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記念すべき1000人目のようですよ。    作者: とろろ~
第一章 『目指すは英雄』
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第八話 乗り合い馬車

少し修正。

ギルドの前には、すでに馬車が来ていた。


「では、ナオヤさん、あの馬車に乗ってください。前日に話した料金ですが、行った先に魔法の先生が居ますので、その方にお渡しください。帰りも馬車に乗れますので、それに乗って帰って来てくださいね。」

「ありがとうございます。行ってきます。」

「行ってらっしゃいませ。」


手を振りながら見送ってくれた。こちらも手を振ってから馬車に乗り込んだ。



馬車に入ると、右手前には如何にも魔法使いって服装の14、5歳?の若い子が1人。帽子で顔が見えない。左奥には、口の周りに鬚がびっしりの中年の男がいる。


どうしよう。冒険者稼業を始めたばかりなのは俺だけだろう。とりあえず挨拶しよう。挨拶は大事だからな。


「え~っと、歳は20歳、ナオヤと言います。昨日冒険者ギルドに登録しました。よろしくお願いします。」


・・・・・・誰も返事してくんないし。中年は・・・おぅ寝てた。若い子の方は本を読んでる。

こっちから話しかけてみますか。


「ナオヤです。よろしく。」

「メルフィナ。よろしく。」


顔が見えた。瞳が紫色の綺麗な子だ。あんまり感情が表に出ない子なのか、無表情なんですが・・・


だが俺は挫けずに話しかけてみた。


「め、メルフィナの出身地ってどこなの?」

「シビル城下町。」


シビル城下町?依頼書にあったなそんな名前。城下町ってことは都会だよな?


「ずいぶん都会から来たんだね。なんでこの街にきたの?」

「始まりの街で冒険者登録したかった。」


よし、都会だった。良かった~。にしても始まりの街って屋台のおっちゃんも言ってたな。ギルドでも聞き忘れてたし聞いてみるか。


「あ~、俺ってかなり田舎から来たから教えてほしいんだけど、始まりの街って何で言われてるの?」

「この街は過去に英雄を5人も出している。」


あ~、その5人は転生者だね。たぶんだけど。あれ?女神様は、8人は英雄となり天寿を全うって言ってたよな。3人は冒険者になってないか?それとも他の街で登録したのか?


「それで始まりの街か。納得できた。」


そりゃ、憧れてる人がここで冒険者になったなら私もってことだよな。




カラーン、カラーン、カラーン

3回の鐘の音が響いた。


「3つ音、って事はそろそろ出発かな。」

「そう。」


パタンと本を閉じてメルフィナの腰にあった袋に本を入れた。


「本は移動中にも読むものでは?」

「・・・・・酔う。」


そうですか。気持ちはわかる。ならばもっと話をさせてもらおう。


「いつもこのくらいの人数なの?」

「違う、もっと多い。今日は特別少ない。」

「えっ、なんでだろう。」

「たぶん、オークの件のせい。」


ここでもオークか!俺のせいかぁ。


「闘技場までってどのくらい?」

「20分くらい。」


・・・・ふん?今、分って言った?え、時間って1から4の音のことしか聞いてないよ?


「あの、分って時間のことですよね?」

「そう。」

「詳しく教えてもらっていい?出身の村では時間って無かったから。」


メルフィナが首を傾げてらっしゃる。ごめんよ。そういう設定でここに来てるんでね。


「平和なところにいた?」

「あまりモンスターは居なかったね。」

「そう。・・・時間は街によって違ってたりもする。モンスターの襲撃が無かったりする街や村ほど時間は適当。」


街によって違ってたりって面倒だな。


「シビル城下町は、大きいだけに領内でモンスターの被害が多かった。すると王様から打診があって、1日を24の時間に分けるって。」


ふむ、それでシビル城下町は、24時間制を導入したのか。


「シビル城下町も前は、1から4の音で過ごしていた。だけど、24に分けたら騎士と商人が働きやすくなった。」


あ~、商人は時間が細かくなれば雇用とかも増減しやすくなるかもな。騎士は、いつ見回りをするかって決めやすくなったのかな。


「商人が稼げると国の収入も上がって、国のお金がいっぱいになった。そしたら王様が24の時間の時計を作って住人全てに配ったの。」

「なるほど。それで住人も24の時間を覚えるってことか。」

「おかげで子供は大変だった。何時まで手伝えとか、まだ外は明るいのに何時までに帰ってこいとか。」


俯いて文句を言っている。まあ子供にとっては時間って煩わしいよな。


「ただ大人に立ったら便利だって気付いて文句が言えなくなった。」

「大人かぁ。そういえばいくつなの?」

「15歳。」


見た目通りの年齢か。


「城下町では成人したらみんなどうするんだ?」

「男は稼業を継ぐために働く、騎士になるため訓練所へ行く、英雄に憧れて冒険者ギルドに行く。のだいたい3つ。」


うん、まあ想像通りだよね。


「女は町で働くか、婚約者がいる場合のみ花嫁修行。」


はっはっは、笑っちゃうよ。花嫁修行って。相手の男は爆発しろ!


「メルフィナは、婚約者いなかったん?」


綺麗な子だからなぁ。いてもおかしくないんだがなぁ。


「・・・・いた。けど、結婚は嫌だったから・・・結果ここにいる。」


つまり、逃げてきたっと。やるなぁ。


「逃げるとき親は?」

「賛成してた。」


親公認か。どんな相手だったんだろう。だがまあ、


「いい親だね。」

「自慢出来る。」


表情が乏しい感じだったのに少し笑ってる?本当にいい親みたいだな。



その後は、時間に関しての詳しい話や他愛のない会話をしていた。自分の中ではある程度打ち解けることが出来たと思う。


会話中に馬が止まった。


「着いた。」

「もう20分経っちゃったか。楽しい時間は終わるのが早いな。」

「楽しい?」

「楽しかった。だから帰りも話をしよう。」

「別に・・・かまわない。」


と言いながら先に馬車を降りて行った。


「青春だな。」


後ろから声がした。振り返ると中年の男が起きていた。


「聞いてたんですか?」

「馬が止まってすぐに起きたんだ。だから余り聞いてない。気にするな。」

「そうですか。ナオヤです。よろしく。」

「ガストってんだ。よろしく。」


中年の男は席から動こうとしない。


「降りないんですか?」

「降りんよ。ここは闘技場だろ?俺の行先はもっと先なんだよ。」

「そうでしたか。では、俺はここで。」

「おう、じゃあな。」


俺は会釈をして馬車を降りた。この馬車、闘技場が終点じゃなかったんか。


「どうしたの?」


メルフィナが待ってくれていたようだ。


「いや、中のおじさんと少し話をしたんだ。」

「そう。」

「待っててくれてありがとう。」

「別にいい。」


メルフィナが目の前の闘技場とは逆の方に歩き出した。


「あれ?魔法の教えって闘技場でやるんじゃないの?」

「闘技場自体ではやらない。闘技場の練兵場にいく。」


・・・ああ、そっか。こんな大きい建物でやらないよね。そりゃそうか。

少し歩くと広場があった。中央には、とんがり帽子で杖が背丈と同じ程でマントをしている女の人が立っている。


「ようこそ。月1回の魔法の教え教室へ!!」


両手を大きく広げ、言っている。


どうしよう。あんまり行きたくない気がした。


次回は、使ってみよう魔法編。の予定。

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