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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第一章 『目指すは英雄』
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第十六話 初めての仕事選び

また短いです。

着替えをして、色々と準備をして1階に戻ってくるとメルフィナが着替えて待っていた。


「おまたせ。今日はよろしく。」

「わかった。」

「リズさん、さっき言ってたお金です。」


財布から6銀貨だして渡した。


「あの、かなり多いのですが。」

「いや、今回だけじゃなく今月ってことでお願いします。朝夕ご飯をお願いしたいんです。」

「それでも随分余りますよ。」


リズさんはかなり遠慮してる。商売なんだから貰って下さいよ。良い人だなぁ。


「じゃあ、余ったら返すってことでお願いしますよ。」

「・・・・わかりました。では、そのようにしますね。」


良かった。なんとか納得してくれたか。


「じゃあリズさん、行ってきます。」

「行ってらっしゃい。無事に帰ってきてね。」

「はい。行ってきます。」

「メルフィナちゃんもね。」

「はい。」


リズさんの挨拶を済ませて、メルフィナと二人でギルドに向かった。




「メルフィナ嬢~今日は、何を狩る予定ですかね。」

「スライム?か、オーク?」

「・・・スライムは分かるがオークって初心者向きじゃないんでしょ。」

「大丈夫。私が補助するから。それに探索狙い。」


探索?ということは戦わずに探すってだけか・・・・


「それなら安全かな?」

「冒険者に危険は付き物。」

「油断するなってことね。」


程なくしてギルドに着き、中に入ると賑わっていた。食堂の席がほとんど埋まっている。


「おはようございます、ナオヤさん。メルちゃん。」


声の方を向くとメルフィナが抱きかかえ、撫でている赤い髪のメイドさんがいた。


・・・・・・嘘だろ。気配なんて全くなかったぞ。


「お、おはようございます、ミレイさん。」

「・・・・・放してほしい。」

「ダメで~す。昨日は心配してたんですよグッタリしてて。抱き心地いいわぁ。」


ミレイさんはメルフィナをめっちゃ撫でてるがメルフィナからは不機嫌オーラが滲み出てきた。


「あの離してあげてください。今日はメルフィナと依頼を受けるので。」

「そうなのメルちゃん?」

「そうです。」

「なら仕方ないですね。」


放してもらったメルフィナが俺の後ろに隠れた。


「あら随分仲が良いんですね。・・・・まさか!?」

「違いますからね。」

「まだ何も言ってませんよ。」

「昨日の話でしょう?」

「ふふっ。」


ふふっ。じゃないよ。子供には聞かせられない。ましてや今日からパーティを組んだのに。・・・今日限定かもだけど。


「メルフィナ嬢。掲示板の前が空いてるから、今のうちに俺達でこなせそうな依頼を探すぞ。」

「わかった。」

「では、ミレイさんまた今度。」

「はい。お待ちしてます。」


早々とミレイさんと別れて掲示板を見に来た。。




さてと・・・俺的には、この前掲示板に貼っていたスライム退治があれば良いんだが・・・・


「これがいい。」


メルフィナが指さしたのを見てみる。


「ええっと、・・・・オーク探索と討伐。・・・メルフィナ嬢、隣のスライム討伐では駄目ですかね。」

「スライムはお金にならない。さっきも言ったオーク探索狙い。」


スライムは1匹討伐で3銅貨で、オークは1匹討伐で70銅貨。さらにオークのコロニー発見は10銀貨。

うん、かなり額が違うけど危険度も高くない?


「ナオヤには多分オークがいいと思う。返り血とか無いあら。」


ん?・・・えっと、どういうことだ?


