18: 料理
趣味は? と聞かれると、私は少し困る。
興味があり手が届く事は何でもやってみる方なので、ありすぎて絞るのが難しいから。
けれど、一番好きで、一番長くやっているものは多分二つだけ。
読書と料理、と言えるだろう。
だから最近はとりあえずこの二つをあげる事にしている。
あ、小説を書く、というのは人に言うのはちょっと恥ずかしいので割愛で。
料理が好きなのは多分私が何かを作る事が好きだからだろう。
あとは、多分科学が好きだから。
野菜や魚や肉が、様々な化学変化の果てに美味しい食べ物となるその工程がとても楽しい。
実験めいた工程を楽しみ、何かを作る喜びを感じ、自分の食べたい時に、食べたい物を、好みの味に作る事ができるというのはとてもお得な事だと思う。
初めて包丁やまな板に触れたのはもう随分小さい頃だったと思う。
親のやっている事を何でも真似してみたい年頃に、母は忙しい夕飯の支度の時間に足元に纏わりつく子供を決して邪険にしなかった。
油などの危ないものを扱っている時は遠ざけていたが、よく私にまな板と果物ナイフと、芋のしっぽやにんじんの皮なんかを渡してくれた。
母が料理をする脇で、それらを刻んで遊ぶのがとても楽しかった。
お陰で私は順調に料理が好きな子供へと育ち、それなりに沢山の失敗をして色々な事を覚え、今でも料理を続けている。
覚えている中で大失敗は三つくらいあるが(本当はもっとあるけれどありがたい事にその大半を忘れてしまった)、その時はいつも、もう当分料理なんてしない、と思ったものだ。
それでも、今や忙しくてしばらく料理をしていないとストレスを感じる程に料理好きになった。
料理の出来の方はといえば、何を作ってもそれなりに自分の好きな味なので客観的には今ひとつ判断し難いのだが、幸いにして美味しいと言ってもらえる。
材料を切って、煮て、茹でて、炒めて、焼いて。
出汁を入れたり酒を入れたり調味料を入れたり、最後にスパイスを一振りしたり。
それらの工程のどれもがとても楽しい。
難しい事や凝った事をしなくても、料理をした、と言うだけでストレス解消になるのだから何ともお得な趣味だと思っている。
ただ惜しむらくは、料理を作っていると出来上がる頃にはお腹いっぱいな気分になっているところ。
料理を作るのは好きだけど、食べるのはさほどでもないというのは勿体無いよなぁといつも思う。
ちなみに今のマイブームはキッシュ。妹の好物なので作り始めたのだが、簡単で美味しいので私も好きだ。大抵四人で食べるが、大体三分の一くらいは妹のお腹に収まる。
れんこんのバルサミコ炒めを入れたものが私のお気に入りかな。
来週は兄の誕生日なので、また作ろうかどうしようか。
料理のことを考え始めるといつだってきりがない。
そのうち通信教育で何か料理関係の資格でもとろうかなと思っているけれど、趣味だから楽しいのかもしれないとも思う。
でも、年取ったらカフェを開く、とかそういう目標を持つのも楽しそう。
昔も今も、私の一番大好きな趣味だ。
きっと、死ぬまで好きだろう。