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理想郷の彼方へ  作者: あんぱん極
Crow of a one wing
17/19

TARGET 16 芦谷陸希

【15】


代智が暁から忠告を受けていた時。

宮島と芦谷陸希は、スイッチバトルを続けていた。

先程とは違い、激戦と変わっていた。

両者、引くことなどありえない戦いへと。

負けるわけにはいかない理由を持ち、前へと進む者。

格下と思っていた者に大口を叩かれ、殺意に満ちている者。

「こっちは、失敗なんて許されねぇんだよ……!!」

乱れた髪をかき上げ、前進する。

「そうかよ……でも、そんなこと俺には関係ねぇんだよ」

不良と最強が、ぶつかり合う。

本来なら刃を交わす事など有り得なかった二人が。

道は違えど、負けられない理由がある二人が。

宮島は、薙刀を唐突にガラス張りの天井に投げ飛ばす。

それと同時に、宮島は正面へ走る。

「生きて帰れると思うなよ……【黒き羽の旋風(ダーク・フェザーゲイル)】」

飛び交う鋭く尖った黒い羽が宮島をめがけて攻撃する。

瞬時に宮島は薙刀を回し、羽を打ち落とすが、数の差が圧倒的だった。

「おい、兄貴……そろそろ起き上がってくれねぇと、マジで死にそうなんだけど!!」

緊迫感ある状況をぶち壊すかのような言葉を宮島が叫ぶ。

その言葉により、血まみれとなった土田は起き上がる。

「まぁ、流石に気づいてたか……だが、準備は整ってる」

宮島は、ニヤリと笑みを浮かべる

すぐさま、土田は武器の鎖を持ち上げ、芦谷陸希の身体に絡ませ、羽も叩き落とす。

「さっきと違って鎖の強度が増している…………」

「ご名答……この鎖の力は、攻撃を吸収するか鎖を長時間動かさないことで強度が増す力を持っているわけだ」

二人は、一瞬のズレも無く、前進する。

黒い羽の攻撃をくらいながら、着実に近づく。

そして、宮島は芦谷陸希の見よう見真似するように詠唱(キーワード)を叫ぶ。

「俺は俺のために勝つ……アンタの事なんて知ったことじゃねぇ…………【目覚めよ(エヴェイユ)】!!」

瞬間、宮島の背後から黒炎を纏った巨人が現れる。

巨人は、すぐさま、変形し、装甲のような形となる。

装甲は、宮島を包み込む。

その姿は、まさに、人間と機械が合わさった戦闘兵器のような姿だった。

「うおっ……どこかのアニメで見たことあるような姿になりやがった………!!」

宮島の姿を見て、土田はどこか幼い少年の様な目をしたが、すぐに芦谷陸希の方を睨む。

「さて、閉園の時間だぜ――――――――」





【16】


一年前、スイッチバトルというモノが流行り出した。

何の前触れもなく、突然流行り出した。

元々、俺には関係の無い話だった。

理由は、その一年前に妹が崖から転落し、意識不明の重体となった。

緊急治療室前で、妹の無事を願いながら、俺は泣き叫んだ。

父と母は、幼い頃に交通事故で亡くなってからは妹と俺と親戚とで暮らしていた。

俺が金を稼げるようになってから二人暮らしを始めた。

そして、すぐに親戚も病死でなくなり、俺にとっての家族は妹だけとなった。


俺にスイッチバトルを始めるキッカケとなったのは、妹の事故だった。

一年経っても妹は意識不明だった。

だが、死の危険性は少なからず減ってはいた。

そんな中、一人の男が、協力してくれれば妹を助けるという条件を突きつけた。

馬鹿げた話だったが、俺にはその言葉にすがることしかできなかった。

妹を助けれるという希望が俺を惑わせた。


その日を境に、俺はスイッチバトルに明け暮れた。

来る日も来る日も戦い続けた。

飽きるぐらいに。

敗北を忘れるぐらいに。

次第に、俺に勝てる者は消え、辺り一帯では最強とまで呼ばれた。

無意味で無価値で、妹を救うのに関係の無いモノを手に入れた。

何度勝とうが、妹すら救えない自分に価値はない。

いつしか、妹以外の命の価値がわからなくなった。


「いつになったら……妹を…助けてくれるんだ」

