1話目、とある放課後
僕の名前は石橋祐一。天使と悪魔の血を引き継ぎ、108の特殊能力と316の宿命を背負った、そんなどこにでもいる普通の高校生。そんな特殊な生い立ちにもかかわらずとくに刺激の無い平凡な高校生活をおくっていたが、最近二つ良い事があった。
ひとつは窓際の一番後ろの席が取れた事。
まぁ、これは、隠された物がなんとなくわかる「盗賊の予感」と、軽い物体を自由に動かせる「妖精の悪戯」の能力を使ったからなんだけどね。さすがに108もあるとどんな場面でも利用できる能力があるから凄い便利。こないだも急にトイレに入りたくなった時にどこのトイレが綺麗で待たずに利用できるか瞬時にわかったし。
そんな感じで能力を便利に使っていたのだが、まさかここに来てこの能力に苦しめられる事になるとわ。
わかってしまったのだ。
盗賊の予感で。
長谷川さんが、
今日、
おろしたての
ピンクのパンツを履いてきていることを。
あぁぁぁ、駄目だよー。ピンクの木綿の下着とかドストライクだよー。どーしても見たいよー。
そうそう、もう1つの良い事を説明するのを忘れていた。それは、長谷川藍子さんを好きになったの事。
クラスメイトの背がちっちゃくって眼鏡の女の子。今まで全く意識していなかったんだけど、学級当番の時に日誌を渡そうと声をかけた時、彼女が振り向いて眼鏡ごしに僕を見上げた時、僕は彼女の事を好きになってしまったのだ。何故その瞬間に好きになってしまったのかなんて理由はわからない。ただはっきりと長谷川さんが好きだと認識したんだ。
その長谷川さんがピンクのパンツとか反則だわ。どうしたって見たくなるわ。いや、見ようと思えば見るのは簡単なんだよ。さっき言った妖精の悪戯でちょっとスカートをめくってみれば良いだけ。能力の事は皆に言っていないからやったところで絶対にばれない。
よし、やるぞ。
…、いや、いやいや。
仮にも好きな人が嫌がる行為をするってどうよ?好きな人なら喜ばせたい。これだよな。
そんな、スカートをめくるとか無いわー。絶対に無いわー。
でも、
長谷川さんのスカートに虫が付いていて、それを取ってあげようと能力を使ったら偶然スカートがめくれちゃった。ってなら有りか?
いや、無いよな。
能力使う意味が無いし、口で教えてあげれば良いだけだもんな。
いや、虫嫌いな女の子って多いよな。なら黙って能力で取ってあげるのも親切かも。
いやしかし…。
だけどだけど…。
そうは言ったって…。
なんて考えていたら下校時刻もとっくにすぎた午後6時ですよ。いつの間にか長谷川さんも帰っちゃってるし。まっ、今日は長谷川さんが嫌な思いをせずにすんで良かったと考えよう。
さっさと帰って事前に貯めておいた長谷川さんの周りの空気を嗅ぎながら寝る事にするわ。
書き終わった後に多少後悔したが消しても意味が無いので投稿