らした。


「何これ?すげー。」


この異世界に来て電球とか無いから、夜は暗いのが当たり前だと思ってた。夜の道にはいくつか松明は灯してたけど。


「水光石。」

「すいこうせき?」

「水をかけると光り出す。お高い。」

「へぇ、そんなのあるんか。ちなみに・・・おいくら?」

「5金貨。」

「は?5金貨って・・・めっちゃ高いんじゃ・・・」

「そう。」


マジか!?この部屋に同じ物があと2つもあるやん。


「あ、あのさここって一泊いくら?」

「50銅貨。」

「安っ!」

「女性限定。」

「なっ!?」


なんで!?女性限定ってずるくない!


「女性人気。すごい。」

「だろうね。」

「でも、困る時もあった。隣の音がうるさい時。」

「は?こんなに金掛かってるのに壁薄いのか?」

「そう。」

「そりゃ、少し不満だな。」


こんな立派な鏡が埋め込んであるのに、壁が薄いわけは無いんだがなぁ。

部屋番号付き扉の横に鍵のかかった扉もあったから部屋か物置だろ?

あれ?でも部屋番号の付いてる部屋がこんなに広いと、鍵のかかった部屋が小さいというか細い部屋になる。物置、もしくは掃除用具入れ、にしては多すぎるか・・・


そう思い、鏡に近づき触ってみると、指と鏡に映っている指の間に隙間が出来なかった。


・・・・・これって・・・・・。


「メルフィナ嬢。さっきのうるさいってどんな感じ?」

「・・・鍛錬後の息遣い?」

「はぁ、はぁって感じ?」

「そう。」


なるほど。さっきの余計な扉。この鏡。お高い水光石。鍛錬後の息遣い・・・予想が当たってたら、女にとっては最悪な宿屋だ。


「じゃあ、とりあえず荷物運びますか。どれを持てばいい。」

「ここの本。」


重そうな本が10冊ほどあった。これはメルフィナが1回で運ぶのは無理だな。


「これ以外に俺が持つのは?」


持ってきた麻袋に穴が開かないか心配だが、とりあえず本を詰める。


「ない。あとは私が持つ。」


ベッド横にあった麻袋を持とうとしている。


「了解。じゃあ、これで全部か?」

「ん。」

「よし行くか。」

「ん。」


荷物を持って廊下に出た。


「そう言えば、部屋代って先払いしてる?」

「ん。あと7日分入れてた。あと6日泊まれるはず。」

「ほうほう。じゃあ交渉しなきゃな。」

「するの?たぶん帰って来ない。」

「まあ、するだけしてみるさ。」


さっきの部屋が予想通りなら最低なことしてるしな。





階段を降り切って部屋の鍵を返しに行く、


「ちょっと交渉もしてくるから、向こうで休んでてくれ。」

「ん。」


メルフィナには少し離れた場所の椅子に座って待っててもらった。


「さてと・・・・すいませ~ん。鍵を返しに来ました~。」

「ご利用ありがとうございました。」


男は先ほどと同じように丁寧に対応してくる。どうしようか・・・こんなに丁寧な対応してくれる人だと番号無しの扉のことは知らないのかも知れないな。


「すいません。こちらの宿屋の責任者っていますか?」

「経営者はダストン様でございますが、責任者と言えば私でございます。」


・・・ほう。ニコニコと対応しているが責任者か。なら知らないことは無いよな。


「そっか、すまんが義妹が先払いした金の7日分の内、まだ利用してない6日分、返金してくれない?」

「それは御承知致しかねます。なによりメルフィナ様は女性ですので格安でもございましたし。」

「そうだよね。女性だから格安だもんね。でもさ、だからこそだろ。返金は。女性だもの。」


ここからは小さい声で言ってやった。


「覗かれてたことに対する慰謝料請求は。」


ニコニコと対応していた男の表情がそのまま固まった。


「・・・なんのことでございましょうか?」

「恍けなくてもいいさ。あの鏡、裏からは覗けるようになってんだろ。知ってんだよ。」

「・・・なんのことでございましょうか?」


繰り返してきたが気にせず続ける。


「どうせ裏で覗くのは経営者か、その子飼いか、貴族のお楽しみってやつか。そこから何人か女を貴族や人買いに見繕ってたんだろ。もし冒険者なら行方不明なんて当たり前だしな。」


本当に行方不明の女がいるか・・・なんてのはデマかせだけど。・・・・俺、確証も無いのに何でこんなに強気なんだ?


「・・・・・・・・・」

「黙るなよ。俺も男だ、女に色々としたいって気持ちはわかる。ただメルフィナは義妹だからな。多少怒ってるだけだ。」


そうか。俺は怒ってるんだ。俺が妹のように思っているメルフィナを覗いた輩がいることに。自分で言っていて自覚した。


「・・・どのように致せば?」


折れてくれたか?


「大丈夫だよ。最初に言った6日分・・・いや、あんた誤魔化そうとしたしな。・・・20銀貨で良いよ。不備があったことにするから。」

「・・・・少々お待ちください。」


後ろを向き、棚から袋を出し、トレーに銀貨を置き始めた、


「・・・・19、20枚。どうぞお受け取りください。」

「おう、確かに。」


予備の財布に銀貨を入れた。さて、この後、襲われないように一応だが布石をしますか。


「で、モノは相談だが。」

「・・・・何で御座いましょう。」

「いくらで・・・覗けるんだ?」


男は少々戸惑ったのか、目を一瞬見開いたが、すぐ元の表情に戻った。


「・・・1回10銀貨でございます。」

「そうか、それなら・・・今度来ようかな。」

「・・・もしご利用でしたら、その際は裏口からお入りください。それ専用のお客様入口となっておりますゆえ。」

「了解、そうするわ。」

「ご利用、お待ちしております。」


深々と礼をしてきた。


「おう、またな。」


こうやって同じ穴のムジナだと思わせておく。これが襲われないための布石だ。無駄かも知れないけどね。さて、交渉終了っと。メルフィナの元へ向かった。


「おかえり。」

「おう。ほら、返金してもらったぞ。」


ジャラっと音がする麻袋を渡した。


「多い。」

「なんか不備があったらしくてな。多く帰ってきた。金欠解消だな。」

「・・・ありがと。」

「どういたしまして。んじゃ、帰ろうぜ。」

「ん。」


俺とメルフィナは荷物を持ってリズさんの宿屋に向かった。


とまあ、宿屋ダストンは覗き部屋もやってたそうです。

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