TARGET 6 終戦後の静けさ
【14】
目が覚めた時、最初に視界に入ってきたのは、白い天井だった。
「知らない天井だ…………」
冗談はよして、俺は起き上がった。
どこからどう見ても、俺は病室にいる。
どうやら、俺はあの後、倒れてそのまま病院に運ばれたらしい。
宮島とかいう青年と土田も同じくここに搬送されてるだろう。
「よォ……起きたか」
「うぉぉ、アンタ隣にいたのか……」
隣のベッドには激闘をした相手である宮島がいた。
「なんか、あんな事があったのに同じ病室にいるってのは……不思議だな?」
「すまねぇが、俺はあの時の記憶がなくなってるみてぇだ……」
記憶喪失。名前だけなら何度も聞いたことがあるが、実在する症状だとは思ってなかった。
「あー、まぁ、別に良いだろ。思い出しても何もないし」
俺はそのまま、返事を待たずに横になった。
単に、瞼が重かっただけだけど。
【15】
「いやー、まさかSランクを下段ランクで勝つなんてね?」
「勝つのがわかっていてやったのではないのですか……?」
「まさか。殺されてしまったらそれまでだったってことだよ」
病院のホームの椅子に腰をかけ、シャルデアークとラルクは、宮島と代智のスイッチバトルについて話していた。
「ターゲットBが最後に使ったEランクのスイッチのことですが…」
「あぁ、アレか………初めて見るスイッチだったね…………」
《不死鳥の翼剣》はEランク最強と言われているが、代智以外に使用している者がいない。
「私が見たことないスイッチということは……まさか、な」
シャルデアークは、何か考えるように立ち上がった。
「何か、心当たりでも……?」
「あぁ、いや、ありえない…………でも、展開上は問題ないか」
あれはEランクでも意味が違う。
《黒鉄球》などとは違う。
「《不死鳥の翼剣》はEランクだけど、エクセプションのEかもね」
そんなことを呟き、シャルデアークは、ある病室へと足を運ばさる。
【16】
「あの、坂崎さん。退院の準備をしてください」
「ん?えっ?」
1,2時間寝て、起きたら、看護婦に言われた言葉がこれである。
退院ってこんなに早くできるの?
「坂崎さんは、そこまで酷い傷ではなく、本当なら自宅で安静にしていただければ問題がない程度のものでして…正直に言いますと、ベッドの数が足りないので今すぐに立ち退いていただきたいのです。なので早く準備してください。ほら、早く!!」
「………はい」
あれ?なんか、この看護婦さん毒舌入ってるよね?
初めてこんなに正直に言われちゃったよ
隣の棚の引き出しに入っていた洋服に着替え、荷物の中身を確認し、宮島を一目見る。
「アンタ、退院したら、どうすんの?」
急に声をかけられたからか宮島は、驚いていたが、すぐに質問に答えようとするが、渋い顔をして考え始める。
「特にしたいことなんざねぇけど、とりあえずは、土田と話し合う。」
多少の罪悪感はあるのかどうかは知らないけど、それが一番かな。
もし、また同じことが起こっても俺が止めるしね。
「あっそ、まぁ、元気でな」
「あぁ…」
もう、会うことがない方が良いんだけど。
病室から出て、出口に行こうとしていたが、途中で白髪の男と高身長の男が通りすぎる。
「あれー?何号室だったっけ?」
「私も、知りませんが…?」
どうやら、見舞いに来たものの何号室だったかわからないんだろう。
フロントで看護婦さんに聞かなかったのかな。
「そこの君。君だよ君。宮島隆介ってどこの番号室にいるのか知らないかい?」
「宮島?アイツなら、302号室だけど……?」
「ふむ、ありがとう」
礼を言うとすぐに二人の男は302号室に向かった。
宮島も変な奴だけど知り合いも変な奴だったとは…………。
この病院は絶対おかしいだろ。土田に宮島、あの看護婦といい、あの二人組がいるぐらいだ。
さっさとおさらばしてやる。
【17】
302号室にて、宮島は考え事をしていた。
本当は記憶喪失なんてしていないのに……なぜ、嘘をついたのか。
本当は土田と話し合う気もないというのに…………。
今、本当にやりたいこととは何か、何を生き甲斐にしていけば良いのか。
考えることは多く、内容はしょうもない。
「これから……どうするのか…………」
その時、ノックも無しにドアが開いた。
最初は、代智が忘れ物をして帰ってきたか、看護婦だと思ったが違った。
「いやー、元気ィ?その調子なら、バリバリ動けちゃって退屈じゃない?」
「…………シャルデアーク=ベネディクト!!」
立っていたのは、自分に力を与えてくれた人であるシャルデアーク=ベネディクトと傍らに高身長の男に、さっき代智に話しかけていた看護婦だった。
「その調子だと元気なんだねぇ…………ところで、暁くん。宮島くんは後どのぐらいで退院できる感じ?」
「後3日もすれば完治し、退院が可能になるという感じですが、この男は見た目からでもわかるように、性欲の塊みたいで、本当ならばシャルデアーク様に近づけておくのも嫌なのですが……利用価値があるとおっしゃるものでしたので…………完治が難しいものは回復させておきました。」
もしかしたら、この看護婦もグルだったのかもしれない。
俺を一人にさせるために、わざと代智を退院させたのか?
でも、逆にそっちの方が好都合か。
コイツらに代智は狙われている訳だし。
「…………で、何の用だよ……アンタら……?」
「うん。そうだね……本題に入ろうか」
【17.5】
代智は病院から出て、すぐに呟く。
「今日、大学の授業あったんじゃん…………忘れてた!!」
時刻を確認し、授業の時間を見る。
現在時刻 PM 15時。授業開始時刻 AM 10時。
5時間の大遅刻。
時すでに遅し。
「初日からサボってしまったぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」
坂崎 代智。18歳の春。いきなりの大失敗をかましてやったぜ。
つらい………………。




