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 私はカレンダーを凝視する。

 今は6月。この間梅雨入りしたばかりで、じめじめと蒸し暑い日が続いている。

 制服が、冬服から夏服に変わった。

 制服の生地も冬服より夏服の方が薄いため、スカートの裾が光に当たると少し透ける。


 夏だなぁ。

 夏服に変わって早くも半月が経過している。

 あと少ししたら期末テストだ。

 前回は惜しくも1位を逃したが、今回こそは1位に輝いてみせる!

 私は前回よりも早めにテスト勉強を開始した。


 前にテレビで見たことがある。

 夜勉強をするよりも朝起きて勉強した方が頭に残りやすいと。

 私はいつもより1時間早く起きることに決めた。


 朝早く起きるのは苦ではない。

 あ、嘘です。私、早起きは苦手です。

 でも1位になりたいのだ。

 だから私は今日も早起きをする。

 打倒蓮見を合言葉に、今日も私は勉強に勤しむ。


 迎えた期末テストの日。

 私はペンを走らせる。どの教科も私の手が止まることは1度もなかった。

 朝の勉強の成果だろうか。

 私は余った時間いっぱいまで見直しを続けた。

 今回こそは、今回こそはいける。

 見ていろ蓮見め!今回は私が「惜しかったですわね?」とドヤ顔で言ってやるのだ!



 ドキドキのテストの順位発表の日、私は祈るような気持ちで貼り付けられた順位の紙を見上げた。

 私は、目を大きく見開く。


 1位 東條 昴

 2位 神楽木 凛花

 2位 蓮見 奏祐



 な、なんてことだ……。思わぬ刺客が……!


 そうだ。去年こそ王子は蓮見に勝つことはなかったが、同率1位は何回かあったのだ。

 だから、王子がここで1位になっても不思議はないわけで。

 くそう……王子め。


 しかし、かなり本気で勉強したのに、今回も蓮見に勝つことはできなかった。

 なぜだ。あんなに頑張って同点って、どういうことなの。

「惜しかったですわね?オホホホ」とドヤ顔で高笑いできる日はいつになるのだろうか。

 いや、次こそは、必ず勝ってやる……!

 私が密かに闘志を燃やしていると、王子と蓮見がやって来た。君たち仲良いな!

 王子は順位発表を一瞥すると、ニヤリと笑って蓮見に言った。


「今回は僕の勝ちだね?惜しかったね、奏祐?」


 それ、私の言いたかった台詞!

 ドヤ顔で言うな!私が二番煎じになってしまうではないか!

 くそう、王子め……!


「……今まで勝ったことなかったくせに」


 意外と負けず嫌いな蓮見がポツリと呟く。

 王子は爽やかな笑顔を浮かべて、蓮見の肩を叩く。


「負け惜しみは言わない。約束通り、ケーキ作ってね?」


 ………あれ。もしかして、蓮見にケーキ作って貰いたくてテスト頑張ったのか、王子は?

 でもケーキ食べると胃もたれするんじゃ……?

 蓮見は苦虫を噛み潰したような顔をして、本当に渋々といった顔をして頷いた。


 蓮見、大変そう。

 哀れな蓮見に幸あれ。




 期末テストが終わればすぐに夏休みだ。

 今年は生徒会活動があるため、何回か学校に行かないといけないが、やっぱり夏休みはうきうきする。

 夏休みには、美咲様と泊まりでお出掛けする約束をした。

 私と美咲様と菜緒の3人で、美咲様の家の別荘にお邪魔するのだ。

 なんでもきれいな海が近くにある所らしく、海で遊びましょうね、と美咲様は微笑んだ。

 ああ、楽しみだなぁ。

 菜緒が帰ってきたら一緒に水着を買いにいく約束をしてある。

 早く夏休みにならないかなぁ。





 本日は、菜緒と美咲様とのお出掛けの日です。

 私は浮かれに浮かれまくっていた。

 前日はそわそわしてよく眠れなかった。小学生か。

 私はキャリーバックに着替えと荷物を詰め込み、忘れ物がない確認する。

 先日菜緒と一緒に買った水着もちゃんといれた。

 日焼け止めクリームも、もちろんいれた。

 よし、忘れ物はなさそうだ。

 私はキャリーバックを閉じる。


 時間だ。そろそろ美咲様の家に向かわねば。

 私は母に挨拶をして、しばらく会えなくなる弟にも挨拶をしようと弟の姿を探すが見当たらない。

 聞けば弟はもう出掛けてしまったらしい。

 いってきますって言いたかったのになぁ。

 薄情な弟だ。ちぇっ。


 車に乗り込み、美咲様の家に向かう間も、私の頭の中は今日やることで頭がいっぱいだった。

 あぁ、本当に楽しみ。早く現地に行きたいな。


 美咲様の家に到着し、私は車から降りると、何故かボストンバッグを手に持った蓮見がいた。

 なぜここにいる。

 そう思ったのは蓮見も同じだったようで、私を見て目を見開いていた。


「なんで君がここにいるの」

「それは私の台詞ですわ」


 私はお互いに顔を見合わせる。


「俺は昴に呼ばれて……」

「私は美咲さんに……」


 あれ?もしかして。もしかしてだけど。


「あら、2人ともいらっしゃい」


 私たちは同時に声のした方を振り返る。

 そこにはにこにことしている美咲様と、王子の姿があった。


「やあ、2人とも。良い天気になって良かったね」

「昴?これはいったいどういう……」

「あれ?言ってなかった?美咲たちと一緒の旅行だって」

「なにそれ。聞いてない……」


 私も聞いてないんですが。美咲様これはいったいどういうことでしょう?

 美咲様を見ると、相変わらず美咲様はにこにこと笑っている。

 その笑顔を見て私は確信した。


 美咲様、確信犯ですね?


 蓮見も同じ結論に達したようで、眉間に皺を寄せて王子を睨んでいる。

 美咲様と王子の後ろから、ひょっこりと、菜緒と弟が顔を覗かせた。

 2人は申し訳なさそうな顔をして私を見ていた。


 2人とも、知ってたの……!?

 弟よ、なぜ言ってくれなかったのだ。

 お姉ちゃん、ちょっと寂しいぞ。


 そうか、弟が家にいなかったのは、弟も一緒に旅行に行くから。

 私より先に家に出たのは、私に直前まで知らせないように、王子から言われていたからだろう。


 あれ?私、なんか嵌められた?

 混乱している私をよそに、美咲様と王子はにこにこと笑って言った。


「とても楽しい旅行になりそうね?」

「そうだね、美咲」



 ……似た者同士なお二人で、なによりです。



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