「前にも言ったじゃん……君が計画を進めてくれれば助けると」

「こんなの終わりが見えない!!お前は元から助ける気なんて無かったんだろ!?」

こんなやりとりを何千何百と繰り返した。

男、シャルデアーク=ベネディクトは妹を助ける気なんて無かったんだ。

俺は利用されている。

それがわかっていても、俺は諦めずにはいられなかった。

シャルデアークには、妹を救うほどの力を持っているとわかっていたから。

だから、俺は一年計画の為、動いた。


妹が事故にあってから二年経った、今。

計画は本格的に動き出した。

最初に、ターゲットBと呼ばれる青年と戦わせる最初の器を探すことだった。

俺は、偶然にも路上で嫌悪そうな雰囲気でスイッチバトルをやっている男二人を見かけてた。

どちらかの男が敗北したのがわかったと同時に男の近くに野次馬に流れるようにリミテッド・スイッチを投げ込んだ。

そして、スイッチ を手にした男はシャルデアークの口車に乗せられ、力を手にする。

その後は、上手く事が進み、男とターゲットBはスイッチバトルを行ったと聞く。

計画の第一フェイズは無事に終わったのだ。


だが、計画を行っている時、俺は気づいた。

スイッチを造っている者の正体に……。


シャルデアーク=ベネディクトは世界の運命を変えるべく、スイッチをばら撒き、スイッチバトルを流行らせた張本人だという事に。


そして、世界の真実は×××××だという事も。

これから世界に起こる災厄の内容についても――――――




【17】


「俺は……俺は……俺は……!!」

芦谷陸希は拳を力いっぱいに握り締め、叫ぶ。

「何も知らないで戦ってる…お前等なんかより……背負ってるものの重みが違うんだよォォォ!!」

吠える。

自身の想いを貫く。

たった一人の家族の為に。

目にかかる乱れた前髪をかき上げ、前へと進む。

「来いよ……ここで、終にしてやる……!!」

前進する宮島は、目の前の芦谷陸希に言う。

「不完全なお前等に、何ができる」

身体に絡む鎖を自力で解き放つ。

解かれると同時に、鮮血が飛び散るが、芦谷陸希は動じずに前へと進む。

「本当の格の違いがなんだか叩き込んでやる…………【解放する漆黒の嵐(リベラル・シャドーテュエッラ)】!!」

刹那、装甲を身に纏う宮島と土田の全方位から真っ黒な大嵐が吹き荒れる。

人間が耐えられる事が不可能なレベルの風圧が二人に襲い掛かり、商店街全てを包み込む。

身体のあらゆる場所が切り裂かれ、身動きが不自由になる。

次第に、身体は浮き、大嵐によって吹き飛ばされる。

電柱や地面に店などに身体を打ち付けられ、視界がぼやけてゆく。

数ヶ所の骨折は確実。

打ちどころが悪ければ死。

「散れ」

宮島と土田は、思いっきり上空に打ち上げられ、ガラス張りの天井に盛大にぶち当たり、吐血、流血により、辺りは血だまりとなる。

先ほど、宮島が投げ飛ばした薙刀によってできたガラスの亀裂に衝撃が伝わり、ガラス張りが剥がれる。

降り注ぐ、ガラスの雨。

一瞬にして、地獄を演出した。

「……………………悪く思うなよ」

芦谷陸希は、二人の姿を見て、呟く。

妹の為には、負けることは許されない。

その為には、代償が必要となる。

償っても償いきれない程の罪が芦谷陸希にのしかかる。

今まで、殺した人間の数。

全てに押しつぶされる前に、シャルデアークを殺す。

芦谷陸希の心には、その想いでたくさんだった。


「悪く思うなよって……実際、無理だろ……」

突如、崩壊しかけた商店街に響く一人の男の声。

瞬時に芦谷陸希は振り向き、目を見開く。

「一応だけど、そいつ等は俺の知り合いだ…………覚悟はできてるよな?」

怒りが混じっているものの冷静さを感じる声のトーン。

砂煙の中から、現れる男。


「俺の全てを持ってして…………芦谷陸希……お前を完膚無きまでに叩き潰す……!!」


この状況下で、ただ一人、最強に立ち向かう男。

坂崎 代智が動き出す。

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