「オークって、生きてないの?」

「生きてる。けど血は出ない。討伐の証として、オークが必ず持ってる小さいプレートを持って帰ればいい。」

「でも、なんで俺向けなんて言えるんだ?」

「ナオヤは血、見たい?」

「・・・・正直見たくないっす。」

「私も極力避けたい。以前、大イノシシ討伐に行った。倒すのに返り血だらけになったし、イノシシを持ち帰らないと駄目で大変だった。」


わ~お、そんなことには成りたくはない。それに、うん、やっぱモンスターや害獣とはいえ返り血を浴びれば殺した感が半端ないはずだ。たぶん俺はその瞬間吐く。吐く自信がある。


「お金の面でも、精神的面でもオークは良いと思う。」

「・・・その提案、受けました。それでいこう。どうやって依頼を受ければいいんだ?」

「掲示板から紙を剝がして受付に持っていく。」

「なるほど。」


いちいち剥がさなきゃならんから、掲示板はこんなに紙だらけなのね。んじゃ、一枚剥がしてっと。


「お~い、青年~。」


あまり元気じゃない声が聞こえ、そちらを確認するとガストさんがいた。


「おはようございます、ガストさん。・・・大丈夫っすか、顔色が・・・・」

「おう。だいじょばない。」


ああ、やっぱりだいじょばないのね。だって青い顔してるもの。今にも吐きそうだもの。


「報告があってな~」

「昨日の件すか。」

「そうだ。」


今にも吐きそうな顔が、ちょっと真面目な顔になってる。青いままだが。


「メルフィナ、すまないけど受付お願いしていい?」

「・・・・わかった。」


内緒話に加えないつもりか、と抗議の目だったが、俺も真面目な顔を作ってたせいか、渋々ながら受付に行ってくれた。


「で、まずは警邏隊に話はしておいた。今日から宿屋周辺の警邏を多少だが増やしてくれるらしい。」

「ありがとうございます。十分に助かります。」


本当にありがたい。けどガストさんが浮かない顔をしている。


「あの、どうしたんですか?」

「・・・少々相手がな。ダストンとこに子飼いに厄介な奴がいるらしい。」

「あの・・・悪者の子飼いって大抵は厄介じゃないんですか?」


ガストさんがキョトンとしている。あれ、俺がおかしいか?


「・・・・・ふっはっはっはっはっは、そりゃそうだな!」


・・・・・・笑われたよ。


「いや~面白いな青年は~。」

「ありがとです。・・・・で、その子飼いってどんな奴なんですか?」

「そうだな~ガタイは青年の一回りデカイな。で、名はギュリオ。二点のギュリオだ。」

「にてんのギュリオ?」

「そうだ。ギュリオってのはガタイに似合わず慎重な奴でな。モンスターを殺すときは頭と心臓を必ず二点刺すらしい。」


ああ、二点ね。って怖~、必ず殺すってことやろ。


「あの、その人って、人殺しはしてないんすか。」

「おそらく殺してる。」

「なんで捕まらないんですか?」

「証拠がない。あいつらの敵となった奴らは行方不明になる。が、死体は出ないんだ。死体が出なければ、行方不明者は他の街に行った可能性しか無いんだ。」

「・・・そんな。」


そうか。この世界は科学捜査なんて無い。よくドラマで言ってる拭き取った血も分かるルミノール反応が・・・・とかが無いんだ。


「じゃあ、なにかあった時の対処って・・・・・」

「喧嘩で勝つか、もしくは逃げて生き残って、警邏隊か守備兵に話して助けを請うしかない。」

「俺じゃ絶望的ですね。」

「まあ、逃げるだけなら出来るだろ。勝つなんて思うな。」

「・・・・そうします。」


悔しいが相手が力ずくで来たら逃げるしかない。・・・エリーの魔法、教えてもらおう。


「色々とありがとうございます。」

「気にするな。ああ、嬢ちゃんが来るな。じゃあ俺も仕事に行くわ。またな青年~。」

「ええ。今度は俺が奢りますよ。安い酒っすけど。」

「おう、よっろしくな~。」


手をヒラヒラさせながらギルドを出て行った。俺はこの異世界に来てから本当に良い人に出会い続けてると思う。


「ナオヤ、行く。」

「あいよ。受付ありがとね。」

「ん。」


さて、異世界に来て三日目にして、初めての冒険者らしいことをする。

少し胸を躍らせながらメルフィナと歩いた。


今話は戦いも入れる予定だったの入れてないし、短いし。

本当に申し訳ないです。

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